こんばんは。某認定トレーナー瀬谷松栄塾田中です。
発達障害を持つ保護者の方の力になればと、自分でいろいろ研修を受けたり、勉強してみたりと続けていました。
そして良い意味で日進月歩するこの界隈では勉強しなければいけないことがどんどん増えていきます。それでもやはり理論と実践は異なり、頭ではわかっていても指導できない、自分の能力不足を痛感する日々です。
その上で、なのですが・・・・・
最近、学校関係者(カウンセラー含む)から当塾をご紹介いただくことがあります。
これ自体は有難いことですし、出来る限りお困りごとの力になりたいな、と思う部分はあるものの、こういった目的のご来塾や面談が増えるにつれて、「当塾でできることとできないこと」というのを明確にしておかないといけないな、と考えるようになりました。(というかそもそも紹介してくださる方、うちのことどれくらいご存じなのでしょうか、少なくとも私は面識がありません。紹介というより世間話の一環なのかもしれませんが、当事者は思った以上に悩んでおり、それこそ藁をもつかむ気持ちで当塾に来られることもあります。そして、その期待に応えたくても応えられないという現実も少なからずあります。)
私に関しては、あくまで発達障害に関して「普通の人よりは知識がある」「当事者の親レベルには知っている」「それでも重い自閉症に関しては手も足も出ない(というより行政が介入すべきと思っている)」という程度です。
診断をすることもできなければ、アドバイスをするにしたって、今まで他の方が積み上げてきた「こういう子にはこういうのがうまくいった」という知識と経験から、合いそうなものを多少選んだり、教材を選んだりを考え、試行錯誤を繰り返すだけです。それだって基本的には「専門の医師の指導に従うべき」という姿勢は変わりません。
資格に関しても、次のステップに進むために受けようかな、と思ってみたものの、やはり立ちふさがる壁があります。
それは、月謝です。
瀬谷松栄塾は今まで何回か価格のテコ入れを繰り返し、現在の通塾頻度・時間、仕組みの構築をしてきました。
微調整は今後も続けていくものの、「なるべく安く、宿題は限りなく少なく、かつ効果的に」を基軸として仕組みを作っています。
メインは自立指導型、細かい解説部分はICT、と併用することによって1回10名MAX、ちょこちょことした個別指導、勉強の仕方の修正、教材の調べ方や丸付けの仕方の指導でこの価格でやっていくことができています。個別対応をしていて(集団授業をしないで)、放置という名の自学ではないのにこの価格というのはなかなかできないとも思っています。
そもそも当塾は医療機関ではなく療育機関でもなく、私塾ですから、メインは勉強です。基本的には下記は勉強についてまたは学校での過ごし方のアドバイス程度を実施するということで、それ自体に関しては他の生徒と変わりません。
生活態度で困っている子がいればそれは発達障害の有無に関わらずどうにかしようと考えますし、将来を考えるにあたって懸念事項があるのであればそれはどうにかしてあげたいと思っています。そしてこれに関しては塾だけで取り組むものではない(そもそもそうする必要性は本来はない)ので、ご家庭の方がその必要はないと考えているならそこまで口を出すことはありません。
ちょっと寄り道
発達障害専門の家庭教師や塾があります。
そういったところは価格が非常に高いところが多いのですが、これは「ぼったくっている」のではなくそれだけの手間と技術と事前準備がいる、ということです。
指導員は勉強のことだけでなく、正しい指導の方法、日々研究されることに関しての情報の刷新、その子に合わせたカリキュラムの作成や指導方法の決定、など、ある程度パターン化されている定型の子とは比較にならないくらいの準備時間とコストが必要となります。
ちなみに、某カラーパンフレットの「発達障害のお子さんも~」という通常の家庭教師派遣は注意が必要です。当塾のように「学年を下げての指導」程度の可能性があります(それですらマシなレベル)。単純に、そういう子たちの指導に関しての勉強は「相当手間がかかる上に、需要は限定されるので仕事としてやっていくには公的援助がなければ本当に割に合わない、というビジネス的側面があります。
もちろんそういうことを積極的に勉強する先生はいるでしょう。でもそういう先生を常時抱えられる派遣元はないと思っていいです。ですから、もしそういう家庭教師を選びたいのならば、本当に「そういう子を専門で見てきた」レベルの個人の家庭教師を頼むべきと考えます。
閑話休題
