本日(5月27日)、蓮舫参議院議員が東京都知事選挙への立候補を表明しました。

 立候補表明の記者会見をオンラインで視聴しました。自民党の裏金問題で揺れる国政を後にして、東京都政に転身しようとすることは、極めて大きな決断だったと思います。

 さらに、現職の小池百合子都知事は3期目を目指すものと見られています。現職の首長で3期目の選挙はもっとも強い時期と言われています。すなわち、誰しも1期目はチャレンジャーです。2期目も選挙基盤は固まっていません。3期目の選挙になって固まると言われています。4期目以降は多選批判などで減衰する傾向にあります。

 

 私自身、銀行勤務時代は主に千代田区大手町で勤務していましたので、東京都(江東区と杉並区)に住んでいました。したがって、東京都知事選挙で投票した経験があります。当時は、石原慎太郎知事が多選を重ねる時期でした。私は、石原都知事ではない候補に投票し続けましたが、諦めながらの投票でした。

 しかし、今回の東京都知事選挙は、いわゆるガチンコ勝負で、どちらが勝つか分からない大激戦になると思われます。

 

 ですが、選挙は、当落という勝負事ではなく、都民の暮らしをどうするか、ということを議論し方向づけする機会です。勝った負けたというところに目を奪われるのではなく、政策内容の議論に注目すべきです。

 今回の選挙では、まずは小池都知事の2期8年についての評価だと思います。8年前の選挙で小池都知事が掲げた7つのゼロについて結果はどうだったのか。東京オリンピックや築地市場移転問題について、小池都知事はさまざまな問題提起をしましたが、その結果どうだったのか、単に混乱し工期が遅れコスト増で終わったのではないかなど検証すべきです。

 

 東京都は、多くの大企業が本社を置いているので法人税収が豊かです。地価が高いので固定資産税収も豊かです。豊富な税収で東京都民の暮らしをどのように豊かにしていくのかが、問われます。

 

 蓮舫参議院議員の記者会見での発言は、明快で歯切れよかったです。具体的な政策は、後日の発表とのことでした。大いに期待します。

 本日(5月26日)に投開票が執行された静岡県知事選挙では、立憲民主党が推薦する鈴木康友候補が当選しました。鈴木候補は、民主党衆議院議員(2期)、浜松市長(4期)という経験を踏まえての当選です。

 

 国政との絡みで語られることが少なくない選挙でした。確かに、立憲民主党推薦候補と自民党推薦候補との与野党対決ではありましたが、自民党推薦候補は自民党所属の議員であったことはなく、裏金を受け取っていたわけでもありませんので、裏金問題と絡めるのは少々無理があると思いました。

 私自身、地方議員出身です。地方自治体の選挙は、当該地方自治体の課題について議論されるものであり、国政に引っ張られたり振り回されるのは違うのではないか、と感じるところです。静岡県のことは静岡県民が判断する、ということだと思います。

 

 選挙結果をみれば、むしろ遠江(浜松市)vs駿河(静岡市)という感じもありました。伊豆と駿河と遠江の三ヶ国からなる静岡県ですので、地域性など多様性があるのだろうと思います。

 私の地元の兵庫県は、摂津(西部)、播磨、淡路、丹波(西部)、但馬の五ヶ国からなるので、かつて東欧にあったユーゴスラビア連邦になぞらえてヒョーゴスラビアといわれたりもしました。無理に一体感をつくりだす必要はないと私は思っておりますが、それぞれの個性を大事にしていきたいと思います。

 

 ともかく、4期務めた知事が突然の辞任ということで、波乱の出発ですが、新しい知事によって地域が発展することを祈念します。

 本日(5月19日)、兵庫県明石市でギャンブル依存症問題のセミナーがありましたので、参加しました。

 5月14日(火)~20日(月)の一週間はギャンブル依存症啓発週間です。ギャンブル依存症家族の会が啓発週間とその前後に全国各地でセミナーを開催しています。大阪府と兵庫県は終了しましたが、他の地域ではこれからのところもありますので、是非、ご参加下さい。



 

 ギャンブル依存症は、一度、かかってしまうと完全になることはなく、一生、ギャンブルをやりたくなる気持ちを抑えるという心の戦いを一生続けることになるようです。講師で「ギャン妻」こと田中紀子さんは、「大根は一度タクワンになってしまったら大根には戻れない」と表現していました。

