迷子の花子の3日間と見つかった時のお話し | 村岡希美と花子(犬)と申します。

村岡希美と花子(犬)と申します。

村岡希美が美しい犬の花子と暮らす、地味だけど、ちょっこりとした幸せをかみしめたり、地味だけど、これほんとに美味しいね!と思えるご飯づくりを目指したり、雨の日も風の日も散歩して花子と健やかな日々を慈しんだり、そんな静かなブログ、となることでしょう。

テーマ:
花子は、山に捨てられていた、
と思われる子です。

どれだけの時間を一人で生き延びてきたのかは、花子にしかわかりません。

保護されて、ご縁あって、
私の元へやってきました。
出会った時は、
痩せっぽちな、子ぎつねの様でした。

でも、花子の瞳は美しく、
まだ、虫や葉っぱもくっついてはいましたが
生まれながらの気品を携えていました。

我が家に来て、
花子のために用意されたクッションにスッポリとおさまり、
すぐに、
ここで、生きる、と決めたかのように、
安心して、ぐーーすか眠ってくれました。

翌朝、眼を覚ますと、
また、同じところで目覚めた嬉しさと、

また、この人(わたし)に
会えた嬉しさを、

存分に身体全体であらわしてくれました。


一日、一日の目覚めが新しく、
今日、安心して生きていられる喜びを、

毎日、毎日、

全力で、

可愛い笑顔で教えてくれました。



そんな花子と暮らして、

3年ちょっと過ぎた時、

毎日が、

花子と元気に楽しく暮らすのが

当たり前になっていたそんなとき。


花子の飛び出し事件。

が、起こりました。



花子は、我が家にきた当初はお散歩すらビクビクで、とにかく、私以外の人間を、不審に思っているようでした。

でも、この3年の日々の積み重ねで、大きく変わっていってくれました。

いつしかお散歩は大好きになりました。
我が家に誰か侵入しようものなら、
狼のごとく、侵入禁止を吠え立てていた花子は、私の家族や、友人たちが、
コツコツと、
せっせと、
地道に通ってくれたおかげで、
私以外の人間たちとも、
少しずつ、
少しずつ、
交流が出来るようになり、
そんな皆んなと会うことも、
花子にとっても、楽しい、と思えるようにまで変わっていってくれていた、ように思っています。


近所に暮らす友人Mちゃんとそのファミリーとも、一年以上かけて、お互いの家を行き来し、花子もそのMちゃん宅に行く時は楽しげで、Mちゃんのご家族にも可愛がってもらっていました。

私が舞台の夜公演の間の数時間、花子がMちゃん宅で待っていられたりしたらいいね、と、お試し保育、をやってみたところ、
一度目は大成功で、私が迎えに行った時には花子は優雅にMちゃん宅のリビングのテーブルの下で寝ていました。

花子もだいぶ慣れたものだと、2度目にお預けをしてみた際、

私がもうあと少しで迎えに行けるというときに、
花子は急に不安が襲ってきたようで、
息をハァハァさせて(極度の緊張のときによくこうなります)玄関の前で待っていたようです。突然、昔の悲しい経験が蘇ってしまったのかもしれません。
Mちゃんが側に寄り添ってくれていたのですが、ちょうど旦那さまが帰宅なさり、ほんの一瞬ドアが開いた瞬間に、花子は玄関から飛び出してしまいました。
木曜日の23:00頃でした。



そこから、

花子の3日間の、

迷子の日々が始まりました。
 


友人宅から我が家までは、
大人が歩いて15分。

何度も何度も行き来していたので、
道は覚えていたようで、
花子はとにかく飛び出して、
お家に帰ろうとしていたと思われます。

まさに、その後、みごとに、
我が家のマンションまでは帰ってきたようで、隣にあるコンビニの前にいたのを、
捜索に加わってくれた別の友人が発見し、
花子を捕らえようとしましたら、
花子はダッシュで逃げてしまいました。

