社会人インタビュー、佐野瑞樹さんの後編になります。

後編では、
・佐野さんの大学生活
・佐野さんの目標
・留学生へのアドバイス


などを聞いていきます。

どうぞご覧ください!



(前編より)
-先程佐野さんの40代、50代のお話がでましたが、これからどういう風になっていきたいですか
考えてはいるのですが、なかなか難しいですね。


-ずっとNYにいたいですか
私はNYは3,4年と決まっているので、今年帰国かあと一年ですね。そのつもりで来まし。

アナウンサーっていうのは、待ってなきゃいけない職業でもあるんですね。
というのは、スタッフから「佐野君あれやって」って言われないとやれない職業なんです。
この時間にこういう番組が出来る、こういう内容にしたい。
そういうものが出来てからキャスティングになるんです。

最初から、キャスティングありきで番組を作ることもありますが、アナウンサーのキャスティングは最後ですね。
だから、待ってるんです。そして、番組に恵まれることもありますし、一回で終わってしまうこともあります。

ですから、どんな番組の話がきても、それをこなせるような「心・技・体」を準備しておくことが仕事の一つだと思います
。あれをやりたいとかこれをやりたい、というよりは何にでも対応できる準備をしておく。

そのためにアメリカに来て新しいことを吸収して、今まで知らなかったこととか、
アメリカから見た日本を考えたりして、人間の幅を広げて帰国して待っていれば、同じ仕事をするにしても内容が違ってくると思っています。
違う視点でアナウンサーという仕事はどんなものだろうと再確認したり。
色々経験して、色々なとこへ行ったりね。それは大学生の皆さんと一緒ですね。

-そうですね、迷いながら色々やってます。
私も迷いながらです。でも、それで良いと思います。


-先程やりたいことがあるっておっしゃっていましたが、それは何ですか
言葉にするのは難しいですね。無いわけではないのですが。


-NYに来て変わられたことはありますか
これは変わったこととは違うのですが、実はアメリカ50州に全部行ってみようと思いました。
現在36州に行ったのですが、赴任中に間に合うかな、と。

-あと14州は西側の州ですか。それとも中心部の方とか
どこだと思いますか。


-コーンベルトの辺りじゃないですか
私もそう思ったので、そこは行っておきました。(笑) 
残った州はケンタッキーとかテネシーとかの東海岸の西側ですね。シャーロットは行ったのですが、トランジット(飛行機の乗り換え)だったのでノーカウントです。
あと、アトランタやジョージアなどの南東部は行ってないですね。


-変わった点はもしかしたら日本に帰った時に気付くことなのかもしれないですね
そうですね。あ、そういえば日本に仕事で帰ると、「アメリカ人みたいな顔になったな」って言われることがあります。
表情が変わってきているんですかね?アメリカ人は「ハーイ!」って言った時に眉が動きますよね。その影響かな?


-表情が大きいですよね。
僕も去年の冬に日本に一時帰国した際に「三カ月しか経ってないのにアメリカ人みたいになったな」って言われました。
態度が大きかったらしいです。(笑)

確かに良いことか悪いことか分からないけど、恥ずかしがらずに物を言えるようになりますね。仕事柄ニュースなどを見ることが多いけど、「アメリカの人はみんな堂々と話すなあ」と感じます。


-アメリカのテレビ番組って相手を遮って話しますよね。
そういう文化もあって良いと思います。
両方の文化を体験して、良いところは取り入れればいいし、悪いところはやめればいいですよね。
だから、そういうこと一つにしても、帰国した後にアメリカに行く前と違いが出ればいいな、と思っています。


-何かアメリカでやっておきたいことはありますか?
うーん、そうですね。以前取材でチリのサンチャゴに行ったんですよ。
たまたま若い人達と一緒に取材したのですが、スペイン語を教えてくれるんです。


-こうやって言うんですよって?

