なんとなく自分のツイッターをさかのぼって見ていたのですが、このツイートを見て驚きました。
他のツイートに比べてはるかにたくさんのいいねがついていたのですが、これは「よっしゃぁ、いいねがたくさんついたぁ!」という話ではなくむしろ逆で
いいねが多すぎる
ということなんです。
そもそもなぜこのツイートをしたかと言いますと、前に出て語る編集者は本当に悪いと思っていなくて、そういう人もいた方が色々な考えが知れて面白いし優秀な人たちだと思っているのですが、
僕がリスペクトしている、一緒にご飯食べたり僕の作品を見てもらったりしている編集者は決まって全員前に出ないので、その人たちに向けてのツイートだったんです。
つまり、↓のツイートに近いです。
ただ、大戸屋のものより冒頭のツイートの方がはるかに多くのいいねがついていたんです。
この偏りって一体何なのだろうということなのですが、
これは前から思っていたことなのですが
そして、みんなも感じてることだと思うのですが
インターネットって時代の最先端行ってるみたいな雰囲気出してますけど
ほぼ「村」ですよね?
誰もがアクセスでき、最も多くの人に届くはずのインターネットですが、そこには「インターネット村」があって
村には明確な序列があって
村人同士の組合があって
村人同士で品種改良されたPVという名の稲を増やし合う
すごく狭い世界になってますよね。
そして、冒頭のツイートにいいねがたくさんついた理由は、多くの人の共感を得たからではなく、「単に村に関わる話題」だったからでしょう。
つまり、何が言いたいのかというと
インターネットは新しいテクノロジーであり、新しいメディアであり、テレビを超えると言われてたりするわけですが、そしてもちろん、ユーチューブやネットフリックスにはその可能性があると思うのですが、
日本のネットメディアは、↓と変わりないんじゃないかということなんです。
村の中では騒ぎが起きたり、情報が飛び交っていますが、あくまで村人たちによる井戸端会議でしなく、
たとえば「炎上」という言葉がありますけど、それは結局「自意識としての炎上」であり、
日本全体でみたらぼや騒ぎにすらなってないんじゃないか、ということです。
「最近のネットの炎上」
という言葉を聞いて、何を思い浮かべるでしょうか?
このブログを読んでいる方の中には村人の方もいらっしゃるでしょうから、「ああ、あれだ」「これだろう」と思い浮かべると思うのですが、
ウチの母親に聞いたら、
「ほら、あれだがね
おでんをつついた人」
と言うと思います。
あれが、炎上なんです。あれこそが正しい意味での炎上なのです。
――こんなことを書いていると、「あれ、水野はインターネット界隈が嫌いなのか?」って言われそうですけど、個人的には今までいなかったタイプの人がたくさん見れてすごく面白いと思ってます。
ただ、どうしても、今回のようなことを言いたくなってしまうんですよね。
こういうことを言うと傷つく人がいると思いますし、インターネットで頑張っている人に水を差すのは本当に心苦しいのですが、
それでも、水野の中にいるミニ水野が、マトリョーシカでいうと、奥から3番目くらいの水野が、
「言わざるを得ないんですわ」
って表に出てきちゃうんですよ。
たとえばインターネット界隈で「新しいものを作りました」とか、「新しい時代作ります」みたいな感じで出てくる人とかサービスがあるじゃないですか。
それで、そういうものを批判する人を「老害」とか、「出る杭を打つな」と言ったり、逆に、「批判を気にしない勇気が必要」的なことを言うじゃないですか。
ただ、僕が言いたいのは……
富山県の村では「水車」を持っている家がすごく多いんですね。
この水車はサイズが小さくて、田んぼの横の用水路に入れることができるんです。
それで、この水車がどうしてあるかというと、富山県は里芋の名産地なんですね。
そして里芋をむいたことがある人は分かると思うのですが、里芋の皮ってむくのがすごく難しいんですよ。
それで、この水車に入れておくと、水の力で里芋の皮が勝手にむけていくんです。
だから富山の村には水車を持っている家が多いのですが
日本のインターネットでドヤ顔で出てくる人とサービスは、ほぼ、この水車ですからね。
特定の村だけで消費されるヒト、モノ、コトですからね。
しかも、何が問題かというと、富山でコツコツ水車作っている人と違って、
「この水車やばいっしょ?」
「この水車が時代を変えるんすわ!」
って言ってくるじゃないですか。
めっちゃ言ってくるじゃないですか。
いやいや、時代を変えるわけないですから。
だって、自分たちが水車作ってるって自覚がないんだもの。
その土地でしか取れない特産品をその土地の住民の間で転がしてるだけですからね。
それなのに、まあ自分を大きく見せようとドヤ顔してきますわな。
――たとえば時代を変えたインターネットサービスに
グーグルというのがあると思うんですよ。
あのサービスは本当にすごいと思うのですが、
グーグルの創業者のラリー・ペイジとセルゲイ・ブリンがいつドヤ顔したのかって話ですよね。
ていうか、
ドヤ顔以前に、顔が思い浮かばないんですよね。
時代を変えるサービスというのは、一人でも多くの人を喜ばせようとした結果生まれるものですが、
遠い国にいる、自分のことをまったく知らない人を喜ばせようとするとき、一番最初にできるサービスが「ドヤ顔しないこと」だと思います。
――というわけで散々、好き勝手なこと言わせてもらいましたけど、
じゃあ、お前はどうなんだと、お前は時代を作れるのかと言われそうですが、
それに対する返答としましては、
ちょうど1年前に、「運命の恋をかなえるスタンダール」という本を出したんですけど、
これは僕が人生のすべてを賭けて書いた作品なんですけど、
部数が3万部で止まってるんですよね。
水車より、全然売れてないんです。
ちなみに、この本、出版してから映像化のオファーが4件ほど来てたんですけど、先月をもってすべての映像関係者からの連絡が途絶えたんですよね。
もし、映像化の話が生きてたら、ドヤ顔でアピールしてましたよね。
「他からも色んなオファーが来てる感」とか「一部の層にはめっちゃ刺さってる感」出しまくってアピールしてましたよね。
でも、その道が途絶えちゃったんでね、
本当に「今さら」だと思うんですけど、「どの口で?」ってことになると思うんですけど、
今日から僕をインターネット村の末席に加えてもらっていいですか?
今後の動きとしましては、まず手始めに
ノートの切れ端にメモを残し
キャンプファイアーに小枝の薪をくべ
アダルトショップに併設されたサロンの動向に注目し
3万部の微々たる印税で仮想通貨を買い
おっさん化してハゲかかった頭皮にピックをぶっ刺す
ところから始めさせていただければと考えておりますので、
水野2.0
をどうぞよろしくお願いいたします。