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35周年にして"ガンダム最終戦争"勃発? "Gレコ"に秘められた富野監督の思いとは!? (2014年03月19日 おたぽるより)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=178&id=2808400
第一作『機動戦士ガンダム』の放送から35周年、いまや名実共に日本を代表するアニメとなった"ガンダム"シリーズ。先日オープンした「機動戦士ガンダム 35周年記念ポータルサイト」では、明日3月20日17時になんらかのライブ配信を行うとおぼしき告知もあり、ネット上では「新作発表か!?」とのガンダムファンたちの期待の声があがっている。中でも注目度が高いのは、かねてより企画が発表されているアニメ版『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』の進捗、そして"Gレコ"と称された富野由悠季監督の新作についてだ。
ご存知の方も多いと思うが『機動戦士ガンダム THE ORIGIN』とは、もともとシリーズの原点といえるテレビシリーズ『機動戦士ガンダム』(以下、1stガンダム)を、安彦良和氏がコミカライズしたマンガ作品だ。同作には1stガンダムのアニメーションディレクターを務めていた安彦氏が、当時から違和感を覚えていた箇所や、現代の時勢に合わせて随所に設定やストーリーの改変を施しており、それを原作とするアニメ版はいわば『機動戦士ガンダム』のリブートといえるだろう。
アニメ版の制作が発表されたのは、2011年の6月、同作の最終回が掲載された「月刊ガンダムエース」誌上だった。そこで安彦氏はアニメ版の制作にあたり「映像化によって、僕が提出した『最初のガンダム』は『新しいスタンダード』になることでしょう」とのコメントを述べている。それ以来、およそ3年の間、安彦氏への取材などで時折触れられることはあったものの、スタッフやキャスト、発表時期や媒体など具体的な制作内容については沈黙が保たれている同作だけに、おそらく今回こそなんらかの発表があると思われる。
対する富野監督の"Gレコ"も謎の多い作品だ。元々は、2010年10月前述の「月刊ガンダムエース」に掲載された、富野監督自身が執筆、挿絵も手がけた短編小説『はじめたいキャピタルGの物語』をベースとした作品で、翌年11年10月には「ニュータイプエース Vol.2」誌上で"サンライズプロジェクトとして始動!"と発表。"人類が絶滅寸前にまで追い込まれ、それから最低でも1000年が経過した時代が舞台""宇宙エレベータが登場する"など、富野監督による作品の構想や、それを元に吉田健一氏が描いたというイメージイラストも掲載され、監督自身も取材などのたびに"次の作品はテレビシリーズになる""シナリオは全部自分で書いた""できれば絵コンテもひとりでやりたい"というような旺盛な意欲を示しているが、その後2年近くサンライズなどからの公式な告知は途絶えたままだ。
昨年7月に行われた「『機動戦士ガンダム』シリーズの新作映像発表会」の際も、14年~15年に「待望の富野由悠季監督による新作の公開」と曖昧な発表に留まっている。
この件について、とある事情通のアニメプロデューサーに訊ねてみたところ、意外な答えが返ってきた。どうやらこれは"ガンダム"の著作権に関わる問題が背景にあるというのだ。
「"Gレコ"とは制作上、仮につけられたコードネームで『Gのレコンキスタ』もしくは『Gのレコンギスタ』なるタイトルの略称です。"Gレコ"の"G"は、もちろん"ガンダム"のことですが、表立ってそう名乗ると創通が必ず製作に割り込んでくる。それがどうやら富野監督やサンライズはお気に召さないらしいんです」
創通とは、ガンダムシリーズの版権ビジネスを展開する広告代理店、株式会社創通のことだ。自社をコンテンツプロデューサーと称する創通だが、制作サイドでの評判は決して良いものではない。作品への貢献度に対して要求が高すぎるというのが、その理由だ。ガンダムシリーズの画像や関連商品の図版が雑誌などに掲載されている際「(C)創通・サンライズ」と記されているのを見たことがある人も多いだろう。
前出のプロデューサーによれば「1st以降、ガンダムシリーズの商品化権窓口をほぼ独占していますし、書籍や雑誌、ゲームやプラモデルなど、すべての関連商品およびその紹介記事のチェックを要求してきます。もちろん版権窓口ですからチェックは重要な仕事なんですけれど、返答が遅いうえに、ちゃんと見ているのかというずさんな仕事ぶりに関係者はうんざりしてるんですよ」とのこと。実際、創通とサンライズなどガンダムの関連会社との確執は、一般誌の記事になったほどだ。
一方の富野監督は、1stガンダム制作時に、原作者権をサンライズにおよそ30万円で売り渡している。アニメのキャラクタービジネスや版権ビジネスが確立していなかった当時としてはごく普通の感覚だったようだが、そのため最近までガンダムシリーズの関連商品のロイヤリティは富野監督に渡らず、一時は精神的にかなり追い詰められたと、自著『ターンエーの癒し』でも触れている。
近年、幾ばくかのロイヤリティが支払われるようになったこともあり、良好な関係を築いている富野監督とサンライズだが「できれば、新作は創通抜きでやりたい、というのが正直なところだと思いますよ」(前出のプロデューサー)とのこと。
"Gレコ"および、その元となった『はじめたいキャピタルGの物語』で"ガンダム"という単語は一切出さず、"モビルスーツ"に似た人型機動兵器を"マンマシーン"と言い換えて登場させているのはそのためで、ガンダムシリーズではない完全新作としての制作も見据えてのことだったという(ちなみに"マンマシーン"は、サンライズ非公認の富野監督によるガンダム外伝『ガイア・ギア』にも登場する)。
さらに「これは私見になりますが」と前置きした上で、「"レコンキスタ"って、中世にあったキリスト教国の再征服活動のことですよね。富野監督は、一度は奪われたガンダムをクリエイターの手に取り戻そうという思いで、あえて"Gのレコンキスタ"とつけたのではないでしょうか。しかし戦友ともいえる安彦氏が"新しいスタンダード"になると宣言しているアニメ版『ORIGIN』が同時期に制作されているのは、ある意味皮肉ですね」と前出のプロデューサーは語った。
冒頭で紹介した「機動戦士ガンダム 35周年記念ポータルサイト」では"INTRODUCTION"として以下の文が掲載されている。
「シリーズ開始から35年、"ガンダム"は次のステージを目指し、挑戦を続けていきます。変革はすでに始まっている。」
ガンダムの生みの親ともいえる2人、富野監督のレコンキスタと安彦氏の原点回帰は、ガンダムをどのように変革するのだろうか。まずは3月20日の発表を待とう。
(文/蜂須賀のぼる)