そうそう、それで何回も同じ質問してくれて、そうするとだんだん覚えてくるんです。いいなぁ、こういう覚え方って思いました(笑)

-NYはビジネスライクな付き合い方が多いということですか?
ビジネスの得があるかないか。こいつと友達になっておけば、色んな友達連れてくるからとか、
そういうことで友達になるならないというのがあると思うんです。

-そういう雰囲気はありますね。
または余程日本の文化に興味があるとか。そういうことがないと、この歳になると、なかなか友達になりにくくて。
同じ人に何度も会うことはあまりなくて。
人見知りだからというのもあるんですが、そういうことでは学生の方がいいですよ。
損得なくて、同じクラスっていうだけで仲良くなれて。ご飯食べに行ったり。
ご飯食べるだけでも 全然違いますからね。ご飯食べるだけでも誰かいないかなと、探さなきゃいけないんです。


-何か若い人に伝えたいことはありますか?
偏見かもしれませんが、今中国人とか韓国人とが、アメリカ社会の中心まで入り込んでいってる思いがするんですよね。
2世が増えてきたのかな。日本は帰国してる人が多いですよね。それぞれ国や個人の事情があるのはわかりますが。
たとえば、大学の取材に行くと、優秀で奨学金をもらって授業料が無料で、
すごい近くに入寮している特待生みたいに通っているような人、アジア系では中国人、韓国人が多いんですよね。
ニューハンプシャーの大学に行った時にどんな学生がいるのか、ずっと見てたんですけど、日本人はいなかったです。

-私の大学も、やっぱりアジア系の留学生が多いです。
負けちゃダメですよ。

-結構アジア人として見られますね。日本人ではなくて、アジア人なんですよね。
そうだよね。僕も中国人に道をよく聞かれます。

-私もすごい「ニーハオ」って言われるんです(笑)
私達だって分からないですよね、フィンランド人とスウェーデン人の区別。

-分からないですね。
ところで、2人はどこで?

-所属している学生会、NYJSAです。
-日本でも違う大学なので。
そういう出会いもあるんだね。
大学は東京ですか?

-僕は慶応から来ました。
-私は大分県の大学です。
今度のミスユニバース日本代表に選ばれた方は大分の人ですよね。

-そうなんですか!
-すごいね、大分!
-いや、でも私出身は関東なんですよ。大学だけ大分県で。
大分大学ですか?
-いや、立命館アジア太平洋大学っていう少し変わった大学です。留学生が約半分なんです。
知っています。面白いところ入ったね!いい環境ですね。うらやましいです。


-留学生に佐野さんからアドバイスはありますか? 
例えば、今こういうことをした方が良いですよ、やこういう人になってください、など。

やはり、一人でも多くの若い日本人が、アメリカ社会の中心に踏み込んでいってほしいということですね。それが経験に繋がると思います。
でも、今の学生さんがどういうことをしているのか分からないの で、なんとも言えませんけどね。
「もうすっかりそんなこと余裕でやってますよ」って言われちゃうかもしれないしね。(笑)
日本の学生さんは、自分はそうだったけど、あまり勉強しないんですか?

-いや、そうでもないんですよ。僕の周りは、自分より勉強している人が多いですね。
環境には恵まれていますね。
いいですね。では、それを続行してください。(笑)
強みがあった方がいいですよね。なんでもいいから。

-佐野さんの強みはなんですか?
ないから、やっぱり余計に思うんですよね。 でも、つまらないことでもいいんですよね。
たまたま今日帰ってしまったのですが、フジテレビ系列のテレビ新広島の人なんですけど、大人しい人なんです。
いつも寡黙でほとんど喋らなくて最初はつまらない人だなぁって 思ってたんです。(笑)
ただ、頭の良い人だとは分かっていたんです。

その人と仲良くなってみると、大学時代は和歌山で毎日みかんを 作っていましたって。
ゼミの一環でね。みかんのことならなんでも分かりますって。
それから1年ぐらいして、京都でアルバイトでバーテンをやっていたっていうことを告白して。
そのまた半年後に、「僕、実は今サルサの教室に行っているんです」ってね。1つ1つ教えてくれてね。
そうすると、その人が魅力に見えてきませんか?だから、強みや武器っていう風に大げさに考えなくてもいいし、
別にそれは仕事に繋がらなくてもいいですし、なにか熱中することがあった方がいいですね。