発達障害専門の塾や家庭教師の価格帯を見て頂ければわかるように、基本的に「ふつうの個別指導よりもさらに高い」のです。(週1で3万~6万となっていますが、公的機関からの援助なくやろうと思ったらこれぐらいかかるのは仕方がないかなと思うレベルです)
では当塾ではどうなのか、っていうと、現状では追加料金は頂いておりません。
実際なところ、グレー含む発達障害のお子様に関しての指導は本当に生徒によります。単なる「勉強が苦手」という程度の子もいれば、いろんな意味で配慮した指導をする必要があることもあります。
手間がかかるかかからないかでいうと、これもやはり個人差があり、「単に勉強が苦手なだけの子」であれば通常の学習の範囲内で処理できますし、そうでない場合はやはり必要以上に手間がかかります。
その場合個人個人で適する対応が異なるため、いろいろな文献を用いて調べたり、アプローチ方法を考えたり、等が必要となります。
そういう部分で別途費用を頂くことも考えたのですが、「自己申告」である上に、たとえ発達障害傾向があったとしても、他の生徒に比べて特別扱いする必要がない子もいるため、決められないな、と。
※ちなみに当塾でも自学自習が無理と判断した場合は月謝に+4000円、という設定があり(正直4000円でも全然割に合わないのですが)それでもそういうご提案しても今のところ100%断られています。
できること、できないこと
インクルーシブではないですが、配慮できる部分とできない部分はきっちりとわけないと他の生徒に対しても誠意がないな、と最近よく考えるようになってしまいました。
「今回急に変えることにした」というわけではなく、こうやって対応しているよ、という程度のものとして明確にすべきかな、と考えるようになった次第です。
もし障害をお持ちの上で当塾を紹介された場合は。そういったことを踏まえた上で来ていただければ、と思います。
出来る限りどうにかしてあげたい、と思って行動することが、生徒本人のためにもなってなかったり、保護者の方のためにもなってなかったり、現塾生のためにもなってなかったり、ということがあった上で、悩みに悩んだ上でのことです。(今後変更はあるかもしれませんが)
当塾の強みは、中3以外は基本的に無学年式だ、ということです。
発達障害の子は、実際の学齢より理解力が(その当時に)不足していただけだったりとか、多動性が強くてその時期に授業が聞けてなかっただけで、知能面で問題がない子、というのもかなりの割合でいます。そしてこれ自体は発達障害の子に限らず、多くの勉強が苦手な子に当てはまります。
ですから、小6~中1くらいになってから小4内容から始めていって、中3くらいで追いつく、ということも実際に可能なのです。
これは「発達障害に特化している」のではなく、「勉強苦手な子への対応」として一番効果がある方法だと私は考えておりますから、小学校高学年~中1くらいで勉強に遅れがあっても、中3くらいには普通に近い状態になっている、ということと対応にほぼ違いがありません。
また、いわゆる一般的な特性、例えば
・時間を守れない
・忘れ物が多い
・物が整理できない
・知識の整理ができない
・家で勉強していても他のことが気になってしまう
・期限の管理ができない
といったものであれば、「こういう風にすればいい」というノウハウがあるので、そこまで負担になることはありません。
(そして実際、発達障害支援の次の段階では誰にでもそういう対応ができる世の中にはなっていくとは思います)
一方で非常に困るのが「嘘をつくこと」です。
どうしても叱られることが多いせいか、または特性上嘘をつくことがよくあることもあるからか、やはりある一定数すぐばれるような嘘をつく子はいます。もちろんいわゆる定型発達の子でも嘘はつくのですが、当塾は嘘に関してはかなり詰めるので、だんだん嘘をつかなくなっていきます(外ではわかりません)。
一方で発達障害の生徒の場合は本人も無意識のうちに「つい嘘をついてしまう」ことがあるようです。前述のように、私は嘘は理詰めで暴くことが多いので、こういうことを頻繁にされると「私の声がうるさい」または「ずっと一人にかかりっきりで他の子が質問できない」ということが発生します。
もちろん改善するようにお互い協力し合ってどうにかしていきたいのですが・・・こればかりはなかなか・・・
また、これは発達障害の生徒に限りませんが「沈黙」が増えること。
出来る限り寄り添ってあげたいし、話を聞いてあげたいのですが、これをやると本当にその子から離れられなくなってしまうため、「答えられるようになったらまた呼んで」みたいな対応になってしまう可能性もあるのですが、客観的に見てこれとても冷たいですよね・・・・目の前で圧迫されるより思考を整理する時間取れる分マシ、とも言えますが、普通に傷つきますよね・・・
