オックススタンダードメールマガジン 『 S T A N D A R D 』
http://www.ox-standard.co.jp/
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◆ 目 次 ◆
【1】 今号の一言 『2000億円を溶かしたAIJ投資顧問』
【2】 本文 『虚偽の友は“虚偽” - クラウドゲート[旧 テラネッツ] -』
【3】 編集後記 『OX(マルバツ)情報』
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【1】 2000億円を溶かしたAIJ投資顧問
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投資顧問会社「AIJ投資顧問」が、運用していた企業年金資産の9割に
相当する2000億円を消失させていたという。
2008年9月に起きたリーマン・ショックの影響などで、
運用していた金融派生商品の価値が大幅に下落し、多くの年金資産を
消失させていた可能性が高いらしい。
現在、欧州ではリーマン・ショックならぬギリシャ債務危機が起きている。
そのギリシャ債務危機においては、
民間債権者が“自発的に債務減免に応じること”が期待されている。
ギリシャ債務危機に端を発して、
第二第三の「AIJ」が起こる火種は、すぐそこに存在する。
(いや、保守的に考えて、ギリシャ債務危機以前に
第二第三の「AIJ」が発生していると考えといた方が良いだろう。)
自主防衛、これがキーワードだ。
たとえ資産運用を委託したとしても、
自らの目で定期的に運用成績を確認できない、
もしくは自らが理解できない投資をしている場合は、
即刻解約することをお勧めする。
決して、考えることを放棄して、
「たぶん大丈夫だろう」という判断だけは行ってはいけない。
それでは、本文をお楽しみください。
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【2】 虚偽の友は“虚偽” - クラウドゲート[旧 テラネッツ]
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【リリース概要】
2012年2月22日、札証アンビシャス上場のソフトウエア開発会社
「クラウドゲート[旧 テラネッツ](2140)」は、
3月23日付で上場廃止となると発表した。
同社では、旧経営陣により2006年から2011年にかけて、
不適切な会計処理が行われていた。
---- アラーム管理システム(OX理論)の分析情報 ----
【会社概要】
社 名 クラウドゲート株式会社[旧 テラネッツ]
市 場 札証アンビシャス
証券コード 2140
業 種 サービス業
従業員数 48人
所在地 東京都千代田区神田佐久間町1-9 第7東ビル
監査法人 新日本監査法人 (2005-2007年12月期)
聖橋監査法人 (2008年12月期)
監査法人ハイビスカス(2009-2010年12月期)
主幹事証券 みどり証券[旧 ディー・ブレイン証券]
【OX理論】
OX格付 CCC【-8】(2008年12月単独決算)
OX格付 BB 【21】(2009年12月単独決算)
OX格付 BBB【43】(2010年12月単独決算)
※ 当分析は、決算訂正前データ(粉飾決算)に基づいた分析です。
【分析表1_2008年~2010年】
![$OX理論が測る企業価値](https://stat.ameba.jp/user_images/20120229/17/oxalarm/19/a2/j/t02200156_0800056611823532920.jpg?caw=800)
![$OX理論が測る企業価値](https://stat.ameba.jp/user_images/20120229/17/oxalarm/7c/a7/j/t02200156_0800056611823532919.jpg?caw=800)
![$OX理論が測る企業価値](https://stat.ameba.jp/user_images/20120229/17/oxalarm/5e/6d/j/t02200156_0800056611823532921.jpg?caw=800)
http://www.ox-standard.co.jp/pdf2/120229/crowdgate_2008-2010.pdf
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<OX理論(アラーム管理システム)とは>
![$OX理論が測る企業価値](https://stat.ameba.jp/user_images/20120229/17/oxalarm/33/06/j/t02200165_0800060011823549357.jpg?caw=800)
http://www.ox-standard.co.jp/pdf2/oxanalysis.pdf
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---- 終了 ----
【動機】
最初は、2010年5月上場廃止となったエフオーアイ(FOI)と同様に、
上場することを目的として粉飾を行った。
上場後は、財務内容をよく見せるために粉飾を続けていた。
株式引受先に上場することを約束して第三者割当増資を行ったことが、
粉飾に手を染める強い誘因となったのは間違いない。
【架空売上のための“迂回入金テクニック”】
昨年の『今年の粉飾を把握する』でも記載した通り、売上を計上するだけなら、
注文書を偽造して請求書を発行すれば事足りる。
しかし、問題なのは売上の回収である。
その回収の資金捻出に“不適切なテクニック”がある。
今回の事例においては、「資金循環を前提とした固定資産の購入」や
「子会社貸付による資金循環」がなされていた。
この中で、後者の「子会社貸付による資金循環」については、
決算書に明確すぎる証跡を残している。
【2008年12月決算における貸倒引当金 ※ 訂正前の数値】
≪推移≫ (単位:千円)
〔売上〕 〔関係会社長期貸付金〕〔貸倒引当金(固定資産)〕
2007年 561,850 450,000 0
2008年 581,082 872,966 -872,966
2009年 563,826 0 0
2010年 507,871 0 -785
<クラウドゲート[旧 テラネッツ]の有価証券報告書(2008年BS固定資産より抜粋)>
![$OX理論が測る企業価値](https://stat.ameba.jp/user_images/20120229/17/oxalarm/94/7c/j/t02200311_0800113211823533611.jpg?caw=800)
