NobunagAのブログ

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家庭菜園、ゲーム、アイドルなど趣味の話題や、子育て、介護関係のことをつらつらと書いています。

光る君へ

第21回「旅立ち」後編




道長のもとを為時が訪れている。


「わざわざすまぬ。

支度は整ったか?」


「共に参る娘が一生懸命

やってくれております」


まひろから道長とのことを

聞いたためか、

為時は娘の話題を出した。


が、道長の表情はいつもより固い。


「今日は越前について

話したいことがあって呼んだ」


「はっ」


「我が国では筑前の

博多の津においてのみ

宋との商いを許しておる。

ところが去年、宋人が

70名余り若狭に到来し

新たな商いを求めてきた。

しかし若狭には大湊も

異国人を入れる館もないゆえ

それらを越前に移し

松原客館に留め置いておる。

まあこれは承知であるな」


真面目な為時であるから

赴任先のことはすでに

調べているはずだ。


「もちろんでございます。

彼らは都とのじかの商いを

求めていると」


「うん。朝廷は越前に

新たな商いの場を作る

気はない」


「はっ」


「越前と都は近い。

都に乗り込む足掛かりと

なることも考えられる」


為時の顔が曇った。


「彼らは商人などと言っておるが

証拠はない。

70人もがまとまってやって来ると

いうのも妙ではないか?」


為時が顔を上げた。


道長は本題に入る。


「彼らが商人などとは偽り

まことは官人、

いや、それどころか

戦人であるやもしれぬのだ」


為時はハッとする。


「彼らに開かれた港は

博多の津のみ。

…と了見させ穏便に宋に帰すこと。

これが越前守の最も大きな

仕事と心得よ」


だからこそ道長は

異国に詳しく頼れる者を

越前守に任命したのだ。


「はっ。

知恵の限りを尽くし

一心にその任に当たります」



為時は浮かない顔で、

食事を取っているので

宣孝は訝しそうに見る。


「父上は出発する日が

近づいてお気が重くなられたか

このごろお顔の色がさえませんの」


「行ってしまえば国司は

楽な仕事よ。

土地の者どもと仲よくやれば

懐も膨らむ一方だ。ハハハハ。

行けば治る」


自らは国司として

良い思いをしてきた宣孝は

気楽である。


「またそのような軽薄な」


「おっ、まひろに叱られた」


宣孝は楽しそうだ。


「父がまだ出立する前から

懐を肥やせ肥やせと

人聞きの悪い。

父はそのようなことが

誰よりも苦手でございます。

そのことは宣孝様が一番よく

ご存じですのに」


「これはとんだご無礼を

つかまつった」


大袈裟に頭を下げる。


「いつからまひろに

叱られる身になったかのう…」


「叱られる時、

宣孝様はいつもうれしそうに

見えますが」


と、いとが口を挟む。


「そうか、ハハハハハハ…」


「私も父と越前に行きますので

あちらで宋人に会うのが

楽しみでございます。

宋人のよき殿御を見つけ

宋の国に渡ってしまうやも

しれません」


「それもいっそよいかも

しれぬな。

もうお前に叱られないかと思うと

さみしいがのう」


どこか本気にも思える調子で

そう言う宣孝を、

まひろはふと見つめる。


「父上のご出立に間に合いました!」


惟規の大声が聴こえてきた。


「おっ!」


「本日、文章生になりました!」


「受かったかついに!」


「おめでとう、惟規!」


為時とまひろが声をかける。


「めでたいことばかりだな、

為時家は。ハハハハハ!

