免疫チェックポイント阻害剤の
日本での保険適応追加の承認動向
の最新情報です。
テセントリクとキイトルーダの適応追加が、
厚労省の薬食審医薬品第二部会
を通過し、年内承認されるようです。
適応追加の内容は、
◼テセントリク
・肺癌(非小細胞肺癌)について、
1stラインでの適応追加
正確には、
「化学療法未治療の扁平上皮がんを除く
切除不能な進行・再発の非小細胞肺がん」
化学療法併用(カルボプラチン、パクリ)
※因みに現時点では、 PD-L1高発現患者に
キイトルーダが1st ラインで保険診療で
治療可。(承認済)
◼キイトルーダ
読売新聞(YomiDr)、朝日新聞デジタル、
日経BPも報じている通り、
以下の、適応追加の条件付き迅速承認が
薬食審医薬品第二部会通過しましたね。
・癌種を制限しない、
「高頻度マイクロサテライト不安定性
(MSI-High)を有する固形がん」
・「標準的な治療が困難な患者に限って
使用する」ラストライン。
・第2相臨床試験中の条件付き迅速承認。
MSI-Highと、キイトルーダの作用機序
(免疫にブレーキをかけているPD-1と
くっついて免疫のブレーキを阻害する)
の関係が、素人の私には、
さっぱり、しっくりこないのですが、
MSI-Highというのは、遺伝子の修復機能の
低下を示すバイオマーカーだそうで、
米国では、胃癌や子宮内膜がんで約20%、
大腸癌や胃癌などの消化器系の癌や
子宮内膜がんで発現率が高いらしい。
※新聞報道によると、MSI-High発現率は
全固形癌の3%程度のようです。
標準の抗がん剤治療が乏しかったり、
効きにくい消化器系の癌の、
「今」治療中の患者さんには
朗報でしょうか。
乳癌では、
・対象患者がいるのか、
※遺伝性乳癌のBRCA遺伝子異常だったら
MSI-Highを示しそうだけど…。
遺伝子修復できずに癌化していると
言われているのだから…。
※岩田広治先生がお書きになっている情報
によると全乳癌の2%くらいらしい。
・MSI-Highだと、
なぜキイトルーダが効くのか、
本当に効く確率が高いのか、
素人では理解できないのだけれど、
そして、保険適応で使える、
また、消化器系の癌腫に比べれば
効く確率の高い、
殺細胞性抗がん剤や新薬が、
そこそこの数、存在している乳癌で、
「標準治療がなくなる」
という状況は、
・認可されている(保険適応で使える)
殺細胞性抗がん剤を全て使い切った、
あるいは、
・基礎疾患や、それまでの抗がん剤治療の
副作用の影響で、抗がん剤治療そのものが
困難になっている
といった状況でしか使えない
ということだと思うのですが、
基礎疾患で抗がん剤治療が困難な方は
MSI-Highの検査をしてみると
よいのかもしれません。
※それより先に遺伝性乳癌の検査を
してみる方が先だと思いますが…。
検査も保険適応になるようです。
というような見方も参考にしていただき、
主治医さんに確認してみて下さい。
それより前に、
乳癌の国際第3相臨床試験(トリネガ)の
結果はどうなっているのか、
知りたいですよね…。
※ KEYNOTE-355の結果待ち
キイトルーダ+医師選択薬
(nab-パク or パクリ or
ゲムシタビン+カルボプラチン)
=====
乳癌治療へのインパクトは、それほど
大きくないとは思いますが、
RCT(第3相のくじ引き試験)なしの、
条件付き迅速承認による適応追加は
命の危機に直面している患者にとって、
プラセボに当たることなしに新薬を試せる
(勿論、試したくない患者は、治療を受け
なければよいだけ)
ようになることは、
結果が精緻に取得、統計処理して公表
される前提で
医療、厚労省の薬事承認の進化だと、
喜ばしいことだと、私は、思います。
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私のブログの関連過去記事
一部、RCTに関する私の思いを転記します。
何度か過去記事に書いていますが、
念のため、ここにも補記しておきます。
私がRCTを「非人道的」と書いたのは、
国民皆保険で保険診療の治療費が安くて
済む日本では、治療費が払えないから
治療費を負担しなくてよい新薬の臨床試験
を希望する、という患者はそうはいないと
思われ、そもそも新薬の臨床試験に参加を
希望する患者は、新薬を試したいから
参加するのであって、
そうでないならば標準治療を受ける、
あるいは無治療を選択するはずで、
誰もプラセボ(対象群)に当たりたいなどと
思っていない、
「必ずしも効くとは限らない、予期せぬ
副作用があるかもしれないリスクも負う」
と覚悟を決めて新薬に賭けるのです。
そういう状況下でのプラセボ群の設定を、
命の掛かった治療、厳しい局面の癌患者
に行うのは、「非人道的」だと、
述べているのです。
患者の命は1つですから、
患者は医療研究用のモルモットでは
ありませんから。
ー◆ー◆ー◆ー
AnswersNews(株式会社クイック)
『【UPDATE】5陣営がしのぎを削る免疫チェックポイント阻害薬、最新の国内開発状況まとめ』より引用
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