201667日の中日新聞(電子版)に以下の記事が掲載された。

http://www.chunichi.co.jp/s/article/2016060790145111.html


 じつは、この記事中の奥さんからは、以前からときどき連絡をいただき、先日、ついに提訴に踏み切ったとの電話をいただいたばかりである。以下、記事を引用します。



「説明足りず処方、後遺症」 あまの男性、藤田学園と医師提訴

 藤田保健衛生大病院(愛知県豊明市)の精神科で受診した同県あま市の40代男性が、十分な説明を受けないまま副作用の強い薬を処方され障害を負ったとして、病院を運営する学校法人藤田学園(豊明市)と担当医に対し、慰謝料など9900万円余の損害賠償を求める訴訟を7日、名古屋地裁に起こした。

 訴状によると、男性は2012年12月に精神科を受診した際、「痛み止め」として抗うつ薬を処方された。服用直後に腹痛と吐き気に襲われ、その後も突如、意識を失ったり、窓ガラスに自ら激突したりして救急搬送を繰り返すなどしたが、医師は適切な処置を取らず障害を悪化させた、と主張している。

 男性は現在、不眠や頭痛に加え、光や音に過剰に反応してしまう自律神経障害や、直前の行動が思い出せない記憶障害があり、ほぼ寝たきりの生活を強いられているという。

 男性の妻は「医師から副作用の説明があれば、夫は薬を飲まなかった。安易な処方で深刻な健康被害に苦しんでいる」と訴えている。

 藤田学園は取材に「代理人を立てて協議をしている最中であり、直接のコメントは控えたい」としている。(引用以上)


 藤田保健衛生大学病院については、このケース以外にも、大きな被害の話を聞いている。

なので、こういう形で責任を追及されることは大いに歓迎するし、ぜひ裁判が良い方向に向かうことを願っている。

 しかし、これまでの精神医療裁判において、医師の処方に関する提訴はかなり厳しい結果になっているのも事実である。

 その点は十分承知の上。

 ともかく、一緒に闘ってくれる弁護士に出会えたことで、この闘いを始めた、と奥さんは言っていた。

協力医の問題もある。こうした裁判に協力してくれる精神科医を見つけるのも至難の業だ。そして、どこまで現在の状態と向精神薬の因果関係を証明することができるか……。



そして、やはり何より問題なのは、現在の体調不良をどうすれば回復できるかということだ。

これまで私もいろいろ相談を受けたが、有益なアドバイスもできないまま、数年が過ぎてしまった。その間もご主人の状態はよくならず、今回の提訴の話を聞いて、これまでご夫妻がどれほど辛い日々を送ってきたのかと胸が痛んだ。

こうした薬の問題が裁判という公の場で、真正面からきちんと論じられることを願っている。

そして、裁判という決断を下さざるを得ないような状況に、精神医療は人を追い込む可能性を秘めていることを、1人でも多くの人に知ってほしいと思う。






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