(令和3年4月11日放送のTBS『平成・令和の未解決事件 春の大追跡スペシャル』からの画像。このシーンのナレーションに「犯人が部屋の中まで入った形跡はなく、盗られたものもありませんでした」とある)
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(その6からの続き)
追記三つめとして、被害女性宅の部屋の状態(家具の配置等)、具体的にはドアとかアコーディオンカーテン、ベビーゲートに関することです。
(以下のことは、だてレビさんによるこの事件の検証動画(主に3と4)で、視聴者の一人であるiceblueeyes555氏によって指摘されていた事実を受けての追記となります。)
私はこのブログの2017年2月4日の記事で、被害女性宅の間取りとして下の図を掲載していました(黄色の矢印と黄色の楕円は今回書き加えたものです)。
上の画像の黄色の楕円で示した部分、そこに、下の2枚の画像のようにドア(ドアA)があるわけです。
事件から19年後(2018年)の撮影。
事件から14年後(2013年)の撮影(二つ前の画像の黄色矢印の方向から見た室内の状態。水色の点線はアコーディオンカーテンが閉じたときの底辺のライン)
一見この「ドアA」を開ければ廊下側に行けるように思えるのですが・・・、しかし、上の2枚よりもさらに古い時期の画像・・・例えば「事件から間もなく1年が経つ」というナレーションが入っている動画(6分11秒のやつ、ググれば出ます)から抜き出した下の画像を見てみると・・・
「ドアA」の前に棚(棚A)がドーンと(アコーディオンカーテンに密着する形で)置かれています。つまり廊下側と通り抜けができない状態と思われます。
(この画像では「棚C」なんてものも設置されておりややこしいのですが、「棚C」とかは無視で、無いものとして見ていただくとわかりやすいかと。またこの動画の番組が放送されたのはナレーションにある通り「事件から間もなく1年が経つ」頃すなわち2000年の10月~11月初旬ごろの放送ではないかと思うのですが、撮影された時期自体は、部屋に撮影スタッフを案内する夫の悟さんの装いが半袖シャツということからして、2000年9月ごろ<事件後10か月くらい>ではないかと想像します。)
上の映像が撮影された時の夫(高羽悟氏)の服装
3枚上の画像を別アングルから。
アコーディオンカーテンは部屋の左右に設置されており、この左右のアコーディオンカーテンを引き伸ばせば奥側の部屋(キッチン)と手前側の部屋(リビング)とを仕切ることができる仕組み。この画像は右側のアコーディオンカーテンもよく写っています。
ポイントは、この右側のアコーディオンカーテンが「棚D」の手前や右横ではなく、向こう側(裏側、奥側)にあることが確認できることと、右側の壁の前にメタルラックが据えられていることかと。
さらに別アングルから。
この画像では、右側のアコーディオンカーテンが「棚D」の裏側にある様子や、同カーテンの右横にある白い壁、その前に置かれたメタルラックが確認できます。
上の様子をキッチン側から見てみると・・・。
やはりアコーディオンカーテンが「棚D」の裏側にあることが確認できるかと。つまり、事件後10か月程度と思われる時点で、このアコーディオンカーテンは「棚D」に引っかからず、引き伸ばして閉じることができる状態であったことが見て取れるかと。
しかし事件後10か月程度の状態がそうだったからといって、事件発生時にもその状態だったとは限りません。そのあたりを考えさせられるのが下の画像です。
これは事件の7か月前(1999年4月ごろ)に撮影されたビデオ映像から抜き出したもので、奈美子さんが「棚D」を背に、息子の航平君にごはんをあげているシーンが写っています。事件の7か月前には、キッチンではなくリビングで食事をしていた様子であると。このあたり、だてレビさんの検証動画でも紹介されていました。キーフレーム氏が「棚D」の左側に見えている「ベビーゲート」の存在を指摘されていました。このベビーゲートが割とくせ者なわけです。
上のシーンを別アングルから。
「棚D」の右側、ここは画質が荒いせいで白い壁のように見えますが、おそらくアコーディオンカーテンと思われるものが写っています(メタルラックはまだこの時点では設置されていないようです)。この画像ではアコーディオンカーテンが「棚D」の手前(こちら側)にあるのか、右横にあるのか、裏側にあるのか、確認が難しいです。画像を拡大してみたのですが、よくわかりませんでした。
あと、「おそらくアコーディオンカーテンと思われるものが写っている」などという言い方をしたのは、もしかするとアコーディオンカーテンは取り外されており、そこに写っている白い面は「壁」の可能性もあるのかなと思ったからです。
つまりアコーディオンカーテンを取り外して、「棚D」の右側の面をじかに「壁」の左端と密着させ、より強力に航平君のキッチンへの出入りをブロックしている可能性もあるのかなと。(ちなみに手前に比較的年配と思われる女性が写っているのですが、奈美子さんの母親なのでしょうか?)
