除染違法派遣で2次下請け社長ら逮捕
福島県の除染作業をめぐる違法派遣事件で、2次下請け業者の社長が逮捕されたそうです。
除染違法派遣 社長ら逮捕
◆「孫請け」 作業員受け入れ容疑
福島県楢葉町での除染工事を巡る違法派遣事件で、県警保安課とむつ署は16日、元社長が逮捕された大間町の建設会社「泉友」に作業員を集めさせたとして、東京都品川区の同「ジェイテック」社長の渡部博(62)、同社嘱託職員山本幸雄(63)の両容疑者を職業安定法違反(労働者供給事業の禁止)の疑いで逮捕した。
ジェイテックは、環境省が2013年1月に発注し、準大手ゼネコンなど3社の共同企業体(JV)が約150億円で落札した除染工事を「孫請け」していた。渡部容疑者は当時、ジェイテックの取締役で、山本容疑者とともに工事の現場責任者だったという。
発表によると、渡部、山本両容疑者は13年11月~14年3月、「泉友」元社長の泉一哉容疑者(41)が集めた7事業主の作業員計16人を643回にわたって受け入れ、除染作業をさせた疑い。渡部、山本両容疑者はいずれも黙秘しているという。職業安定法は、違反した役員や従業員のほか、所属する法人も罰する「両罰規定」を設けており、県警は17日、法人としてのジェイテックを同法違反容疑で青森地検に書類送検する。
県警は16日朝、福島県いわき市にいた渡部、山本容疑者に任意同行を求めて事情聴取を始め、さらに都内のジェイテック本社などの関連先も順次捜索。本社には午前10時頃から捜査員約10人が次々と捜索に入り、捜査関係者によると、事件に関する電子ファイルなどを押収したという。
今回の事件では、ジェイテックに作業員を派遣したとして泉容疑者ら計8人が逮捕されており、地検は同日、青森区検を通じてこのうち3人を青森簡裁に略式起訴。同簡裁は即日、3人に罰金25万~40万円を命じた。また、泉容疑者ら2人は処分保留で釈放され、ほかの3人は既に罰金の略式命令を受けている。
(読売新聞 2015年11月17日)
拙ブログでは、この事件に関して何度か書いていますが、まだまだ広がる可能性が出てきました。
除染作業違法派遣は、「労働契約申込みみなし制度」第1号か!?
除染作業違法派遣は「違法派遣」ではなく「職業安定法違反」に!
今回2次下請けの会社社長が逮捕されたとのことですが、ググったところ、こちらの会社みたいですね。
この事件については、他紙でも報道しています。
(日本経済新聞 2015年11月17日)
(河北新報 2015年11月15日)
図の通り、今回の会社とJVの間には、さらに1次下請けが入っており、その契約も「請負」となっています。
何度も書いていますが、労働者派遣法では、除染などの建設業務は労働者を派遣することが禁止されています。
ですので、健全な派遣会社は派遣しませんが、違法を承知で受ける業者や、請負と称して人だけ送り込む業者が後をたちません。
禁止しても需要があれば、供給するものが現れるのは、ごくごく普通のことだからです。
かつてわれわれ業界でも偽装請負問題が世間を騒がせましたが、そのときも「物の製造」は、派遣の禁止業務でした。
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別に業界の利益拡大で言う訳ではありませんが、禁止して、ブラックボックス化するくらいなら、キチンと法整備して適法にやらせることも、そろそろ考えるべき時期なのではないでしょうか。
ではまた