http://www.ox-standard.co.jp/pdf2/120229/crowdgate_2008allowances.pdf
こんなことを言っては不謹慎かもしれないが、
2008年の関係会社長期貸付金の金額が、
そのまま同じ数値で貸倒引当金に計上されているのを発見した時には、
思わず口元が緩んだ。
さらに、翌期の2009年には、「8億7296万円の貸付金の内、
8億4800万円の債権放棄をした」というリリースを見た時には、
思わず涙腺が緩んだ。
さらに、同期に、「関係会社長期貸付金の相手先である
(株)チャリロトの株式を1500万円で保有全株売却し、
特別利益を1500万円計上する」というリリースを見た時は、
当然の如く呆れた。
【身の丈に合わない投資】
事業活動を行っていれば、子会社へ貸付を行うこともあるだろう。
そして、その判断が誤っており、全額を引き当てることもあるだろう。
しかし、である。
クラウドゲート[旧 テラネッツ]の売上を見て頂きたい。
売上5億円の会社である。
売上5億円の会社が、いくら有望な事業を行っていると判断しても
8億円もの貸付を行うのは、“身の丈に合わないリスキーな投資”と言える。
しかも、翌期には債権の97%を放棄して、保有全株式を格安で
売却しているのだから、“開いた口が塞がらない”という
人生初めて使う諺を惜しげも無く使いたい。
それゆえ、“身の丈に合わないリスキーな投資”を行う理由が
別にあったと解釈するのが、合理的であり、自然な思考である。
このように考えると「監査法人は何もやらなかったに等しい」と
言っても言い過ぎではないし、何十回でもリピートしたいくらいだ。
【AIJ投資顧問と クラウドゲート[旧 テラネッツ]はお友達?】
ところで、クラウドゲート[旧 テラネッツ]の主幹事証券を
調べていると、非常に興味深い書き込みをネット上で発見した。
>>171
クラウドゲート[旧 テラネッツ]のアンビシャス上場監事は、
ディー・ブレイン証券(現みどり証券)、東洋、エース、岩井、ジェット(現マネックス)、
上光だ
>>215
幹事証券はそうなんだろうが上場準備はITM証券な
参照元『市況かぶ全力2階建』
http://kabumatome.doorblog.jp/archives/65650806.html
世間を騒がせていているAIJ投資顧問の実質支配のもと、
ケイマンの私募投信へ投資を行っていたがITM(アイティーエム)証券である。
そのITM証券が、クラウドゲート[旧 テラネッツ]の上場準備に
関わっていたという記述である。
もちろん、2ちゃんねるの情報のため、真実かどうかは分からない。
しかし、これをキッカケにして、種々の情報を調べたところ、
有価証券報告書や各社ホームページ等から、面白い情報が抽出できた。
(1)クラウドゲート[旧 テラネッツ]の監査役
柏木 宗利
平成15年7月 ミレニアム・アソシエイツ入社
平成16年9月 同社代表取締役就任
平成18年7月 クラウドゲート[旧 テラネッツ]監査役就任
平成22年3月 クラウドゲート[旧 テラネッツ]監査役退任
(2)ミレニアム・アソシエイツの代表取締役と大株主
浅川 実
平成19年9月 代表取締役社長就任
浅川 和彦
平成22年7月 大株主
(3)AIJ投資顧問の社長
浅川 和彦
平成16年6月 代表取締役社長就任
つまり、クラウドゲート[旧 テラネッツ]の監査役には、
ミレニアム・アソシエイツ代表取締役を務めた人物が存在した。
そのミレニアム・アソシエイツとは、AIJ投資顧問の代表取締役を務める
浅川和彦氏が大株主の会社であり、その代表取締役社長には浅川実氏という
同じ浅川姓の方が務めている。
AIJ投資顧問とクラウドゲート[旧 テラネッツ]は、
お友達?と思わせる状況証拠は存在していると言えそうだ。
【総括】
日本には、2~3のグループが場所(「箱」企業)を変えて、
虚偽記載等のテクニックを駆使した不公正ファイナンス行っているように思える。
その2~3のグループが頂点に君臨して利益を享受し、
虚偽を行う隙がある上場企業を探す人、
虚偽の方法を指南する人、
虚偽を実際に行う人とそれを監督する人、
虚偽を見逃す人が、それぞれの役割を実行しているのだ。
2012年2月27日、ジャスダック上場のセラーテムテクノロジー(4330)が、
英領バージン諸島の投資ファンドを割当先として総額約15億円の第三者割当増資を
行うと発表したが、この約15億円は実際には投資ファンドから入金されておらず、
増資は見せ掛けだった疑いがあるという報道がなされた。
セラーテムテクノロジーの真偽は分からないが、オリンパス(7733)といい、
クラウドゲート[旧 テラネッツ]といい、虚偽手法が酷似している。
各社は、お友達、兄弟、従妹、父子の関係にあると言えるだろう。
※ 参考資料
クラウドゲート[旧 テラネッツ]
『第三者調査委員会報告書の受領に関するお知らせ』
http://www.crowdgate.co.jp/ir/press/pdf/2011/111213_2.pdf
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【3】 編集後記 OX(マルバツ)情報
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旧社名のオックス情報は、
「企業のOX(マルバツ)情報を提供する」という使命が、その由来だった。
この理念は単純で分かりやすく、
辛口な分析を行うアラーム管理システムの特徴とマッチしていた。
弊社の社名からオックスはなくなったが、
このメールマガジンについては、変わらずにオックスの名称を使い続けたい。
社名は変更されましたが、アラーム管理システムの事業は変わらずに継続します。
本事業は、アラーム管理システムのユーザー様及び代理店の皆様と
OX(マルバツ)情報の理念を理解している社員がいる限り、継続します。
今後とも変わらずに、アラーム管理システムをご愛顧ください。
よろしくお願い申し上げます。
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【注意事項】
本メールマガジンは各種情報の提供を目的としております。
各種情報の内容については万全を期しておりますが、その内容を保証するものでは
ありません。記載された情報を使用することにより生じたいかなる損害についても、
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