青酸ニトリールと毒殺
青酸カリ、青酸ソーダはアーモンドに似た独特な匂いがする。
水に溶かして青酸カリを飲ませようとしても、
独特の舌を刺すような刺激的な味で相手に気がつかれることがある。
そこで、陸軍登戸研究所は青酸カリを改良して青酸ニトリール
(アセトン・シアン・ヒドリン)という毒を開発した。
化学式は下記の通りである。
(CH3)(CH3)C(OH)(CN)
炭素原子は4つの原子と結合できるが、
二つのメチル基(-CH3)と水酸基(-OH)とニトリル基(-CN)と結合している。
青酸ニトリールは無色、無味、無臭であり、青酸カリに比べ安定している。
青酸カリが固体なのに対し、
青酸ニトリールは水にもアルコールにもよく溶けて
飲食物に混合しやすい液体である。
青酸ニトリールを摂取すると、
胃酸と反応して青酸ガス(シアン化水素)が発生して、
青酸カリと同様に中毒死する。
青酸カリを摂取しても、
胃酸と反応して青酸ガス(シアン化水素)が発生して、
中毒死する。
昭和16年6月17日、登戸研究所員は
長崎港を出発して上海を経由して南京に到着した。
中国にて青酸ニトリールの人体実験を実行している。
青酸ニトリールの致死量は大体1ccであり、
2,3分で微効が現われ、30分で完全に死に至った事例もある。
体質、性別、年令によって死亡までに2、3時間から
十数時間を要した事例もある。
青酸カリに比べ、青酸ニトリールの効果が発現する時間が長い。
参考文献
タイトル:陸軍登戸研究所の真実
著者:伴繁雄(ばん しげお元陸軍登戸研究所所員)
出版社:芙蓉書房出版
出版日:2001年1月25日
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