でもそういうことしたいわけじゃないんです。全体を考えたときにそうせざるを得ないことがある、ということです。だから、もしそういういわゆる「生徒に寄り添った」指導をご希望の場合は個別指導のオプションをご選択いただければ、と思います。(毎日でなければ全然通常の指導内でやります)
いずれにせよ、たとえば「書字障害のための指導」をしたりとか、「計算障害の子のための指導」をしたりとか、そういった特化した指導に関しては「技術的な問題」以前にそもそも実施を想定していません。知識がある限り、出来る限りのことはさせていただきたいとは思いますが、それでも「すべて配慮する」ことは現実的に不可能なのです。
・聴覚優位・視覚優位にあわせての最低限の配慮
→イヤーマフやバランスボール、触覚を活用するためのもの等の購入だったり、ICTを優先活用する、参考書優先の学習にする、など
・進路の話(支援学校ルート、就職を見据えた話)
→精神年齢「30歳成人説」を前提として、なるべく社会に出ていくのを遅くするための大学進学だったり、勉強に適性がない場合の実業系の提案、支援学校について、等
・公的援助について
→公的援助は、知らない人には降りてきません。基本的に自分で申しこまなければ福祉はなにもできないからです。そのため、障碍者支援についてなにもご存じないケースもあれば、うちも周りからのアドバイスでかなり助けられました。自立支援だって最初の精神病院では教えてもらえてません。
こういったことなら「通常学習や通常進路指導の範囲として捉えているので」可能です。
普通級に関しての考え方
私はグレーの子が普通級に行くことが「必ずしも幸せ」だとは限らないと思っていますが、本人も、保護者の方も、いずれは普通級へ、ということは当たり前によく聞くことです。
また、もともとグレーで現在普通級にいる子も同様です。
以下は私の考えです。偏っているとも思います。それでもそう考えています、ということをきちんと表に出したいと考えています。
普通級(通常級)で生きていこうと思うなら、それなりの覚悟を持て
インクルーシブ教育をはじめ、そういったグレーの子や発達障害の子にはある程度の合理的配慮をしよう、ということ自体は当たり前の動きになってきてはいます。それでも少なくとも、現代の近視の人が眼鏡をかけるかのように、定型発達と呼ばれる子たちと同様に生きられる術は、本人の努力なしではまだ発見されていません。投薬治療でかなり楽になる子もいるのですが、それでもあくまで大なり小なり、そういった社会に合わせて生きていると思います。自立支援があったとしても、金銭的負担は少なくありません。社会人になってしまえば収入の5%程度は薬で持っていかれてしまうでしょう。
差別のない世界・合理的配慮のある世界を目指している世の中の動きがあったとしても、いわゆる障碍者枠で就職するのでなければ、現実問題としては配慮なんてたぶんそんなにされなくて、「自分はこういう人間だから」が認められない世の中に出ていくことになるでしょう。普通級(通常級)で生きていくことを選択する、というのはそういうことなのです。
となると「できなくてしょうがない」ということは限りなく少ない方がよいと考えています。正直、「頑張ればできる」けど「できなくてもしょうがないとまわりが許してくれるから頑張らない」んだろうな、という子も何人か見ています。まあ、それ自体も本人にしかわからないことなので本人なりに頑張ってるのかもしれませんけどね。でもそれを言ってしまったら、定型発達の子だって信じられないぐらい頑張ってるかもしれないし、そういうのって結局比較できるものでもないから難しいですよね。
もちろん発達障害の子は、「できる」と「できない」の間に「できるけどとても疲れる」ということがある、というのは知っています。
でもそれを配慮されない中で生きていくことを決めた(普通級で生きていく、というのはそういうこと)のであれば、それとどう向き合っていくのかが大切だと思っているのも事実です。しょうがない、で済ませてはいけないことだとも思っています。
こういった考え方は正しくないんだろうなあ、ということは自分でも考えます。それでも、世の中で生きていくのは当事者である子どもたちです。
配慮され、配慮され、配慮され、社会に出たとたんみんなと同じようにやれ、というほうがよほど残酷ではないか、と思うのです。
というわけで、当塾は「できる限り協力はしたいと思ってはいるが、発達障害専門の塾ではないし、特化しているわけではない」ということはご理解いただきたいと思います。