壊滅するアメリカの公共教育 | 狭山与太郎のどですかでん

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全てのマインドコントロールから日本の皆さんを目覚めさせ、解放します

現在の米国の状況は10年先20年先の日本の姿です。
先日自動車の街デトロイト市が財政破綻しました。
現在全米の自治体の九割は5年以内に破綻すると言われています。
先日11月16日にもNHKのドキュメンタリーWAVEでデトロイト市の実情を詳しくルポしていました。
この番組では触れられていませんでしたが、全米各地では財政赤字の対策として真っ先に予算削減のターゲットにされているのは教育費です。
具体的には教員の解雇と公立学校の廃止です。
デトロイトでは市内の公教育を支えていたキャサリン・ファーガソン・アカデミーの教員5466人が解雇され学校そのものも閉鎖されました。
財政悪化に苦しむミシガン州では非常事態管理法が成立しました。
これは州知事が任命した危機管理人に財政健全化の指揮権を与えるという法律です。
彼らが真っ先に手を付けたのは教育費の削減でした。
この公教育費削減に火をつけたのはブッシュ政権時代に導入された落ちこぼれゼロ法(No Child Left Behind Act)でした。
それは学校の成績に応じて国の予算を配分するというもので、各州や自治体、学校同士が教育予算をめぐってテストの点数を競うことになったのです。
デトロイトのような貧困家庭の多い地域の公立学校では当然成績も振るわず、国からの予算も削減されて教師たちが解雇され学校は次々と廃校になりました。
公立の学校が廃校になるとその後にはすぐに私立のチャータースクールが建てられます。
銀行家や企業が経営するチャータースクールは七年で元が取れると言われ、投資家にとっても魅力的な商品となったのです。
チャータースクールはあくまでも教育ビジネスとして作られたものですから入学するには一定以上の学力と経済力が要求されます。
その結果何が起きたか。
学校に通えない貧困家庭の子供たちが教育難民となって路上にあふれるようになったのです。
解雇された先生たちは州や自治体が負担するフードスタンプに頼らないと生活ができなくなりました。
こうして教育の市場化が進み、公教育を破壊して教育格差を作り出し、ミシガン州とデトロイトの財政負担はさらに拡大することになります。
今や、アメリカでは教育ビジネスはこの10年で花開いた新産業の一つとして、ウォール街の投資家たちに注目される分野になっています。
そのきっかけとなったのはハリケーン・カトリーナの後のニューオーリンズでした。
被災地復興のキーワード「強い町を作る」は「国際社会で通用する人材を育てる強い教育を」とのキャッチフレーズに代えられました。
このキャッチフレーズに基づいて政府が進めた政策は、被災地の破壊された多くの公立校を復興せず廃校にし、その跡地に大量のチャータースクールを作る事でした。
その結果2014年までにはニューオーリンズの学校の75%がチャータースクールになるという結果となりました。
要するに「災害」も「財政破綻」も一部の金持ちにとってはまたとないビジネスのチャンスとなったのです。
これを支えているのがアメリカの連邦や州の政府が進める、ここ10年の教育政策「予算削減」「競争導入」「規制緩和」「民営化」の四点セットなのです。
チャータースクールを運営するニューヨークに本社を置くモザイカ・エデュケーション社は落ちこぼれゼロ法導入以来教育ビジネスで急成長を遂げている多国籍企業です。
2003年には売り上げが約65億円でしたがわずか4年で120億円へ倍増。
全米13州とワシントン州で合計75か所のチャータースクールを経営し、世界中にこれを広めています。
例えばミシガン州マスケゴン市では2017年までの5年間市の公教育予算は全てモザイカエデュケーション社に入ることになっています。
今や、教育ビジネスは四点セットの恩恵を受けウォール街からの熱い視線を浴びる成長産業へと変化したわけです。
013年5月ミシガン州スナイダー知事はデトロイト市を含むほか六つの市にも危機管理人を任命。
合計七つの市がマスケゴン市の後を追うことになりました。
今回受注したのはモザイカ・エデュケーション社とレオナ・グループの二社でした。
2009年以来、アメリカ国内では30万人の教師を含む70万人の公共部門労働者が職を失い、学区では4000校の公立学校が閉鎖されました。
オバマ大統領はこれを加速させる政策を次々に実行中なのです。
以上、堤 未果 「(株)貧困大陸アメリカ」より引用

多くの貧困層と一部の富裕層の差別化が最も身近な所でも進行しています。
そうしてお互い行き来のない固定化された格差社会が形成されています。
貧困家庭に生まれた子供は益々チャンスを掴みにくくなっています。
それが現在のアメリカの姿なのです。
日本も遅かれ早かれそのような社会になりつつあることは、このブログを読んでいる方々には容易に想像できるでしょう。

南無阿弥陀仏