妄想ラブレター

 

 

突然の手紙ごめんなさい。

 

最近はめっきり日も伸びて。あたたかい日が多くなりましたね。かと思えば、そうはさせねーぞと言わんばかりに冷え込む日があったりして体調は崩していないでしょうか?

 

そんな寒い日は、季節外れの鍋でもしようかなとスーパーに行きました。白菜、エノキダケ、豚肉を買い何か買い忘れてないかなと野菜売り場にもう一度足を運ぶとしいたけの特売をしていました。そんな特売のしいたけを手に取ると昔のことを思い出しふと笑ってしまいました。

 

198円のしいたけに君のことを思い出させられ、手紙を書いてみようと思ったのです。

 

「焼しいたけはすぐに食べないと冷えるのが早いから気をつけて。しいたけの裏側のひだひだの表面積ナメないで。」と君は真剣に話してくれましたね。あの時少し笑ってしまってごめんなさい。

 

あん肝はあんなに居酒屋のメニューで見かけるのに肝心のあんこうの身を全然見かけないことは居酒屋の七不思議の一つだと君は言っていましたね。後の六つは?と聞くと「あのさーそういうのは自分で見つけたほうが面白いよ。」と言って教えてくれませんでしたね。

 

あん肝の話をしているのに肝心っていうと肝が二つ出てきてややこしかったね。そんな事を言ったらまた怒られてしまうかもしれませんね。

 

でも最近、その一つを見つけた気がします。居酒屋でお水を頼んで氷を入れないで下さいと言っても毎回氷が入ってくるのは七不思議の一つではないでしょうか?

 

ある時、君は泣いてましたね。そんな君を慰めようとする僕に

「今までの人生で泣いた数よりおかわりした数の方が多いから大丈夫。」と笑って言いました。慰めようとした僕の方が元気をもらってしまい結局あの時君がどうして泣いていたのかはわからないままです。

 

男女の友情は成立するのかという話になった事を覚えていますか?

 

僕が「男って・・・」と話始めようとすると「なんで君が男を代表するの?どこかで男代表を決める大会で優勝したの?」と言って怒られましたね。そうして君は「私は、あると思う。だって私たちが証じゃん。」と言ってくれました。僕は「うん。」ともう氷しか入っていないレモンサワーのグラスを口に運びジャラと音を立てました。

 

ごめんなさい。謝らなくてはいけないことがあります。あの時僕は君を友情とは別の感情で見ていました。それなのに君を友達と言って嘘をついてしまいました。

 

ごめんなさい君が好きです。すごく好きです。

 

そしてもう一つ嘘をついてしまいました、しいたけを見て君を思い出したと書いたけれど

君のことを忘れた日は一度もありませんでした。

 

好きです。それを伝えたくて手紙を書きました。

 

それだけです。では体調には気をつけて。