竹島問題に関する考察・その2 | 誰かの妄想
2008-09-13 03:24:21

竹島問題に関する考察・その2

テーマ:政治

さてさて、嫌韓ニートと違って、勤め人の私としては、仕事が忙しくなるとネットの接続時間が減ってしまうわけですが、嫌韓ニートはそれを「引きこもり」と表現します。

ま、まともな仕事をしたことがないのだから、社会についてよくわかっていないのでしょう。
あるいは、彼らにとっての世界はネット上にしか存在しないのかも知れません。


それはさておき、

1.竹島(独島)関連の資料を精査すれば、どちらの主張に正当性或いは説得力があるか
2.竹島問題の解決法

のうち「2」の「竹島問題の解決法」を考えてみます。



コメント欄でも答えてますが、私は竹島問題については、話し合いで解決するのが一番だと思っています。

この場合の「解決」というのは、双方ともにその状況を無理なく受けいれられることを指します。一方の要求を優先することによって、他方の要求を排除すれば、排除された方は、国民レベルでの不満が残り、後日の火種となり得るからです。なので、戦争とか経済封鎖とかは問題外です。

この意味での「解決」を認めないのであれば、「竹島問題の解決法」の私的見解を受けいれることはできないので、以下読んでも無駄です。

つまり、(自分は参加するつもりがないくせに)「戦争を辞さない」とか言っているようなバカはお呼びじゃないということです。


さて、話し合いでの解決ですが、大きく三通りの方法があります。


1.日韓二国間交渉
2.第三国による調停
3.国際司法裁判所による調停


「1」はひとまず置いて、「2」「3」について考えます。


「2」について。
第三国と言っても、日韓ともにその調停案に対して同意せしめるためにはそれなりの影響国を持った国でなければならず、現状で考えられるのはアメリカくらいしかないでしょう。
で、そのアメリカにしてもわざわざ同盟国間の領土紛争に介入するとは考えにくく、実際静観の構えを見せています。アメリカが調停役に立つとなった場合、日韓共にアメリカ国内でのロビー活動を活発化させるでしょうから、それによる混乱を抱えるのはアメリカにとっては得策とは言えません。まして、アメリカの調停案をないがしろにされれば、アメリカの面子が潰れますし。
そういうわけで、おそらく今後もアメリカが調停に立つことはないでしょうね(よほど事態が急変すればありえるかも?)。

さて、仮にアメリカが調停に出た場合を考えてみても、韓国が竹島を実効支配している点を考慮すれば、竹島を日本領にするという案はまず出さないでしょうし、実際にアメリカが本腰を入れて歴史上での正当性を検証した場合、韓国勅令41号が有効とされるかも知れません。日本がラスク書簡などを持ち出したところで、1950年代当時の見解に過ぎない、と回答されたらそれまでです。
一方の韓国にしても、1952年のやり方をアメリカが是とするとは考えにくいですから、竹島返還には至らずとも対日賠償などを課せられる可能性はあるでしょう。


「3」について。
嫌韓ネトウヨを中心にそれ以外の立場の人もよく言及する国際司法裁判所での判断ですが、日韓双方が望む場合のみ成立しますが、解決策としてはあまり良いとは言えません。当然のことながら、国際司法裁判所の判断を望むと言う事は、双方とも自国に有利な解決が得られるであろうという期待があり、しかもそれは日韓直接交渉では得られないレベルのものである、ということです。この辺は「2」でも同じことが言えますが、どのような解決案であっても日韓それぞれの国内の不満分子が騒ぎ立てるでしょうね。

ちなみに、「日本は国際司法裁判所に出ることを望んでおり、韓国が出てくるのを待っている(出てこない韓国は卑怯だ)」みたいな主張がありますが、日本が国際司法裁判所への付託を提案したのは、1954年9月と1962年3月の2回のみで、いずれも日韓基本条約成立以前です(日韓交渉は1962年11月の金・大平メモで山場を迎えますから、1962年3月の日本の提案は日韓交渉上の取り引き材料とみるのが自然でしょう。実際、韓国は金・大平メモで、賠償額について大幅な譲歩を承認してます。)。
http://www.mofa.go.jp/mofaj/area/takeshima/g_teiso.html

つまり、日韓国交成立以後は、40年にわたって日本は国際司法裁判所への付託を提案していないわけで、上記の主張はかなり弱いと言えるでしょう。



「2」「3」ともに。
実際問題として、日韓二国間交渉ではなく、第三国や国際機関の調停を受けるということは、日韓双方の近隣外交能力が不足していることを露呈するわけで、国威の観点から望ましいとは言えないでしょう。
(例えば、今後アフリカなどでの紛争の調停などを行った場合、隣国との領土紛争すら自国で解決できないような国の調停案を当事国の国民が心理的に受け入れられるでしょうか?)
日韓基本条約以降、日本が国際司法裁判所への付託を提案していないのは、そういった懸念があるからだと思います(外務省の真意はどうだかわかりませんけど)。


