【再掲】小さな乳癌は予後良好?or 予後良好だから小さい? 2017/6月NEJM | HER2タイプ乳癌ステージ3C 経過観察中シングルマザー

HER2タイプ乳癌ステージ3C 経過観察中シングルマザー

HER2タイプ乳癌のこと、治療のことなどを書き残しておこうと思います。温かい目で見守っていただければ、幸いです。アメンバー申請、コメント、メッセージ、リブログについては、「はじめに(私のスタンス)」テーマ内の記事をご一読下さい。

ご訪問ありがとうございます。

元々は、
私が私自身の乳癌の再発転移リスクの高さ
を背景として述べる度に、
「不安」基準でしか癌を捉えられない?
癌の多様性を認められない?方々から
「人と比較して」云々の
勘違い批判コメント(バッシングコメント)
が入り、
7回説明回答記事を発信した末に、
最後として発信した記事だったのですが、
  ※この記事で私は度重なるサブタイプ問題を
    終わりにしたつもりだったのですが、
    後から気付いたのですが、その後、5ch掲示板の
    本人も書き込む崖tiptipスレッド内部で、引き続き
    理系の学位や学歴・職歴云々まで悪く捏造された
    中傷、その後も延々と、ブログ主題と無関な
    空想・捏造の人物像や全人格否定の
    ネットイジメに繋がっていた…

直近で発信した過剰診断の話に繋がる記事
(エビデンス)であり、
丁度よいタイミングですので
再掲させていただきます。

=====

(元投稿:2018年2月24日)

ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・
メディスン (NEJM)
   ※病気と無縁な方々のために補記すると、
     権威のある医学誌

2017年6月7日

小さな乳癌は小さいから予後良好なのか

それとも、予後良好だから小さいのか?


http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMsr1613680

    アップリンクあり


2001年-2013年に浸潤性乳癌と診断された

患者のSEERデータベース解析結果


※ただし、

  重要な因子であるHER2について

  同データベースでは2010年からしか記録

  されていないため、この解析には含まれて

  いないので、あくまで、参考の参考に。


しかし、残念ながら、

主要因子である、悪性度と、

ホルモン受容体(ER、PR)で、

明らかに予後の違いは出ている。



この解析で分類に使った生物学的特性は

grade  悪性度(核グレードかな?)1~3

ホルモン受容体ER(エストロゲン)

ホルモン受容体PR(プロゲストロン)


で12種類に分類し、腫瘍サイズとの関係、

生存率を出している。


最も予後の悪かった(worst survival)群

・悪性度3、ER-、PR-  ⬅私はこれ

・悪性度3、ER+、PR-

・悪性度3、ER-、PR+

・悪性度2、ER-、PR-


    ⬆これを見ると、悪性度より、ホルモン

        受容体の方が悪さへの寄与度が大きいね


最も予後の良かった(best survival)群

・悪性度1、ER+、PR+

・悪性度1、ER+、PR-

・悪性度1、ER-、PR+

予後の中間群(considered to be intermediate)

・上記以外


で、結果のグラフは論文を直接ご参照

下さい。

以下、論文の要約。


Figure1

・40歳以上だと、

    予後が良い群は

       1cm以下が38.2%、5cm以上9.0%

    予後が悪い群は

        1cm以下が14.1%、5cm以上35.8%

・40歳未満も同様の傾向だが、

    予後が良い群が全体の半分で、

    予後の悪い群が多い。


Figure2

・40歳以上で、腫瘍サイズも

       T1:0.1~2.0cm

       T2:2.1~5.0cm

    に階層化して生存率を出している。

・腫瘍の大きさと、生物学的特性は、

    どちらも予後に影響するが、

    生物学的に予後の良い、腫瘍の大きい群が

    生物学的に予後の悪い、腫瘍の小さい群

    より、予後が良い。

    腫瘍の大きさより、生物学的特性の

    予後への寄与度の方が遥かに大きい。

    (と論文内に書かれている)


