北海道室蘭市高1女子行方不明事件・その3 | 雑感

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たまに更新。ご覧いただきありがとうございます。(ごく稀にピグとも申請をいただくことがあるのですが、当方ピグはしておりません。申請お受けできず本当にすみません)

室蘭女子高生失踪事件

室蘭女子高生失踪事件

(知利別町のパン屋本店が入っていたビル。

上の画像、青丸の部分が当時の客用の出入り口。

下の画像は店舗を裏から見た図、青丸の部分は従業員通用口と思われる出入り口。

下の画像の向かって右下に吹き抜けの駐車場が見える)

 

※※ パソコンからご覧の場合で、画像によってはクリックしても十分な大きさにまで拡大されず、画像中の文字その他の細かい部分が見えにくいという場合があります(画像中に細かい説明書きを入れている画像ほどその傾向が強いです)。その場合は、お手数ですが、ご使用のブラウザで、画面表示の拡大率を「125%」「150%」「175%」等に設定して、ご覧いただければと思います※※

 

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さて千田さんはこのパン屋本店を目指すべく、室蘭サティ横の「東町2丁目」バス停から、同バス停を「13時31分」に発車する「中央町・工大循環線(外回り)」のバスに乗り込み、バスの運転手や同乗した23人の利用客には誰一人として記憶されないまま、パン屋本店からほど近い場所にある「東通り」バス停に、「13時41分」に到着・降車したらしい、とのことでした。(目撃者なし)

 

室蘭女子高生失踪事件

 

「らしい」というのはつまり、千田さんを最後に目撃したのが、「サティ横の東町2丁目バス停付近で、千田さんと道路を挟んで軽く挨拶し合ったという同級生男子2人」である以上、「千田さんは13時31分に東町2丁目バス停からパン屋本店を目指してバスに乗り込んだはずだ」とか、あるいは、「千田さんはパン屋本店近くの東通りバス停で、13時41分に降りたはずだ」とかは、すべて「推測」ということになるからですが、ただその「推測」を裏付ける「事実」はあり、それは「千田さんのPHSの交信記録」であると。

 

それによると、千田さんが「東通り」バス停でバスを降りたとされる時間の直後(13時42分)に、千田さんのPHSに着信があり、その着信を入れてきた相手は当時交際していた同級生の彼氏だったのですが、このとき千田さんは彼氏に対して、

 

「もう下に着いた」

 

と話したと。

 

室蘭女子高生失踪事件

室蘭女子高生失踪事件

 

ここで「下」とは何か?・・・ということなのですが、この事件を取材したテレビ朝日『追跡!真実の行方』によると、室蘭では、市街地のことを「下」と呼び、一方で千田さんのアパートがあった高台の白鳥台のことを「山」と呼んでいると。
つまり千田さんが言った「もう下に着いた」というのは、


「もう市街地(繁華街)に着いた」

 

という意味であるとのこと。

 

室蘭女子高生失踪事件

室蘭女子高生失踪事件

 

注目すべき点としては、このときの千田さんのPHSの電波を拾ったのが、パン屋本店近くにあるPHSの中継アンテナだったらしく、(現在このアンテナは撤去済みとのこと。また一部情報では、当該アンテナは「東通り」バス停付近にあったとされているが、その「東通り」バス停自体がパン屋本店から30m程度の距離なので、この中継アンテナがパン屋本店と「東通り」バス停のどちらに近い位置にあったかは、ここではさほど重要ではないかと思われる)

 

室蘭女子高生失踪事件

 

いずれにしてもこの事からして、千田さんのPHSに着信のあった「13時42分」に千田さんが「東通り」バス停付近にいたことは間違いないものと思われ、だとすれば当然、千田さんはサティ横の「東町2丁目」バス停付近で「13時30分」ごろに同級生男子2人と挨拶を交わした直後の「13時31分」に同バス停からバスに乗り込み、その10分後の「13時41分」に知利別町の「東通り」バス停に到着・降車し、バスを降りた直後に、彼氏からPHSに着信があったのではないか(13時42分)、また、24人いたとされるバスの利用客のうち唯一人「通学定期券」を使用した人物というのは、やはり千田さんで間違いないのではないか・・・という推定を強めることになるかと思います。