この友人も、何度も花子と会っていて、
花子もなついていた友人でした。

きっと動揺して、とにかくお家に帰るためには誰にも捕まらずに逃げ切らなければ、という気持ちにかられてしまってたのではないか、、と、推測しています。


そこから花子はめくるめく、

とにかく、

走りに、

走ったのです。


どんなにお散歩に慣れても、
花子はとても慎重で、
うっかりリードが私の手から離れても、
花子は走るのをやめて、私をじっと待っているような子でした。


我が家(マンション)は、
大きな道路に隣接していて、
お散歩ではよく一緒に渡っていましたが、
まさか一人でこの大きな道路を渡る事は出来ない?と、
いつものよく行くお散歩コースを、
はなこーー、はなこーー、
と探していましたら、

「ワンちゃん探してますか?さっき、そこの通り(環八)のユニクロの前の信号を渡っているのを見ました」

と、教えてくれた男性に会いました。



環八の、



信号を、、



渡って、、、、??




、、、いた、、???




血の気が引きました。



そこから、我が家の側と、
環八を渡った側の捜索に励みました。

同時に、警察への届けや、
SNSでの呼びかけをしました。


花子はおうちに帰ろうとしているのに、

すれ違い、の追っかけっこが

始まってしまいました。



私は舞台の本番中でした。

時間の許すかぎり、花子探しにつとめるなか、それでも、時間に限りがある。

そんな事も熟知してくれている家族や友人たちが、自ずと捜索に励んでくれました。

SNSの世界は、私が思っていた以上に強大な力が蠢き、めくるめく情報が発信され、たくさんの方々からご心配もご協力も、お力添えもいただきました。


翌日、金曜日。
そんなたくさんの方々からのお力もあって、夕方過ぎに、


「仙川の駅周辺で花子を見た!!」


という目撃情報を得られました。

私はといえば、舞台の夜公演の本番が始まったばかりの時間帯でした。

動ける友人たちや姉夫婦がとにかく仙川方面へ向かってくれました。

が、その日は、たくさんの仙川周辺での目撃情報は得られたものの、捜索隊は花子の姿を捉える事は出来ませんでした。

終演後、どうしても気になって仙川に探しに向かいました。
駅前のお巡りさんが、花子を目撃し、追いかけてくれたようでした。

「とにかく早かった(走るのが)。甲州は渡らないだろうと追いかけたら渡ってしまった。そこからまたかなりのスピードで走っていった。あのスピードであの距離を持続して走れる体力がすごい。よっぽど普段、走り込んでますね。」(お巡りさん談)

お巡りさんも、ワンちゃんを飼っていて、以前3週間迷子になった経験もある方だったので、どうにか捕まえようと全力で追いかけてくれたようでした。暗くなってしまって、見失ってしまったそうです。


花子は、
 



甲州街道も、




渡った。。。





血の気が引きました。




それよりも、 


日々のお散歩では、


そこまで、



走り込んでなんて、






いない。。。



花子の、眠っていた、アスリート魂だと、

思われます。
 


翌日、土曜日は昼夜のツーステージで、
私はどうにも身動きが取れない中、
これまたその日に動けると言ってくれた友人達や姪っ子が仙川に向かってくれました。

友人の一人が、甲州街道を渡ろうとしていたその瞬間、

目の前のとあるマンションの入り口から、

花子と思しき、生き物?が、

飛び出してきたのを目撃したのです。


後々から振り返ってみても、

きっとそれは、

花子だったと思われます。


そんな、キセキ的な目撃情報も含め、


いくつかのその他の目撃情報も得て、


やはり、花子は仙川近辺にいるようでした。



翌日、
日曜日の朝。

私は、前日の朝にワンちゃんとお散歩していた際に花子を見たとの目撃情報があった辺りを探していました。

犬連れの方々にお声をかけていたら、
まさに前日、花子を見たというご本人とワンちゃんにお会いし、お話を聞け、さらに、しばらく一緒に花子のいそうな辺りの捜索にお付き合いいただきました。

残念ながらその時も花子には会えませんでしたが、こうやって気にかけてくださっている方がいる。と思うと本当に心強く感じました。


いつしか、「チーム花子」がたち上がっていました。
友人たちがそれぞれに自分に出来ることを、自ずとやってくれていました。
情報を共有し、チラシをまいたり、SNSで最新情報を拡散したり、仙川やその周辺を気にかけて歩いてくれたり聞き込みをしてくれたり。
そんなチーム花子の行動力にも逞しさにも優しさにも胸がいっぱいになりながら、私はお昼の公演に向かいました。