下はさらに古い画像です。事件の約10か月前です。
だてレビさんがこの事件を検証された際に(iceblueeyes555氏と思われる)視聴者の方から寄せられた動画の画像で、撮影日が「1999年1月9日」となっています。
ベビーゲートの部分を拡大してみると・・・、
これを見ると、ベビーゲートの右側はおそらく「棚D」の左側の面で突っ張っており、一方でベビーゲートの左側は廊下側の壁で突っ張っており、そしてベビーゲートはアコーディオンカーテンの向こう側(キッチン側)に位置しているのが確認できると、
つまりこの状態である限りは、アコーディオンカーテンを引き伸ばしても「棚D」の側面にぶち当たって伸ばし切ることができない(閉じることができない、同カーテンで部屋を仕切ることができない)と推測される・・・ということをキーフレーム氏が指摘されていました。
つまり「事件の7か月前」「事件の10か月前」の映像を見る限り、(事件発生時がどうだったかは不明にせよ)少なくともその時点では、「棚D」の左側にはベビーゲートが設置されており、それはアコーディオンカーテンの向こう側(キッチン側)に位置しており、
それを図にすると以下のような感じになる、ということのようです。(棚Dが干渉してアコーディオンカーテンを閉じることができない状態)
では事件発生時の状態はどうだったのか、アコーディオンカーテンを閉じてリビングとキッチンを仕切ることができる状態だったのか、それとも、アコーディオンカーテンは「棚D」に引っかかって閉じることができない状態だったのか・・・という点を考えてみますと、
私としてはおそらく「アコーディオンカーテンを閉じてリビングとキッチンを仕切ることができる状態」だったのではないか・・・と推測します。(iceblueeyes555氏が、「アコーディオンカーテンが閉じられていた可能性」にについて言及されていましたが、私もその可能性は---高くはないとは思いますが---絶無ではないと思いました。)
そう結論するにあたって重視したのは次の画像です(3枚とも再掲)。
先述の通り、これはおそらく2000年9月ごろの撮影(事件後約10か月)と思われる部屋の状態です。
事件後まだ1年経っていないこの部屋の状態を紹介している動画の中で、1分20秒あたりから、「事件後、夫は住まいを移した。だが今もこの部屋を借り続け、何もかも当時のまま保存しているという」というナレーションが入っているわけです。
奈美子さんの夫の悟さんによれば、「ここは忌まわしいというよりは思い出がいっぱい詰まっている場所。ここに来るとホッとする部分はある」とのことで部屋を借り続けているとのこと。
事件から14年後に放送された番組(下の2枚の画像)の中でも、子供のおもちゃも含めて、様々なものが残されたままであると。幼い航平君のためには転居先でもまだおもちゃが必要だったはずですが、そのおもちゃですら(全てかどうかはわかりませんが)持ち出さずいるということで、逆に言えばそれほどにこの場所での奈美子さんとの思い出を大切にしたかったということではないのかなと。(この場所からおもちゃを持ち出すということは、奈美子さんが短いながらも母として過ごしたこの場所から子供の思い出を持ち去ることに等しいような気持がしたのではないかと想像。)
事件から19年後のニュース映像でも、おもちゃはそのままに。
近年は部屋の様子もかなり変わってきているようではありますが(いろいろなものの運び出しなどもあったことかと)、少なくとも最初の数年は、「部屋を当時のままに残す」という悟さんの意識は非常に強かったのではないかと、
そしてその意識には奈美子さんとの思い出を保存したいという意味合いのほかに、悟さんが「玄関に落ちていた犯人の血痕さえ洗い流さずそのままにしている」ことからして、「証拠保全」の意味合いもあったのでは?・・・と想像するわけです。(下は2018年放送のTBSニュースからの画像。赤枠のようなナレーションが付いています。)
だとするとその大切な保全すべき現場について、細かな部分に至るまで一切変わらず保全されていたかどうかは別としても(例えばテレビを撤去された可能性もあるのかもしれません)、少なくとも事件後10か月程度と思われる下の画像の時点で、大きなところは動かしていないのではないか、
「大きなところ」というのは例えば「棚D」の位置を動かすであるとか、その横にメタルラックを置くであるとか、とにかくそういう大きな変更はしていないのではないかということで、要するに上の画像は、家具などについては事件当時そのままの位置を写しているのではないかと、
また「ベビーゲート」については他人から見ればただの小さな柵だとはいえ最愛の妻が残してくれた最愛の息子の成長に関わるものであり、おもちゃの数々と同様に、奈美子さんの「母親」としての側面を象徴する物品の一つであろうことを考えれば、
