『イメージの産出――文化と歴史の編みもの』

ISBN978-47967-0362-8 C1071

松枝到著 46上製 520頁 本体価格4600円

 

――500頁を越える大部な本になりましたが、どうして今度の本を刊行する気持ちになりましたか?

 

 修録論文を選んでいるときには、こんなに大部になるとは思っていませんでした。結局最初に選んだテキストをいくつも外してこの量です。若いころの文章が多いわけですが、読み返してみて、まだ古びていないと思い、一度浮上させておこうというのが動機でしょうか。大学生時代から現在まで、意外に主題が一貫していることを確かめたかったのです。

 

 

――『イメージの産出――文化と歴史の編みもの』というタイトルに込められたメッセージは?

 

 タイトルは、平たくいえば「イメージはいかに生み出されてきたか」といったものです。フランス語でengendrementと書いてありますが、言語学では「生成」などと訳します。もともとは男性・雄が子をなす、という原義だったんですが、その意味で使うことはまれなようです。この子をなすというニュアンスから産出としたわけですが、ジュリア・クリステヴァが『セメイオオチケ1 記号の解体学』(邦訳、せりか書房)に収録している「定式の産出」(第5章)からの影響もあります。内容的にはイメージ、文字、言語、文化、歴史のさまざまなトピックを扱っていますが、「編みもの」というのはタテ糸とヨコ糸を織りあわせたもので、textという語も本来は、織りあげられたもの、という意味でした。だから、歴史と文化が交錯して生み出してきたさまざまなテキストとしてのイメージ、ということでしょう。

 

②につづく