劇場に入ってからも、共演者の皆さん、スタッフの皆さんが、私がいつも通りにお芝居ができるよう、さりげない気遣いをしてくださっていました。


皆様の多大なお力を借りて、私はいつも通りにお芝居の世界の中に没頭することができました。このお昼公演が終わったら、花子探しに飛んで行ける。明日は休演日だ。


そんな時、


「いなげや(仙川の)からお墓に向かってダッシュしている花子ちゃんをたった今、見ました!」

と、連絡先にしていた携帯に電話が入りました。
マネージャーさんが本番中は電話番をしてくれていて、本番の間に、続けて2本、目撃情報が入り、仙川周辺にいたチーム花子たちは、すぐさまその場へ駆けつけて、フォーメーションを固めてくれているようでした。



どんだけ最強なんだ、、、

チーム花子。


そして、

どんだけアスリートなんだ、、花子、、

まだ、ダッシュできているのか、、。


私は本番が終わるやいなや、
劇場を飛び出し、マネージャーさんと、
ちょうどその日に観に来てくれていた幼なじみと共に仙川へ向かいました。


最強チーム花子たちは、
前日までの行動から推測するにあたり花子はきっと夜はこのお寺の中に潜んでいたのでは??と、当たりをつけていたお寺を本拠地にして、そのお寺のセンターにMちゃんが鎮座し(Mちゃんはその時足を怪我していて動けなかったのです)そのMちゃんを拠点に各方面へと散らばってくれていました。

最強チーム花子の、その時の作戦としては、
『花子は例え知っている友人たちに出会っても、今の花子は警戒して出てこないだろう。花子ーーって呼ぶのもぐっと我慢してじょじょみ(あたしね)の声をiPhoneから流す。もし見かけたらけして追いかけず、姿を見たことをチームに報告。その場を離れずに見守りチームが周りを固める。あと、お腹はペコペコだろうから、唐揚げやおやつを携帯し、それらを近くに差し出すという手もある。そして何よりも「この辺りにいるだろう」という所へ、じょじょみ(あたしよ)が駆けつけて花子を呼ぶのが最善策だ。』


そんな作戦のもと、チームが守備範囲をしっかり守ってくれている中、私はお寺のセンターに鎮座しているMちゃんの元に駆けつけました。一旦休憩に戻ってきていたチームメンバーやチラシを補給に戻ってきたメンバーとササッと情報交換をし、私とマネージャーと幼なじみもそれぞれ散らばって探しに回りました。


花子のチラシを持って、仙川の街を巡りました。
「犬を探しています」
と、チラシを差し出すやいなや、
「花子ちゃんね?」
と、反応のある事の多さたるや。
(チーム花子最強すぎる、、)
と心の中で思いながら、たくさんの方々にお声をかけさせていただきました。
私が勝手に良い方向に偏見を持っているだけかもしれませんが、仙川の住人の方々は、どなたも、みんな、優しかった。。。


ひとしきり回って花子の姿は見られず、
お寺センターM、まで戻りました。
『今夜は、ここで夜を明かして花子を待つ。』
そう決心し、日も暮れそうだから、もう一回りだけしてくるね、とお寺を出ました。

はなこーー、はなちゃーーん、


花子ちゃーーーーん!!!


と、大きな声を出しながら、
夕暮れの仙川の街を歩きました。
この時ばかりは演劇をやってて良かった、と
私の声はまだまだ持つ、と

そんな事を頭の片隅に思いながら、

花子ーーーー!!!

はなちゃーーん、、!!!