一杯飲め!」


「はい!」


惟規は宣孝から杯をもらう。


「おめでとう」


まひろに注いでもらった酒を

惟規は笑顔で飲み干した。



「殿様、私は越前には

お供できませぬ」


「何故じゃ」


為時がいとに尋ねる。


「大学を終えられたら

若様もこのお屋敷に

戻られます。

お世話する者がおらねば

悪い女にたぶらかされるやも

しれませぬ」


「それはそうだ」


「4年後のお帰りを

お待ち申し上げております」


「お前も達者でおれ」


為時は微笑んだ。



まひろは…少し悩んだが

ある文を書いた。



文の相手は道長である。


久しぶりのあの廃屋で

まひろは道長を待っていた。


足音がして道長がゆっくりと

姿を現した。


「父を越前守にしてくださり

ありがとうございました」


まひろは改めて礼を言った。


「お前が書いた文、

帝がお褒めであった」


「私が書いたとお分かりに

なったのですか?」


為時が書いたように

装ったのに…


「お前の字は分かる」


少し照れくさそうに

道長は答えた。


「明日、出立だな」


「はい」


2人は庭を見る。


「最後にお聞きしたいことがあり

文を差し上げました」


「何だ?」


まひろは思い詰めた表情で

道長に向き直った。


「中宮様を追い詰めたのは

道長様ですか?」


まひろから唐突に込み入った

政治的な質問が来ることに

道長は戸惑う。


「小さな騒ぎを殊更大ごとにし

伊周様を追い落としたのも

あなたのはかりごとなのですか?」


「そうだ」


と、道長は即答した。


まひろはその顔を見る。


「だから何だ」


まひろの顔が少しほころぶ。


「つまらぬことを申しました。

世間のうわさに惑わされ

いっときでもあなたを疑った

ことを恥じまする。

お顔を見て分かりました。

あなたはそういう人ではないと」


だが、道長はバツが悪そうに

本音をこぼした。


「似たようなものだ。

俺の無力のせいで誰も彼も

全て不幸になった」


道長は後悔しているのだ。


そして、己を恥じてもいた。


「お前と交わした約束は

いまだ何一つ果たせておらぬ」


まひろは、黙って見つめている。


「これからどこへ向かって

ゆけばよいのかそれも見えぬ。

恐らく俺はあの時、お前と

遠くの国へ逃げていっていても

お前を守りきれなかったであろう」


「彼の地であなたと共に

滅びるのもよかったのやも

しれませぬ」


まひろもそう答えた。


「越前の冬は寒いそうだ。

体をいとえ」


「はい。道長様もお健やかに」


越前と都はそう遠くに

離れているわけではないが

しばらくはこうして、

密かに会うことも出来なくなる。


一抹の寂しさが2人には去来する。


まひろは…、そっと

道長の肩に身を寄せた。


道長も愛しさがこみ上げ、

まひろを抱きしめた。


「この10年…

あなたを諦めたことを

後悔しながら生きてまいりました」


まひろは本音を伝える。


「妾でもいいからあなたのおそばに

いたいと願っていたのに

なぜあの時、己の心に

従わなかったのか。

いつもいつもそのことを

悔やんでおりました。

いつの日も、いつの日も…」


「いつの日も、いつの日も…

そなたのことを…」


道長も同じ思いであった…


まひろは身を離すと

道長をまっすぐ見た。


「今度こそ越前の地で

生まれ変わりたいと

願っておりまする」


そう力強く伝える。


「そうか。

体をいとえよ」


まひろは頷くと、

自ら道長に口づけした。



越前へと船が向かっていく…


まひろは波に揺られ、

琵琶を弾いていた。


「大丈夫か?」


「ああ、大丈夫です」


突然の雨に濡れ、

気遣う為時に乙丸が答える。


京を出立したまひろたちは

琵琶湖を舟で北上し

越前への山道を進んだ。


「慣れぬ道中さぞかし

疲れたであろう」


「私は楽しんでおりますので

お気遣いなく」


「そうか」


「国府に行く前に

立ち寄りたいところがある」



為時が訪れたのは

例の松原客館だった。


「新たに越前守となった

藤原朝臣為時である」


「これはこらは。

今、お着きになられたのですか」


「一刻も早く宋人たちの様子を

見たくて立ち寄ってしまった。

迷惑であったか?」


「いえいえ、こちらに

寄られるとは聞いて

おりませんでしたので」


扉の向こうから

宋人たちの怒鳴り声がする。


為時が、扉を開けると

いきり立った宋人らが、

