レーダーと電子戦

現代戦では、レーダーを使って、ターゲットの位置、移動などを捕捉し、
レーダーと連動した射撃システムにより、ターゲットを撃墜する。

すると、レーダーの対策技術が発展する。

有名な対策はステルス機能を付与することである。

例えば、ステルス戦闘機などでは、
レーダーが照射するマイクロ波に捕捉されないように、
様々な工夫を凝らしている。

更に、レーダーからマイクロ波が照射されたとき、
このマイクロ波を妨害したり、減殺するために電子攻撃を開始することがある。

第二次世界大戦の時代から、チャフと称するアルミ箔を空中で散布するという対策がされていた。

最近では、レーダーが発射するマイクロ波をターゲットにして、
ミサイルを誘導する技術も開発されている。

これらの電子戦の詳細は軍事機密に指定されているようである。

もっとも、チャフとかステルス機能のような古典的な対策は既に機密解除されており、アルミ箔を散布するとか、酸化チタンを機体に使うという程度のことは明らかにされている。


マイクロ波聴覚効果を利用した通信機器

レーダーに使われるパルス波形のマイクロ波は、
人間の頭部に照射されたとき、音として認識されるという現象がある。

この現象はマイクロ波聴覚効果というのだが、
マイクロ波聴覚効果を応用して、
米国陸軍ウォルター・リード研究所が、
人間の頭部に直接、音声を送信する通信機器を開発している。

この通信機器は、パルス波形のマイクロ波ビームを
ターゲットの頭部に照射して、脳に直接、音声を送信する。

ターゲットは携帯電話のような電子機器を所持していなくても、
頭の中に直接、声が聞こえることになる。

レーダー技術を応用して、ターゲットの頭部の位置を捕捉して、
ターゲットの頭部にのみ、マイクロ波ビームを照射するのである。

対策

人間の頭部に直接、音声を送信する通信機器を使う敵に対しては、
電子戦と同様の対策をすることにより、
マイクロ波聴覚効果による音声送信の威力を
減殺することができることが想定される。

ところが、電子戦と同様の対策をするためには、
防衛産業の協力が必要となり、
通常は軍事機密の壁に拒まれる。

例えば、電磁波をシールドする布は市販されており、
マイクロ波を10dB~30dBは吸収する。

しかし、軍用の通信機器は、マイクロ波の出力を10dB~30dB
大きくすることにより、電磁波シールドの防御を突破してしまう。

防衛省、自衛隊のスパイ部門が、レーダーを応用した電波兵器で
国民を攻撃するときには、
対策はなかなか困難である。