と、呼んで、お寺の裏の川へ向かう大きな坂を下ろうとしていた時でした。


坂のふもとの方から、


ファッファファッファ、と、


まりの様に転がるフワフワしたものが、
丸いカタマリのまま、
飛ぶ様に、転がる様に

ちょっとずつこちらに向かっている様に見えました。

坂の下に人もいたので、
その人の飼い犬が足下でジャレているのかしら??
などと思っていると、

その、ファッファファッファしている

ホワホワのまりの様な丸いカタマリが、


どんどん私の方へ向かってきます。。。


まさか、


まさか、、、



の、黄色の花柄の服を着た、

茶色のホワホワの毛のカタマリの、



花子でした。。。


「はなこ???
    (ファッファ)

   はな、、ちゃん??
    (ファッファファッファ)

   は、な、、、、?
     (ドスドスドスドスッッ)



  はなごーーーーー!!!!!😭😭😭」
  (ムギューーーッ)


そんな、映画のワンシーンの様な、
再会を果たした、私と花子でした。


チームメンバーは、その時20名ほど仙川に散っていたかと思われるのですが、残念ながら、奇跡の瞬間は、誰にも見てもらえませんでした。。。


転がるように、

飛ぶように、

私の周りを駆け回っては飛びつく花子。


必死でリードをつけようとしながら、

抱き合い、、

必死でリードをつけながら、

撫でまわし、

ひょっとしてすぐ何か食べたい??

と、ボーロを出すも、

花子もそれどころではなく、

私も動揺してボーロを撒き散らし、

とにかく出会えたことが信じられないまま、

チーム花子へ、連絡を入れました。

『いました!』


『会えました!』


『お寺に戻ります!』


この知らせを受けて、

チーム花子たちが、
腰が抜けるほどホッとし、

泣けるほど喜んでくれたことは、
言うまでもありません。


Mちゃんにいたっては、、

『死亡。。。寸前。。』

と、Mちゃんのその瞬間の心境を咄嗟にチームラインに書いたので、
それを読んだ他のメンバーは、一瞬、

『花子がぁ???!!!』

と、白目になったものの、

Mちゃんのすぐそばにいたメンバーが

『死亡寸前は、、Mちゃんです』

と、フォローを入れてくれたので、
事なきを得ました。



ドロドロで、ボロボロになっている花子を想像してましたが、花子はびっくりするくらいキレイで、死亡寸前どころか、まだまだ、元気そうでした。。


もちろん、
物凄くお腹をすかし、
物凄く、不安な夜を過ごし、
物凄く歩き(走り?)疲れていたに違いありません。


リードをつけて、お寺へ戻ると、
まるで、ちょっとそこまでお散歩行ってきた帰りです、かのような風情でした。

お寺へ戻ってきてくれていたチーム花子たちに拍手で迎え入れられた花子は、さながら、サバイバルレースのゴールの瞬間を迎えたような華々しささえありました。


Mちゃんからすぐにお水を差し出してもらい、ゴクゴク飲んで、

「今日くらいあげてもいいよね?」
と、メンバーが差し出してくれた『ファミチキ』と『唐揚げ』をダブルでむさぼり食べました。
生まれて初めてのファミチキと唐揚げ。
どれだけ美味しかったことでしょう。。


チームメンバーたちに囲まれて、
奇跡のカムバックの瞬間を記者会見のごとく撮影してもらいました。

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奇跡のカムバック。


その奇跡を起こしたのは、まさに、
チーム花子をはじめとする、迷子の花子をお気にかけて下さった全ての皆様の力だと思っています。


奇跡に力を貸してくださった方々が、

あまりに素晴らしすぎて、

花子は、ニュースにもしていただきました。
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恐縮極まりない次第です。


そして、



本当に、



もしかしたら、



わたし以上に、



この3日間、



生きた心地がしなかったのは、



友人のMちゃんと、


旦那様、


ご家族の皆様、


であったと思うのです。



本当に、感謝しています。

そして、

そんな、とんでもない心持ちにさせてしまってごめんなさい。


そして、そして、、、


今後とも、私と花子を、


どうぞよろしくお願いします。


Mちゃんをはじめとする、
チーム花子の皆様も。

花子の事をお気にかけて下さった皆様が、
私と花子にとっては、
永遠のチーム花子です。


Mちゃんと私と花子の、

メモリアル。

『あの日を忘れない』

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Mちゃんが作ってくれました。


お揃いのマグカップ。


これからも、


花子共々お互いの家を行き来しては、


美味しい盃(マグカップ)を


交わしましょうね!!!



最後まで読んでくださって、


ありがとうございました😊



今後とも、私と花子を、

どうぞよろしくお願いいたします。




              ー終わりー