 日本社会は、街中にパチンコ・パチスロが溢れ、またテレビをつければ公営ギャンブルのCMが溢れてします。誘惑が多すぎて、ギャンブル依存症から立ち直ろうとする人にとって過酷です。そもそも、ギャンブル依存症の最善の対策はギャンブル依存症にならないことです。簡単にギャンブルにアクセスできる環境を改善すべきです。ただし、昨今、難しいのはインターネット空間で違法のオンライン・ギャンブルが溢れていることです。

 5月13日(月)の決算行政監視委員会第一分科会でもギャンブル依存症の問題とその対策について取り上げましたが、政府のヤル気のなさが伝わってきて、誠に残念でした。一日も早く政権交代を果たして、日本からギャンブル依存症をなくす取組みを進めます。

 マスコミ報道によりますと、昨日(5月17日)、ようやく自民党案がまとまったそうです。他党が既に改革案を提案して長らくまっていました。違法行為を犯した議員を大量に発生させた政党としては、いかにも遅い対応です。しかも、内容が緩すぎて再発防止には到底ならないですし、問題を矮小化していて国民の要望にも全く応えていません。これでは、議論のたたき台にもなりません。

 

 本来は、問題を起こしたのが自民党であるのだから、自民党が率先して政治倫理審査会(政倫審)などに出席して弁明するなど事実解明を行うとともに、もっとも厳しい政治改革案を示して、他党の協力を仰ぐというのが、本来のあるべき道筋です。

 ところが、問題を起こした張本人が最後にもっとも緩い案を示すという、ヤル気のなさがひしひしと伝わってきます。

 

 何がダメか、上げるとキリがありませんが、いくつか例示します。

 

1)政治資金パーティの公開基準

 公開基準を20万円から10万円に引き下げるとのこと。そもそもこれだけ問題になった政治資金パーティをまだ続けるつもりなのか、ということからしてダメです。また、20万円や10万円というのは1回あたりですので、公開基準を半分に引き下げても、回数を倍にすれば同額の収益を得られます。パーティ三昧の政治が加速することになりかねません。百歩譲って、寄附と同水準、つまり1年間で5万円ならまだ理屈は立ちます。

 現金決済は禁止して、銀行振り込みにします、とのこと。でもちゃんと抜け道がありました。当日は現金払いOKとのこと。つまり、前日までの現金払いであったとしてもパーティ当日に受け取ったことにすればOKになるでしょう。

 政治資金パーティの何がダメかというと、政治家個人への企業献金は禁止されたのに、パーティ券購入が抜け道になっているのです。パーティ券は購入するけれどもパーティは欠席する。実質的には寄付なのですが、パーティを隠れ蓑にしているということです。

 

2)政策活動費の公開

 政策活動費は、大項目だけ公表とのこと。つまり、これまでは政策活動費という一つの大きなブラックボックスだったのが、今後は8項目ぐらいの小さなブラックボックスするそうです。これではウソをついても分からない。領収書を添付ナシでは無意味です。

 そもそも、この期に及んで、まだ政策活動費を続けようとするのが分かりません。立憲民主党は2年前に政策活動費をつかうのをやめました。議員に渡切りで、実際に何に使ったか分からなないのは、政治資金の明朗会計という政治資金規正法の趣旨に反するからです。それでも、特段問題なく党運営はできています。野党の中にも政策活動費を続けようとする提案があるようですが、どうして自民党に追随するのかよく分かりません。

 

3)企業団体献金の扱い

 35年前にリクルート事件の反省から企業団体献金は禁止しよう、企業団体献金を禁止する代わりに政党助成金制度を設けました。たしかに、政治家個人への企業団体献金は禁止されましたが、政党への企業団体献金はOKのままです。そして、多くの政党で国会議員は選挙区に合わせた政党支部を設立して、そこで企業団体献金を受け入れるということで、実質的に企業団体献金を継続しています。