小競り合いをしていた。


為時は宋語でお静まりなさい、

と声をかける。


皆が、為時を見る。


「私は越前の新しい国守である」


宋人らは一斉に何かを

為時に訴え出したが、

為時は戸惑う。


そんな、様子を一人の男が

眺めていることに

為時もまひろも、きづかない。


オウムが歓迎するように、


「ニーハオ」


と、鳴いた。


_____________________________________________


越前守の就任は、

道長からの肝入りの案件では

あるのだが実際には

国の命運を左右しかねない

難しいミッションもはらんだものだ。


うまくあしらって、

商売を諦めさせる…


そんな起用なことが、

あの為時にうまく出来るか

微妙なラインなのだが…


道長にしてみれば、

為時はもちろんまひろが

そこにいてくれることは

心強いかもしれない。


宋人というのは中国のことで

刀伊の入寇のときの異国人とは

また違うのだが、

北宋は唐→後周のあと

960年あたりに成立した国で

このとき建国してから

35〜36年あたり。


各国との交易によって

成長していたところであり、

ドラマでも取り上げられていた

科挙制度の充実などをはかった

文化面においても、

素晴らしい国ではあったが

なにぶん、日本というのは

海で隔たれていることもあり

宋を警戒したのも当たり前だろう。



まひろに対して

宣孝はこのところ、

気になるそぶりを

見せ始めている…


幼い頃から知っているだけに

なおかつ親友の娘を

好きになってしまう…というのも

なんだか罪深いものだが

こういう時代なので

そんなにいやらしいことでも

なかったのではあるだろう。


お似合いといえばお似合いではある。



しかしいまだにまひろの

本命といえるのは道長…


もはや叶うこともない恋だと

まひろも道長だって

わかっているはずなのだが、

そう割り切れるものではないのも

人間というものだ。


そんなまひろと道長のデートは
いつもの廃屋なのだが…


10年間、想い続けてきたこと。

まひろだけではなく、
お互いに…。

嫡妻の倫子にバレたら
道長は危ういわけだが…

こればかりは致し方ないというか…

倫子よりも先にまひろと
出会っていたわけだし
本当に結ばれたかったのは
やはり最初に好きになった相手。

でも、2人は少なくとも
道長が結婚してからは
体の関係などは持っていないし
それどころか何年もの間は
交流さえなかった。

越前に行くのは4年間だけとはいえ
いまだ疫病だってまた
いつ流行るかわからない。

今生の別れになる可能性も
あったのだから、
あらためて想いを伝える、
そして可能ならそれを
ここで一区切りさせたい、
という気持ちはわかる気がする。

2人のシーンは切なく、
まひろからキスするあたりは
ちょっと現代チックとはいえ
ドラマなのだから、
切なくて良いなと感じた。

誰かを恋しく思うのは、
現代も、昔も同じ。

たとえ相手が結婚していて、
もう想いが叶うことはないと
わかってはいても、
心のどこかでその相手を
忘れられない…

それも人間としては
決して醜い感情ではない。

描き方によっては、
未練がましかったり
いやらしく思われて
しまいそうな場面だろうが
2人の気持ちは真っすぐで
決して邪なものでもないし。

志、という面においては
同士でもある。

重ね重ね、あの倫子さまが
これを知ったらどう思うかは
別問題ではあるのだが…!

友情あり、恋あり…

そして男女を超えた
志の共有相手としての
道長とまひろの行く末は
史実とはまた違って、
どこに感情の帰結を作るのか
まだまだこれからであるし
やはり道長と紫式部との間に
恋愛感情があったとした
このドラマの大きな見どころだろう。






今日は夜勤明けかつ色々と
大変だったのだが合間に
野菜の収穫をば。


はつか大根は26日め、
といったところ。


だいぶ大きくなっていた。

初めて作ってみたのだが
これは色鮮やかでふしきだ。

かなり癒やされる。


さらには大根を。

太さや長さはやはり
普通の大根のほうがすごい。

はつか大根については
あくまでオマケみたいな
世界なんだけれど
スペースも食わないし
収穫までが速いので、
抜いたところにまた
種まきしておいた。

大根も正直余ってるから
これは施設とスタッフに
あげようと思う。


こんな感じでちまちまとは
採れているんだが…


こんなに大量のいちごを
スタッフにもらっているので
自分のところで採れるのは
もはやオマケである。