Figure3

   過剰診断率とリードタイムについて

   なので省略。


ここまでが、統計解析結果、すなわち

事実。


Discussion

統計解析結果からの考察が書かれている。


Figure1

全ての患者の癌が様々な速度で進行すると

すれば、どの腫瘍の大きさでも、同様の

生物学的特性の分布になるはずである。

が、この統計解析結果は、明らかに、

多くの小さな、生物学的に予後良好な腫瘍は

患者の生物学的余命の間に大きくならない

ことを示すエビデンスを提供している。

もっと言うと、大きな腫瘍は、

全ての小さな腫瘍が同等に大きくなった

ものではなく、

生物学的予後の悪い小さな腫瘍が優先的に

大きくなったものであることを、

示唆している。


Figure2

腫瘍の大きさと、生物学的特性では、

腫瘍の大きさより、生物学的特性の

予後への寄与度の方が遥かに大きい、

ことを示している、

と繰り返して書かれている。


過剰診断率を22%(別研究の結果を使用)

と仮定すると、

1cmから5cmになるまでの期間は、

生物学的に予後の良い群では19年、

過剰診断率をその半分としても、8.9年。

最も生物学的に予後の悪い、悪性度が高く

トリプルネガティブだと1年以内の場合が

圧倒的に多い。


生命予後の良い腫瘍は、大きくなるまでの

期間が長いから小さい腫瘍として

検診で発見されるが、

その多くは、生物学的な余命までに大きく

なることはない。

生物学的に予後の悪い腫瘍は、残念ながら

大きくなるまでの期間が短いために、

検診で小さな腫瘍(2cm以下)として

発見されないことが多い。


本研究は、

低悪性度、ホルモン陽性の腫瘍が、

高悪性度、ホルモン陰性の腫瘍に変わる

ことがないことを前提にした解析だが、


(他の研究論文引用)

10~15%の腫瘍で、原発巣と遠隔転移巣で

ホルモン陽性から陰性に変わる。

それは、治療の結果だと考えられている。

低悪性度の腫瘍が高悪性度の腫瘍として

遠隔転移するのは極めて稀である。


本研究では、重要な因子であるHER2が

解析に含まれていないが、

将来的には、HER2、リンパ節転移、

遺伝的要素、遺伝子検査を追加した

生命予後グループの分類が必要かも

しれない。


最も生物学的予後の良かった、

悪性度1、ホルモン陽性、腫瘍2cm未満の

10年生存率は97%であった。

我々の試算が正しければ、TAILORxの、

生物学的予後の良いグループの、

50%が過剰診断かもしれない。


勿論、患者個人個人については、

過剰診断、治療不要という、

確かなことは言えないが、


本統計解析の結果から、生物学的予後の良い

グループの過剰治療を減らせる臨床試験を

企画できるだろう、と言える。


~~~ここまでがNEJM掲載論文~~~

  ⬆「うそを書くな」とコメントされたので

      念のため補記

       (和訳に異議があれば原文をお読み下さい!)


=====


統計はエビデンス、「事実」です。


近藤先生の、がんもどき、本物のがん、

理論に近いかな。


この論文を受け、単純に、

乳癌検診、早期発見・早期手術の推進に

反対する人がいるけれど、

しかし、

それには私は反対です。


あくまで、『患者集団の統計』であり、

『多くの』予後の良いグループにとって

検診や治療が不要であったとしても、

少数の予後の悪いグループの早期発見の

機会を奪ってよいとは思わないから。


※私、最も予後の悪いグループですが

  検診を受けていれば2cm内で見つかったはず

  5cmになるまで1年はあったはず。


私は、エビデンスに加えて

自分の経験も踏まえ、

エコーも併用の乳癌検診、そして、

HER2陽性、トリネガ

の方々には、

早期手術をお勧めしています。

放置すると、

すぐに大きくなるよ、とも。

お勧めはしますが、そういった知識を

踏まえた上で、手術などの治療をするか

しないか、どんな治療を選択するかは、

患者本人の自由であり、

本人が後悔しない選択をすればよいのだと

思っています(何度も書いていますが)。


今の医療では、検診してみなければ、

生物学的予後の良い癌(がんもどき)か、

悪い癌(本物のがん)かは分からないし。


早く、遺伝子検査で、生物学的予後の良い

癌を『確実に』特定出来るようになって、

過剰治療が減らせるようになるといいね、

と思い、期待します。


なお、「同じ乳癌だから、みんな一緒」とか、

「不安基準」だけを押し付けてくるとか、

「他人と比較して」といった、

思い込みからの不快な批判コメントを、

私のブログに書くのは、

いい加減、やめて下さい。

思い込みは、ご自分のブログに書いて

主張して下さい。

今後は、同様の批判的なしつこいコメント

は削除させていただきます。



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