デメリットとしては、もう一点あります。
第三国や国際機関の調停を受ける場合、日韓それぞれの主張、それも交渉戦術上、最大の利益を求める主張がそれぞれの国民の目に晒されます。お互いの国民が自分達にとって最も都合のいい解決案を夢に抱くことになるわけです(当然ながら両国のマスコミもそれを煽るでしょうね)。勝ち負けの基準が高いレベルに明確に設定されてしまうと、もうお話になりません。最上の解決策はwin-winの関係を作ることにありますが、こうされてしまうとwin-loseの関係が確定し歪を伴う解決しか選択肢がなくなってしまいます。
また、外交交渉の基本は、give and takeであって、双方ある一定の譲歩は必要なわけですが、こういうお祭騒ぎになると、譲歩案を口に出す論者は非国民扱いされがちです。
その結果、どのような結果になっても、二国間交渉で同様の結果を出した時以上に火種を抱えることになります。これが大きなデメリットです。



そんなわけで、可能な限り「1」の二国間交渉で解決するのがベストだと考えます。


具体的な解決方法として、現時点で最も現実的(と言っても、両国が政府肝いりで大騒ぎを始めた現状では、どちらかと言えば、非現実的な分類に入ってしまうだろうが)なのは、現状の実効支配領域(若干の変更可)を持って境界とする案、でしょうね。


つまり、竹島は韓国領とし、それを日本の韓国に対する面子上の譲歩とした上で領海設定では日本に有利なように韓国が譲歩する形での決着。可能ならば、漁船などの日本船舶が竹島・鬱陵島を給油・修理で利用できる条件をつけるとか、これまでの韓国による竹島支配は認めないが、日韓友好の証として日本が竹島主権を韓国側に譲渡し、韓国側はそれに対する感謝を表明する、という体面上での条件をつけるとか。ま、いろいろ考えられます。

(繰り返しになるが、1952年の韓国は日本が連合軍占領下であることを利用して竹島の領有を宣言したわけだが、1905年に日本が占領下韓国に対して領有宣言したことを考えればとりたてて韓国のやり方が酷いとも思わない。また、韓国成立が、日本からの分離独立であることを考慮すれば、大西洋憲章における領土不拡大の原則にも抵触しない。)


この解決法は、嫌韓バカのみならず竹島問題に興味を持っている日本人の半数ほどからは批判を受けると思ってます。

曰く、領土問題は一歩も引くべきではない、という主張ですね。


ですが、最初に言ったように、「解決」=「双方ともにその状況を無理なく受けいれられること」です。そして、外交交渉というのは、互いに譲歩する必要があります。
基本的に、双方同じものにこだわっていたら解決はできません。なので、交渉ではそれぞれの要求の性質・優先順を考慮して解決法を探るわけです。


韓国にとって竹島は、日本帝国主義による併合の起点という精神的な価値があります。もちろん竹島に伴う海域での漁業権の問題もありますが、韓国人一般にとっては漁業権よりも自国領土という精神的な価値のほうが高いでしょう。

一方の日本にとって竹島は、右翼以外は精神的な価値は低いと言えます。もともとが無人島であり、漁業関係者にしか価値のない島なのでそれも当然なのですが。つまり、竹島の価値に最も関与するのは、日本の漁業関係者です。


そう考えれば、日韓それぞれが考える竹島の価値は、その性質が異なることがわかります。


つまり、こういうことです。

韓国にとっての価値:「精神的な価値」>「漁業上の価値」
日本にとっての価値:「漁業上の価値」>「精神的な価値」


だったら、こうしようと言うのが、先に述べた解決案なわけです。

韓国:竹島そのものの取得
日本:漁業利権の取得


(追記)

実際、竹島そのもの韓国主権を認めれば、領海設定では相当日本に有利にできると思うのだがなあ・・・。


(ここまで)


問題は、竹島の日の制定とか教科書に載せるとかなどで、日本国内における「精神的な価値」を高めようとする動きです。これが「漁業上の価値」を上回ってしまうと解決は困難です。この点に関して、小泉・安倍・福田とろくなことをやってないのが問題ですね。
ま、こういう韓国与党の反応もアホかと思う。

「対馬も韓国領」ハンナラ党で強硬発言が続出(7月16日17時26分配信 YONHAP NEWS)
「許泰烈(ホ・テヨル)最高委員は16日、汝矣島の党本部で開かれた最高委員会議で、常に独島は韓国領だと主張しながら同じ対応をしているのは残念だとし「対馬も韓国領だと対応していくことが歴史の流れから見て意味のあることだ」と主張した。」


本気で解決する気があるなら、こんなこじらせるような真似はわざわざしないと思うのだがなあ・・・。
どうも、日韓両国の保守勢力にとって、竹島問題は”問題のまま”であって欲しいのではないかと思えるんだよね・・・。

両国の世論が煽られている状況では実現困難だけど、それでも一番現実的な解決策は、先に述べた”竹島そのものは韓国領、領海は日本に有利に設定”とするのが妥当だと思う。


しかも、この解決案はなるべく早めに実行したほうがよい。
というのも、領海にある資源は漁業資源だけとは限らないからです。

もし、今後、竹島に関連する海域で、開発可能な海底資源が見つかった場合、先の解決案に韓国側が賛同する可能性が著しく減るでしょう。

そうなった場合、竹島問題は本当に解決不能の日韓外交の足かせになります。


嫌韓バカは人語を解さないのでともかく、普通に領土問題に関心を持っている人には是非これらの点を今一度考慮してもらいたいと思います。