
日本の歴史上において1980年代初頭はヤンキーが最も盛んだった時代だった
ティーンエイジャーは非行に走り校内暴力や家庭内暴力は社会問題にもなった
しかし、それらを助長したのは僕が言うのも何だが(笑)
メディアにも責任の一端があるように思う
「茜さんのお弁当」や「積み木崩し」「不良少女とよばれて」などの
非行を題材にしたドラマや映画が制作されブームに拍車をかけた
今回取り上げるのは1983年(昭和58年)公開の不良中学生の青春群像を描いた
「BLOW THE NIGHT 夜をぶっとばせ」という映画作品
僕は昭和58年と言えば既に美容師として働いていた二十歳になる年だったから
もう、夜をぶっとばしてはいなかったので(笑)実は当作品は知らなかった
しかし、知人から僕らの世代の非行少年少女の日常生活が
リアルに描かれてるから是非観てと言われDVDをレンタルしてみた
往々にして1970年代の不良の青春群像を描いた映画作品は
観てる方が恥ずかしくなるような稚拙でクサイ演出の物が大半だ
それは1985年公開の「ビーバップハイスクール」にも言える
観る前はそう思ってぜんぜん期待していなかったのだが・・・

映画は全編を通して「ストリート・スライダーズ」ってロックバンドの楽曲が使われている
いや~ お恥ずかしながらストリート・スライダーズって知らんな~
ビジュアル的には当時のヤンキーというよりヘビメタな様相に見えるのだが・・・
と、いう事だが作品の紹介の前に、この作品の特徴をご紹介しよう
ツッパリやヤンキーが最盛期を迎えた1980年代初頭ティーンエイジャーは
喫煙、シンナー、暴走、喧嘩、不純異性交遊といった非行を重ねていた
そんな時代、1983年に本物の女子中学生を主役とした映画が製作された
その映画が「BLOW THE NIGHT 夜をぶっとばせ」という
主役に「高田奈美江」という素人の女子学生を抜擢した作品だった
監督は1976年(昭和51年)に「嗚呼!!花の応援団」を撮った曽根中生監督
後に曽根監督は当作品こそ自身の最高傑作と言われている
W主演という位置付けで「可愛かずみ」という当時のアイドルが出演しているが
あくまで主役は高田奈美江という素人の本物の非行少女だという事
まあ女優ではなくあくまで素人ですから演技という観点で言うと?ですが
本物の非行少女という事で逆にリアリティーがハンパない
てか、高田奈美恵は演技なんてしていない、素なのだ
個人的には映画と言うより、当時の日常をドキュメンタリーで見てるようだった

BLOW THE NIGHT 夜をぶっとばせ 1983年
<キャスト>
高田奈美江・可愛かずみ・小林栄次・小松由佳・なぎら健壱・渡辺えり子
高田純次・森山周一郎・滝田裕介・児島美ゆき・常田富士男・光石研
高田純次・森山周一郎・滝田裕介・児島美ゆき・常田富士男・光石研

<あらすじ>
十五歳の高田奈美江は東京近郊にある群馬前橋の中学に転校してきた
赤く染めたチリチリのカーリーヘアー、眉毛を剃って、耳にはピアス、爪にはマニキュア
ロングスカートの彼女は学校では相手にされなくても地元の暴走族とはすぐに親しくなった
<私見>
転校直後はセーラー服じゃなくブレザーで登場する奈美江
いや~ 頭のてっぺんからつま先までのディテールに
寸分の嘘やヤラセ感がない当時の非行少女
まあこれで中学生というのはちょっと驚きですが
僕の時代の呉の女子高生の非行少女の容姿はまさにコレでしたね~

そんな奈美江は、不良学生のリンチにメゲずに反撃する木戸尚也に惹かれていく
<私見>
最初、不良たちに呼び出されヤキ入れされた時の木戸君は不良っぽくなかった
しかし、勇敢に立ち向かい乗り切った後になぜかだんだん不良になっていく
う~ん 当時3年の不良に呼び出されてた自分の中2の頃を思い出す
木戸君の気持ちがよくわかる(笑)

一方、東京では理佳子(可愛かずみ)が学校帰りに
派手な私服に着替え煙草をふかして街を歩く
その美しさにスカウトが声をかけてくるが彼女は興味がない
<私見>
僕は可愛かずみというアイドルの事はよく知らないんですが生着替えシーンはよかった(笑)
てか、ストーリーはあくまで高田奈美恵の日常がメインなんですが
一度も奈美恵と接する事がない東京の不良少女の可愛かずみの日常が展開される
そんなシーンは要らないと思うのだが、可愛かずみの人気にあやかるという事だったのか?