 もう、企業団体献金はやめましょう!と立憲民主党は提案しているのですが、自民党は企業団体献金を続けたいそうです。企業は営利団体です。政治献金が儲けに繋がるなら企業としては支出はOKかもしれませんが、それは賄賂ですので刑法違反となるのでダメです。政治献金が儲けに繋がらないならば企業に損害を与えることになるのでダメです。どちらにしてもダメなのですから、企業団体献金は止めましょう!ということです。

 今朝(5月14日)は、ミャンマーの民主派の方々、NUG(民主派政府)の保健教育大臣および少数民族代表、をお迎えしての超党派議員連盟に参加しました。



 2021年2月の軍事クーデターから既に3年が経過しました。ミャンマーで軍によって国民が弾圧されている悲惨な状況が日本で報道されることは少なくなってしまいましたが、弾圧が終わったわけではありません。NUGの保健教育大臣から現在の生々しい状況をお聞かせいただきました。

 ミャンマーでは、民主派の支配地域がドンドン拡大しているとのこと。民主派の方針への支持、軍事政権への経済制裁、インドに対して軍支援の停止の説得、人道支援、市民保護、NUG支援などを日本側への要請を受けました。

 桜井シュウは、ミャンマーの民主化とミャンマー国民の生活改善を支援していきます。

 

 

 本日(5月13日)は、衆議院決算行政監視委員会の分科会で質問しました。テーマは、ギャンブル依存症対策です。というのは、明日から一週間(5月14日~20日)、ギャンブル依存症問題啓発週間を内閣官房に設置されたギャンブル依存症対策推進室が中心となって実施しています。また、今春にはロサンジェルス・ドジャーズの大谷翔平選手の通訳を勤めていた水原一平氏がギャンブルで大金を大谷選手から盗んだということで逮捕起訴される事件が起きたことから、ギャンブル依存症に注目が集まっています。

 そこで、桜井シュウはギャンブル依存症対策の進捗状況を確認しつつ、更なる取組みについて提案申し上げました。

 

 

 ギャンブル依存症対策推進本部の本部長は内閣官房長官です。官房長官に依存症対策への取り組み、特に明日からは啓発週間であるので意気込みを含めて質問しました。官房長官からは、ギャンブル依存症問題は深刻な問題でありPDCAサイクルを回しながら着実に進める、という趣旨の答弁でした。

 では、現状をどのように把握しているのかということで、昨年、厚生労働省の久里浜医療センターが実態調査を行ったので、その結果について質しました。が、まだ集計中でお答えできないとのことでした。前回の調査は3年前でそれからコロナ禍での巣籠の中でギャンブル依存症が増えているとの指摘があります。この3年間で改善したのか、私が本部長なら気になって仕方ないので生データで増えたか減ったかぐらいは教えて欲しいと思うのですが、それもないとのことでした。

 そもそもギャンブル依存症対策の内容についても質しました。重篤な場合には入院治療は行うことがあるが、多くは自助グループによる取組みとのこと。そして治療薬はないとのこと。要するになかなか治らない、一生、ギャンブルの誘惑と戦い続けなければならない、ということです。

 それなのに、街中にはギャンブルの広告が溢れています。テレビをつければギャンブルのCMが流れています。依存症患者の心をくじくような誘惑が溢れかえっている、また新たな依存症患者を産み出す仕組みになっていることを指摘し、CM規制を提案しました。特に、最近は宝くじのCMで「マジメはつまらない、刺激を求める、10億円!」というような射幸心を煽るものまであります。官房長官からは、ガイドラインで射幸心をあおらない内容にしている、とは答弁しましたが、射幸心をとっても煽っています。そして、総量規制もないとのこと。宝くじや競馬、競艇、競輪などの公営ギャンブルは公益のための財源確保で行っているので、CMにお金をつぎ込めば公益目的に使う予算が減ります。現状は本来の目的を逸脱しているので、CMの総量規制を提案しました。