 

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さて千田さんの同級生の彼氏は、この1度目の電話の後で、すぐに2度目の電話を入れたとのことで、(13時46分)

 

室蘭女子高生失踪事件

(千田さんのコーヒー講習の後で二人で落ち合いデートする約束があったとの情報もあるが・・・。仮にそうだとすると落ち合う時間の関係とかで細かく連絡を取ろうとしたのだろうか?)

 

2度目の電話を入れた際の千田さんの応答は、「今話せないから、後でかけ直すね」というものであったと。

また彼氏によると、「2度目の通話時には千田さんの背後から音がせず、千田さんがどこか静かな所にいる気がした」とのことであり、その後の調べでは、この時の千田さんの通話を中継したのも、やはり1度目と同じくパン屋本店近くのPHS中継アンテナだったとのこと

 

室蘭女子高生失踪事件

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(2度目の通話時、千田さんはどこにいたのだろうか?)

 

その後、いつまでたっても電話をかけ直してこないことを不審に思ったのか、彼氏が夕方(16時ごろ)、再び千田さんに電話をかけてみると、千田さんのPHSは、すでに通話ができない状態になっていたと。

 

室蘭女子高生失踪事件

 

千田さんがパン屋本店かそのすぐ近くまで来ていたことはほぼ確実と思われる状況の中、結局その日は、パン屋本店の従業員の誰も千田さんの姿を見ていないとのことで、

 

室蘭女子高生失踪事件

 

ここに千田さんが謎の失踪を遂げたことが明らかとなり、室蘭警察署は千田さんの失踪直後から、彼女が何者かにより監禁されている疑いありとして、捜査を開始したとのことでした。

 

室蘭女子高生失踪事件

 

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さてその後の捜査について、今となってはネットで調べてみても、警察が当時どのような捜査をしたのか、詳しいところは出ていないように思われますがどうでしょうか。

 

一つだけ確かなこととして伝えられているのは、この行方不明事件の時、警察は早々にある一人の人物に狙いをつけ、その人物を24時間体制で監視し、3日間にわたって任意で事情聴取もした、ということで、ご存知の通り、その人物とは、千田さんがアルバイトをしていたパン屋のオーナーその人であり、あの日の午後、コーヒーの煎れ方を指導する(コーヒー講習)ため、千田さんと会う約束をしていた人物でした。

 

室蘭女子高生失踪事件

室蘭女子高生失踪事件

(3日間にわたって任意で事情聴取、行動監視は24時間体制だったという)

 

当時、オーナーが事件との関与を否定したうえで警察に対して行った証言としては、

 

「店で千田さんを待っていたが来なかったので、13時30分に店を出て、15時に自宅に帰った」

 

その後、上の証言を修正し、

 

「店で千田さんを待っていたが来なかったので、13時30分に店を出て、自宅に帰り、体調がすぐれなかったのでずっと自宅にいた(コタツで寝ていた)」

 

というものが伝わっていおり、オーナーが13時30分かどうかは別として13時台のいずれかで店を出たのは確からしく、その点については、当時のパン屋の店員の証言もあると。

 

室蘭女子高生失踪事件

室蘭女子高生失踪事件

(「千田さんから電話が午前中にきて、千田さんのほうから13時過ぎに来たいんですけどって言ったんですけど・・・、13時すぎになっても千田さんは来なかったし、そのあとオーナーは出かけたんですよ」)

 

このあたりの事情については、2011年のテレ朝の番組『追跡!真実の行方』の中にオーナー自身の言葉があり、それによると、

 

オーナー「千田さんを店である程度待ってたんですけど、だけどその、なんかの用事があったのか、私も覚えてないんですけど、(パン屋を出て)まあ1回家に帰ってて、そのまま寝てた。すごく具合が悪かったのかな。親(母親)の、ほんと目の前で寝てますからね、コタツの中で。」

