FM音源の音色移植(OPN系/OPM系→OPP編) | NOZ's Stylish Sound♪

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1980年代の音楽に輝きを放っていたシンセサイザーYAMAHA「 DX7」

繊細で綺麗な音を放つスタイリッシュなシンセサウンド「FM音源」を使って曲作りをしております♪

ジャンク品で入手したYAMAHA FMシンセサイザー「DX21」を自分で修理して、完全復活しました。

YANAHA DX21


「DX21」に搭載されているFM音源は、OPP系FM音源チップ「YM2164」という、4オペレーターFM音源です。

YAMAHA DX21「YM2164」設定パラメーターも、80年代のNECや富士通のパソコンの内蔵音源に搭載されたOPN系FM音源チップ「YM2203」と、シャープのパソコンの内蔵音源や、MSXの拡張音源として搭載されたOPM系FM音源チップ「YM2151」に似ております。

元ナムコの細江 慎治(ほそえ しんじ)さんも、ゲームのサウンド開発で、途中から「DX21」のパネル上で作っていたという話もあります。

なので、80年代のパソコンでFM音源を使っていた人には、「DX21」は扱いやすいのではないかと思います。

そこで、この「DX21」を使って、私が過去に作った、富士通パソコン「FM77AV」のFM音源の音色データを移植してみました。

富士通FM77AV「FM77AV」には、OPN系FM音源チップ「YM2203」が搭載されております。

私の所有しているFM音源の中で、唯一のOPN系FM音源です。

あ・・・忘れてましたが、ゲーム機の「メガドライブ」も、OPNⅡ系FM音源でしたね。

結論から言うと、「FM77AV」から「DX21」に、バッチリ移植できます。

「FM77AV」が可能であれば、同じOPN系FM音源チップ「YM2203」を搭載している、NECパソコン「PC8801mk2SR」や、SHARPパソコン「MZ-2500」もOKです。

更に、OPM系FM音源チップ「YM2151」を搭載した、SHARPパソコン「X68000」もOKです。

「DX21」に搭載されているOPP系FM音源チップ「YM2164」は、OPN系FM音源チップ「YM2203」と、OPM系FM音源チップ「YM2151」と、9割の互換性があることが、完全移植を可能にしております。

それ以外では、一部パラメーターの設定値が異なる箇所があるので、そこだけ注意して上手く変換してあげればOKです。

では、一体何が違うのか?