 ギャンブル依存症の特徴として、ギャンブルを続けるためには、借金は重ねるし、お金を盗んだりもするということです。ギャンブルが全てになってしまい、正常な判断ができなくなります。お金を止めるということがギャンブルをやめさせる第一歩ですが、消費者金融などから借金ができないようにする、というのも重要な論点です。具体的には、ギャンブル依存症の場合には速やかに破産手続きを進められるようにしてはどうか、と提案しました。つまり、自己破産が速やかに認められると金融機関は返済を受けられなくなるので大損です。そうならないように、ギャンブル依存症でないかどうか融資の段階で丁寧に審査をすることになります。ギャンブル依存症の場合には借り手責任を追及しても正常な判断ができないので効果ありません。ならば、貸し手責任を追及してはどうか、という提案です。金融担当副大臣からは「同時廃止」という制度があり、個人の債務超過の場合には速やかに破産手続きができるようになっているとの答弁でした。ただし、同時廃止を活用しての自己破産は年間4万件程度であり、ギャンブル依存症患者が200万人とも300万人ともいわれている中では全く少ないことを指摘し、同時廃止がもっと広く使えるようにギャンブル依存症患者に周知することを提案しました。

 ギャンブル依存症患者が多分、増え続けているはずです。ギャンブル依存症対策が不十分な中で、大阪でのカジノ開帳の中止を提案しました。パチンコや負けても一日で数万円ですが、カジノでは負けが一日で億円単位になることもあります。ギャンブル依存症が深刻化する前に立ち止まることを提案しました。が、官房長官からは所定の手続きで粛々と進めるとの答弁でした。残念です。

 

 一度、ギャンブル依存症になってしまえば、本人も家族も一生苦しむことになります。そんな残念な人生にならないようにするためには、ギャンブル自体を世の中からなくすべきです。我が国では、持統天皇の時代(飛鳥時代)から賭博は禁止されています。保守を標榜し、伝統を重んじるというのであれば、ギャンブルは禁止です!

 

 

 

 一昨日(5月10日)の日本経済新聞に興味深い記事がありました。「NISA円安 じわり進行 為替介入に新たな伏兵」との見出しの記事によれば、「輸入企業による実需の円売りや、ヘッジファンドによる円売り投機が一因とされてきたが、新NISA(少額投資非課税制度)を通じた個人の海外投資の拡大が新たな伏兵として浮上してきた。「為替介入」だけでは、恒常的に生じる円安圧力を抑えきれないとの見方が市場を覆いつつある。」とのこと。

 

 岸田内閣は、資産所得倍増プランで新NISAなど投資を奨励しています。2022年2月9日の衆議院本会議と2月21日の衆議院財務金融委員会で、桜井シュウは、TOPIX(Tokyo Stock Price Index:東証株価指数)よりもMSCI(Morgan Stanley Capital International)の方がはるかにパフォーマンスが良いことを示しつつ、資産所得倍増プランを進めれば株式市場のパフォーマンスは日本株よりも外国株の方がはるかに良好ですので、日本の個人金融資産が外国株投資に向かえば、キャピタルフライトのようなことになりませんか?と指摘しました。キャピタル・フライトのようなことになれば、円が売られて外貨が買われることになりますから円安要因になります。

 1年前に桜井シュウが指摘した懸念が現実のものになりつつあるというのが日本経済新聞の記事です。日本経済新聞は、岸田内閣の資産所得倍増プランに乗っかっていたように見えましたが、ここにきて掌を返したのでしょうか。政策は、政策目的だけが達成されるというものではありません。様々な副次的な効果が発生します。プラスの効果であれば一石二鳥として大歓迎ですが、副作用のような効果が生じることもあります。

 桜井シュウは、政策のその先をシッカリと見極めて政策を提案していきます。

 一昨日(5月9日)に厚生労働省が発表した毎月勤労統計調査では実質賃金はマイナス2.5%でした。実質賃金とは名目賃金上昇率から消費者物価上昇率を差し引いたものです。24ヶ月連続でマイナス、つまりこの2年間、実質賃金は下がり続けています。

 昨年の春、春闘(春季生活闘争)で1993年以来の30年ぶりの大幅な賃上げと報道がありました。しかし、3.6%の賃上げと言っても、そのうち約2%は定期昇給分ですので賃金水準全体の押し上げにはなりません。結局は、物価高に賃上げが追い付きませんでした。

 今春の春闘では1991年以来の33年ぶりの大幅な賃上げとの報道がありました。しかし、ここにきて異次元の円安が進んでいます。円安が進めば、食糧やエネルギーなどの輸入物価が上がり、消費者物価全体が押し上げられます。今年こそ、物価高を賃上げが上回ることができるのでしょうか。アベノミクスをズルズルと引きずっていては実現は難しいと思います。