もし仮にこれが事件発生時に設置されていたのであれば(息子の航平君は事件時2歳1か月)、妻の息子への思いを取り去らないという意味でも、また犯行時の現場を保全するという意味でも(しかもベビーゲートは倒れていた奈美子さんの目の前に設置されていた)、悟さんがそれを事件発生から1年経たないうちに撤去してしまうようなことはないのでは?と自分的には想像され、
逆に言えば、上の事件後10か月くらいであろう画像に「ベビーゲート」が写っていないということは、事件発生時点ですでに「ベビーゲート」は取り外されていたということではないか・・・などと思ったりするわけです。(いうまでもなく全くの想像であり、事実がどうであったかは不明です。)
ちなみに下は2016年2月に放送された問題のフジの番組『最強FBI緊急捜査! 日本未解決事件完全プロファイル』での事件発生時の再現映像からの画像です。実際の現場とは異なる部屋で別の家具を使っての再現ですが、「棚D」やその奥のメタルラック、「棚B」なども律義に再現されている一方で、「ベビーゲート」は写っていません。
長くなりましたが、追記の主旨としては「キッチンと廊下を結ぶドアが(その前に棚が置かれていたので)開かない状態だった可能性が高いようだ」ということでした。
これにアコーディオンカーテンの件やベビーゲートの件(事件時には取り外されていたものと想像)での自分なりの結論を考えあわせれば、事件時の部屋の状態は下図のようなものだったのではないかと想像します。(結局iceblueeyes555氏が「こうだったのではないか」と指摘されていた通りのものなのですが)
要するに、
・「ドアAは塞がれている」
・「その一つ向こうのリビングへの入り口には奈美子さんの遺体が血を流して横たわっている」
・「アコーディオンカーテンは棚Dに干渉されず、閉じてリビングとキッチンを仕切ることができる状態である(よって殺害時にアコーディオンカーテンが閉じられていた可能性もなくはない)」
こういうことなのかなと。
仮に殺害時の部屋がこの状態だったとすれば、iceblueeyes555氏が指摘されていたように、犯人がミルミルEに辿り着くまでの動線は(「犯人が殺害後にミルミルEを口にした場合」ですが)、
① 「玄関(襲撃) → 廊下(殺害) → 8畳和室 → 6畳和室 → リビング → キッチン(ミルミルE)」あるいは、
② 「玄関(襲撃) → 廊下(殺害) → 遺体をまたいでリビングへ → キッチン(ミルミルE)」
つまり下図の赤点線か青点線のようなものが考えられるわけで、
仮にこんな動線を辿ったとなると、これもiceblueeyes555氏が呈されていた疑問ですが、
「そこまでして(しかも手に怪我をし、滴り落ちる血を止められなくなっているような状態で)ミルミルEを飲みに行こうとするだろうか?(手がその状態であればパックの開封も面倒かと)」
「興奮状態の中で口が乾き、どうしても何か飲みたくなったのであれば、わざわざ奥のキッチンまで行かずとも、浴室横の洗面所で水でも飲めばよいのではないか(現に報道によれば犯人は手洗いするべく洗面所に入っているとのことなので、何か飲みたいならそこで水でも飲めばよいのではないか)」
「また仮に犯人がミルミルEを飲みにキッチンまで行ったのであれば、手洗いはキッチンの水道でするのではないか(これは『洗面所で手洗いした』との報道と矛盾しないか)」
といった疑問が生じてくると。(また仮に犯人が上の①②の動線を辿ったのだとすれば、そこには血の足跡が残されることになるでしょうが、8畳和室、6畳和室、リビング、キッチンに血の足跡が残されていたという報道はない。)
こうした疑問点を踏まえておくことがミルミルEにまつわる問題を・・・例えば、
「誰がどういった経緯で奈美子さん宅に持ち込んだのか?」
「誰がどのタイミングでその飲みかけのパックをキッチンのテーブル上に置いたのか?」
「誰がどのタイミングでその中身を少量、玄関の上り口のところにこぼした(あるいは吐いた)のか?」
といった問題を考察する上で重要だということらしいのですよ。
私は当初、「キッチンのドアが開かない状態だったのかあ。その点を修正した図を追記しなきゃあ・・・」ということばかりに意識を奪われ、上の画像の廊下からキッチンへの入り口の部分を棚Aで塞いだ画像だけ載せて終わりにしようと思いつつ、「まあそのうち」と延び延びにさせていたのですが、
今回追記に着手するにあたってドア問題を提唱されたiceblueeyes555氏の当時のコメントをチェックし、その観察眼の凄さやそこで提示された論点の重要性に気づかされましたので、追記に絡めてこちらで紹介させていただきました。