-佐野さんの学生時代はどんな感じだったのですか?
バイトしてたのかなぁ。あとは飲んでいましたね・・・。

-佐野さんは早稲田大学の人間科学ですよね。
人間科学ですね。所沢にあるね。

-何を勉強されていたのですか?
人間を科学していたんです(笑) 
スポーツ科学科でした。今はスポーツ科学部といいますね。
僕は4期生で、僕が入学した時、4年生まで揃ったんです。

-結構出来たばかりだったんですね。
校舎もキレイだったですしね。学生も1学年700人くらいしかいなくて。
大学だから全員毎日来るわけじゃないでしょ? なので高校みたいでした。
でも、スポーツの最新の施設 がいっぱい揃っていましたね。

当時、アジアで1番記録が精密に計測できる水泳のプールがあったりしました。
各競技の一流の選手が同級生にたくさんいます。
今も活躍している選手もいますが、引退して指導者になっている人もいます。


-それは、アナウンサーの志望の理由でもあった、スポーツが好きで、そこに入られた?
そうですね。


-大学選びから職業選びまで、一貫しているんですね。
一貫してました?そんなにしていないと思いますけどね(笑)たまたまなんですよ。
大学も、たまたま受かったんですよ。大学も7つ受けたら、第一志望しか受からなかったんです。
フジテレビもそうですし。

だから今までに、2度奇跡が起こったと思っているんです。
死ぬまでに、もう1度くらい奇跡が起きるんじゃないかって思ってるんです。
人生に奇跡は3度あるんじゃないかって。


-それではアナウンサーを目指している方に、何かメッセージはありますか?
狭き門ですからね。あまりないです。どの職業に就く人も同じ。
色々経験して、「人間力」というか、幅をね。今までこうだと思っていたことがこうだったとか、色々出てくると思うし、
自分の考えを持っていないとブレてきてしまいますからね。

-自分の軸のようなものを?
そうですね。それを一生懸命4年間の中で ね。
あまりかたくなになると、「私はこうだと思うからあなたの意見は絶対違うと思う」みたいになって、困りますけどね。
でも 一応は、自分はこういう風にしていきたい、生きていきたい、とか政治についてはこう考えている、経済に対してはこう考えて いるとか、大きいことじゃなくても、
例えば、ドラ焼きについてはこう思っている、でもいいしね。
そういう1つ1つの考え方を身につけておいた方が、何かあった時に強いですね。
アメリカで日本人以外の人、色々な国の人と会って、
こういうことはどう思っているのか、1つ1つ、聞いてみた方がいいですね。

-全然違いますもんね。人によって、いや、人種も違いますし。
「それをそうとる?」みたいなことも多いです。

日本人の中だって違いますもんね。
それが外国の人となったらもっと違う。
でも、色んなこと聞いて、一生懸命考えて、自分の考えを構築してね。
私はこうだっていうものを1つ1つ作っていけば、またリーマンショックみたいなのが起きた時に、
なんらかの対応が出来るはず。今度はもしかしたらお2人も社会人になっているかもしれませんしね。

-自分の芯みたいなのがあれば、対応のしようがありますもんね。
大分の大学でいっぱい外国の友達作っておけば、
何か起きた時に助けてもらえる、外国に逃げられる。(笑)

-そうですね。聞いたことのなかった国から来た人もいますしね。

-それでは、そろそろお時間ですのでインタビューはここまでにさせて頂きます。
本日はどうもありがとうございました。

-ありがとうございました。
こちらこそ、どうもありがとうございました。


$New York Press by NYJSA



いかがだったでしょうか。
僕には、
せっかくアメリカに来ているのだから、もっとアメリカ社会の中心に飛び込むべし!
まずはチャレンジ!失敗したらそこから考えよう!
という前向きなメッセージが、一番心に残っています。

皆さんにはどんな想いが感じられたでしょうか。


さて、次回は佐野さんに紹介して頂いた証券会社の方にインタビューをしてきます。
去年の1月から始めたこの企画も、僕が参加するのは次回で最後になりそうです。
最後の一回も楽しんできます!

ここまで読んで頂いてありがとうございました!



文責:前田塁、朝比奈麻由

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