 まずは、アベノミクスからの決別を宣言することです。そうすることで金融市場の雰囲気がガラリと変わり、異次元の円安を反転させることができます。

 明日(5月10日)の衆議院財務金融委員会では事業性融資促進法案の審議を行います。桜井シュウは、11:05〜11:35の30分、質問します。

 企業価値担保権の創設という民法の原則にかかわる大きな法律になりますが、マニアックなので一般的には注目されていないようです。

 中小企業やベンチャー企業では、経営者の個人保証が横行していますが、人生を質にとるやり方は健全ではないと思います。個人保証をなくす代わりに、企業価値担保権を創設するということなのですが、法目的のように効果を上げられるのか、を見極めたいと思います。

 もしかすると担保権者が暴君の如く振る舞えるようになるのでは現状よりも悪くなるかもしれません。担保権の実行が頻繁におこれば事業譲渡が頻繁に起こることになりかねません。そうすると、事業会社で働く方々は事業譲渡のときには退職金の未払いなどの問題がおきるかもしれません。雇用条件の悪化、さらには雇用喪失のリスクがあるかもしれません。

 制度を変えるときには、プラス・マイナスがありますが、比較衡量を丁寧に行うべきです。国民生活には直結しないかもしれませんが、国民経済には直結する問題ですので、丁寧に審議します。

 


 

 なお、質問の時間割で、立憲民主党からの質問者3名のうち桜井シュウだけが後回しになっています。これは、桜井シュウが会派の中で仲間外れにされているというワケではありません。財務大臣兼金融担当大臣が10時からの参議院本会議で質問が入りました。大臣不在の時間帯は与党が質問することとし、野党の質問のときには大臣が在席するというようにするために変則的な時間割になっています。ということで、ご心配なきように。

 先週の5月1日に熊本県水俣市で水俣病犠牲者の追悼慰霊式が開催されました。その後に水俣病患者団体と環境大臣が懇談しました。この懇談の場で、水俣病患者団体の発言の途中で環境省の職員が持ち時間の3分を超過したところでマイクの音量を絞りました。「聞く力」を売りにしていたはずの岸田内閣ですが、「聞く力」は水俣病患者に対しては行使されず、封印されたことが問題になりました。

 この問題について、衆議院内閣委員会において立憲民主党の中谷一馬議員が誰の判断かという質問に対して、環境省は「この対応は従前より準備していた対応例にならい、事務方の判断で行った。代々こういう事態になったら、こう対応すると引き継がれてきた経緯がある。ただ発動されたのは今回が初めてだ」と答弁。

 この問題、委員会審議の中で中谷議員が「まさに岸田政権の『聞く力』のなさを体現する出来事だ。形式的なルーティーンワークと錯覚しているから、こんな失礼極まりない対応になる」と指摘した通りです。また、マイク音量が絞られたことに「気づかなかった」とした伊藤環境大臣について、現場で患者団体側は自分たちに気づいたのだから環境大臣が気づかなかったはずがない。マイク音量を絞ったことに気づいていたのに看過し追認し、マイク音量を元に戻すように指示しなかったのは問題です。また、気づいていたのに、「気づかなかった」とウソをついたのも問題です。

 水俣病のような公害の問題では、資金力がある大企業が加害者でありながら、小さな力しかない住民の被害が封殺されてきました。この反省から環境庁(当時)が設置されました。すなわち、環境省は弱き被害者の声を受け止めて、強き加害者に対峙することが基本姿勢として求められるのに、弱き被害者の声の音量を絞って聞こえなくするとは言語道断です。環境省の設置目的に立ち返って反省すべきものです。

 

 結局、伊藤環境大臣は本日(5月8日)、熊本県水俣市を再び訪問して、水俣病患者団体に「大変申し訳なく心からおわび申し上げたい」と謝罪しました。5月1日に帰りの時間を気にしたために、一週間後に再度、訪問することになりました。水俣病被害者の勘定を逆なでした上で、環境省の事務も増大して、失うものの大きかった対応でした。

 こうした失敗を私自身、他山の石とすべきです。政治と行政には、一人一人の人生がかかっています。誠心誠意、魂を込めて行うべきことを改めて肝に銘じました。