まず、アルゴリズムの結合順番が、OPN系・OPM系と、OPP系とでは、全く逆です。

OPN系・OPM系FM音源のアルゴリズムの結合順番は[1]→[2]→[3]→[4]の順となっております。

OPP系FM音源のアルゴリズムの結合順番は[4]→[3]→[2]→[1]の順となっております。


また、アルゴリズムの番号も違っております。

OPN系・OPM系FM音源のアルゴリズムは、0~7となっております。

OPP系FM音源のアルゴリズムは、1~8となっております。

このように、アルゴリズムだけでも、かなりの違いがあります。


次に、「ディケイレベル(D1L)」です。

これは、「エンベロープジェネレーター」を設定するパラメーターの1つで、音が出始めてから減衰する部分を担当します。

OPN系とOPM系とOPP系、共に設定値は「0~15」なのですが・・・

OPN系とOPM系FM音源の「ディケイレベル(D1L)」は、「0」が最大値で、「15」が最小値となります。

OPP系FM音源の「ディケイレベル(D1L)」は、「0」が最小値で、「15」が最大値となります。

OPN系/OPM系、OPP系とでは、設定値の意味が、全く逆です。

例えば、OPN系FM音源の「ディケイレベル(D1L)」が「2」となっていれば、OPP系FM音源の「ディケイレベル(D1L)」は「13」となります。

このように、OPN系/OPM系FM音源からOPP系FM音源に音色を移植する時は、「ディケイレベル(D1L)」に注意して、設定値を引っ繰り返してあげればOKです。


次に、「アウトプットレベル」です。

OPN系・OPM系FM音源では、「トータルレベル」という名称になっており、0~127の値で設定します。

「0」が一番高く、「127」が出力0となります。

OPP系FM音源では、「アウトプットレベル」という名称になっており、0~99の値で設定します。

「99」が一番高く、「0」が出力0となります。

このように、「アウトプットレベル」も、設定値の幅の違いと、意味が逆になっております。


次に、「デチューン」です。

OPN系FM音源の設定値は-3~+3となってまして、そこはOPP系FM音源と互換性があるのですが、OPM系FM音源の場合は、0~7の設定値となっております。

0~3の値は、OPS系FM音源とOPP系FM音源とで共通なのですが、OPM系FM音源が「4」の時はOPP系FM音源では「0」、OPM系FM音源が「5」の時はOPP系FM音源は「-1」、OPM系FM音源が「6」の時はOPP系FM音源は「-2」、OPM系FM音源が「7」の時はOPP系FM音源は「-3」、というように変換しなければなりません。

更にOPM系FM音源には、「デチューン2」というパラメーターがあります。

これは、OPM系FM音源の専用パラメーターとなっておりまして、マルチプルで設定した「整数次倍音」を基準にして、「非整数次倍音」を設定する、特殊なパラメーターです。

0~3の値で設定しまして、「0」で元の整数次倍音、「1」で整数次倍音×1.41倍の非整数次倍音に修正され、「2」で整数次倍音×1.57倍の非整数次倍音に修正され、「3」で整数次倍音×1.73倍の非整数次倍音に修正されます。

この、デチューン2によって修正された値を、OPP系FM音源では、「オシレーターフリケンシーレシオ」に直接設定します。

例えば、OPM系FM音源の「マルチプル」が「2」で、「デチューン2」が「1」となっていた時、2×1.41=2.82という非整数次倍音となりますが、OPP系FM音源では、「オシレーターフリケンシーレシオ」に、直接「2.82」と設定します。

このように、OPM系FM音源で「デチューン2」を使われると、ちょっと厄介ではありますが、OPP系FM音源に変換することは可能です。


あと、もう1つ厄介なのが、「LFO(ロー・フリケンシー・オシレーター)」です。

もし、OPN系FM音源とOPM系FM音源の音色に、LFOの設定が含まれていた場合・・・

OPM系FM音源のLFOは、ハードウェア制御されておりますので、OPP系FM音源には、そのまま入力すればOKです。

しかし、OPN系FM音源のLFOは、各パソコンメーカーによって、独自にソフトウェアで追加されている機能なので、統一性が無く、互換性もありません。

どうしても・・・という時は、自分の耳で聞きながら、ビブラートやトレモロ、ワウを設定してみましょう。


以上になりますが、これらの相違点を、上手く変換してあげれば、OPN系FM音源とOPM系FM音源の音色を、OPP系FM音源でも使うことが出来ます。


最後に、とっておきのを紹介します。

YAMAHA DX21 ボイスデータリスト(改)新たに作った「DX21」のボイスデータ表になります。

「DX21」の説明書に載っているものを、パソコンの表計算ソフトで作ってみました。

設定パラメーターが少なかったので、スペースを詰めて、空いた所に、「OPN / OPM系FM音源ボイスデータ表」も作ってみました。

このデータ表の凄い所は、下段にある「OPN/OPM系FM音源ボイスデータ表」に、パラメーターの設定値を入力しますと、何と!自動的に「DX21」のボイスデータに変換してくれるという優れものです(*^-^)b

表の内部には、今回紹介しました、OPN/OPM系FM音源と、OPP系FM音源とのパラメーターの相違点を分析した計算式を仕込んであるので、とても便利です。

もちろん「DX21」単体のボイスデータ表としても使えますので、一石二鳥です♪


今回は「DX21」を中心に説明しましたが、同じOPP系FM音源を搭載している「DX27」と「DX100」でも使えます。

更に、OPP系FM音源の音色データは、OPZ系FM音源にも使用することが可能です。

私の音楽制作で使っているFM音源では、OPZ系FM音源が一番使用頻度が高いので、今回作った「DX21」のボイスデータ表から発展させて、「OPZ系FM音源ボイスデータ表」も作り直して進化させようかと思います。



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