奈美江たちは日夜シンナーに明け暮れる
<私見>
いや~ こんなシチュエーション何度も目撃・・・いや、体験?しましたぞ(笑)

先生に注意され、逆ギレして先生をマトにかける奈美恵
何と若い女教師のスカートを捲り上げパンティーが・・・
<私見>
当時は先生に逆ギレする事なんて日常茶飯事
男の先生には逆にブチ殴られた事もあったが女教師を泣かせた事もあったな~(笑)

授業をサボって保健室でニャンニャンする奈美江と木戸
保健室の先生に見つかって・・・
<私見>
中学の時に先輩の、これとまったく同じシチュエーションを目撃した事がある(笑)

教室でカップル同志で卒業前の記念撮影
フツーの髪して、フツーな学生服着てた木戸も
この頃にはリーゼントに中ランに変わってる

奈美恵はシンナーで補導されるが、親たちは責任を学校になすりつける
警察署で女性警察官に取り調べを受ける奈美恵
<私見>
えっ、女が補導された時は女性警察官が取り調べするのか?
呉署のイカツイ名物刑事にアメとムチで調書取られてたぞ(笑)

あまりの非行ぶりに家族会議が開かれる
あくまで冷静な父親とストレスで取り乱す母親
<私見>
まあこんな時に特に母親は苦悩しますよね~
何度も学校や警察、家庭裁判所に呼び出されて・・・(笑)

親の苦悩を余所に遊び惚ける非行少年少女たち
<私見>
はい、毎晩こんな風景がどこでも見られましたね

ナンパ待ちをする奈美恵とツレ
<私見>
こんな景色も昭和の風物詩でしょうな~
よく先輩に連れられてシャコタンで八丁堀に出たもんです
広島名物だった歯抜けのヨーコ、今何やってるんだろう?(笑)

ポット出の不良初心者にクンロク入れる奈美恵たち
<私見>
実は男より女の方が怖いんですよね(笑)

不良の姉を持つ奈美恵の妹、奈津子
最初は真面目だったのに、だんだん非行に目覚めていく
<私見>
はい、ウチの4つ違いの弟もそうでした
彼が小学生の頃兄はは毛嫌いされてたのに自身が中学に上がると・・・(笑)
てか、洋服を入れるビニールケースが超懐かしい!

ナンパされたり不良な先輩に付いて行く奈美江に嫌気がさし別れを告げる木戸
<私見>
そりゃまあそうですけど、そこが非行少女ですよね(笑)

しかし奈美江はセンチにも木戸とのツーショット写真を焼き捨てる
その後なぜか、自ら手に根性焼きを入れる(笑)

<私見>
非行少女だって意外とセンチな所もあるんですよね
だって「女の子なんだもん」(笑)

グループを抜けたいって言いだした仲間をリンチする奈美江
タイマンか、土下座を迫り結局彼女は泣きながら土下座する
<私見>
こんなんみると1コ上だった呉の伝説の不良少女フミコさんを思い出すな~
彼女の側近から数々の武勇伝を聞いて「女は怖い」って思いましたもん(笑)

奈美江と別れた木戸は、何と奈美恵の妹の奈津子と付き合い始める
不良初心者の奈津子は歯止めが利かずゾッコンになるのだが木戸は・・・
<私見>
はい、兄弟どんぶり、姉妹どんぶり、よくある話でした(笑)

奈美江は族の集会でリーダーの車の助手席でハコ乗り
<私見>
ハコ乗り、女がやると華があるんですよね~

授業中のささいなトラブルから生徒たちの反乱が始まり学校ではついに暴発が起きた
<私見>
この時代がホントの意味で校内暴力のハシリでしたね

校内にはロックが鳴り響きふだん憎まれていた教師は袋叩きにされる
怒号がとびかい、バリケードが作られ、生徒たちは荒れ狂う
ついに教育委員会が警察に通報して警官が学校に乗り込んできた
奈美江にとっての本当の祭りが始まったのだ
<私見>
僕の時代はここまではなかったが、弟の時には・・・(笑)

先輩たちにマワされる奈美江
<私見>
まあ、こんな事もよくあった話で・・・
てか、自ら望むボランティア精神旺盛な女子も少なくなかった(笑)

その頃、木戸にすっぽかされた奈津子は夜の東京で理佳子(可愛かずみ)と出会う
仲間の男たちと家まで送るという事になったのだが・・・

何と、飲酒運転の男が運転を誤り車ごと海に落ちる
運転手は自力で浮かび上がったが奈津子は上がって来ない
運転手の男は警察に通報する事もなく、その場から逃げる
<私見>
運転を誤って車やバイクで海に落ちたって話は何度か聞いたが
それで死んだって話は聞かなかったな~

奈美江は中学を卒業して社会人になる
新宿駅の東口歩いてるんだけどタイトスカートのスーツ姿の奈美恵は
もの凄く外見が浮いててこの先のまともな人生送れなさそうな感じ
きっと水商売か風俗嬢にでもなるんでしょうな~(笑)
<総評>
個人的にはこれは映画というよりセミドキュメンタリーだと思う
ストーリー的に言っても何が言いたいのかもよくわからない
しかし僕がこれまで観た青春群像の不良映画の中では
ある意味、一番面白かったしリアルだった
が、観てる途中でフト気付いたのだが僕は非行少年少女目線じゃなく
大人目線、親目線で非行少年少女を観てる自分に気が付いた
そういった立場、歳になったという事でしょうな~
てか、この時代に戻りたいかって訊かれたら答えはNO!
観てるだけで非行少年少女の日常疲れました、あの頃は若かったんだな~(笑)
ジャンジャン!!