 

(「親の目の前でコタツで寝ていたというのがあなたのアリバイということか?」との質問に対し)

オーナー「そうそう、(家で)寝てましたからね。だけど親の、その、なんていうか証言はぜんぜん信用ならないと(警察はそういう態度だった)」

 

オーナー「不満はいっぱいある。不満だらけですよ、捜査に関しては。」

 

(警察から犯人扱いされたことがあったか?との問いに対し)

オーナー「いや、取り調べはだいたいそうですよ、そんな感じでした。」

 

オーナー「(千田さんが)いなくなった次の日の朝にもう警察が(家に)来てて、(3月)7日の朝ですね、で、わたし寝てて、そしてなんか、家の中を見せてもらうってことになって、わーっと見ていって。令状なんかないですよ。」

 

(令状なしでいきなり家に入ってきた?との問いに対して)

オーナー「そんな、逮捕とかじゃなかったですから、刑事2人で、話聞きたいって。」

 

オーナー「ほんと、ビッチリですよね、もうずーっと、そうですね、ずっともう、なんていうか(警察から)追跡されて。でも悪いことは何もしてないんで。逃げてもないし。(自分が犯人扱いされたことについては)そら悔しいですよ」

 

室蘭女子高生失踪事件

室蘭女子高生失踪事件

室蘭女子高生失踪事件

 

ということだったらしいのですが、とにかく警察は、千田さんが行方不明になった日の翌朝(3月7日の朝)にはオーナーの当時の自宅に押しかけ、自宅を調べ、オーナーの行動もずっと(24時間体制で)追跡・監視し、当然ながらパン屋の店舗も捜索し、また伝えられるところによると、車も押収して調べたとのこと。

 

室蘭女子高生失踪事件

室蘭女子高生失踪事件

(上の画像、赤ピンの先が当時のオーナーの自宅位置。パン屋本店との距離は直線距離で550m程度。下の画像、赤枠で囲んだところにオーナーの当時の自宅があったが、家屋はすでに撤去されており、月極駐車場となっている)

 

いずれにしても捜索の結果、オーナーと千田さんの行方不明事件とを結び付ける証拠は出てこなかった、とのことでした。

 

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さて、先のテレ朝の番組『追跡!真実の行方』では、さらにオーナーへのインタビューが続くわけですが、その中でオーナーは、

 

「千田さんからストーカー被害についての悩みを聞いたことがある」

 

ということを証言し始めるわけです。オーナーによると、

 

オーナー「白鳥台のほうで、(千田さんの)自宅の近くで、ストーカーみたいなことがあるってことは(聞いたことがあった)」

 

(ストーカーの件について、千田さんは電話で打ち明けたのか、それとも店で打ち明けたのか?との質問に対して)

オーナー「お店に来て、なんか、研修中かなんかの時だと思いますけど」

オーナー「自宅の近くでって話はしてましたけど」

 

(千田さんは「怖い」と言っていたか?との質問に対して)

オーナー「うん」

 

室蘭女子高生失踪事件

 

このオーナーの証言、テレ朝の番組では

 

「(オーナーによる)驚くべき証言」

 

という風に、若干揶揄するかのようなニュアンスで紹介されており、テレ朝的には、「まゆつば物の証言だ」と言いたいのかな、という印象を受けるのですが、しかし、別のTBSの番組(「その1」で紹介した、2003年3月の事件直後に放送されたもの)では、

https://www.youtube.com/watch?v=vyxP2HmhK5g

 

「アルバイト先でも千田さんのPHSにいたずらメールや電話がかかることがあり、自宅周辺にも不審者が出没するということで、アルバイトは早番勤務に就いていたという」

 

ということが言われており、また同番組の中で、千田さんの友人知人らがはっきりと、

 

「千田さんがストーカーめいた行為にあっていたと聞いたことがある」

 

と証言しており、

 

室蘭女子高生失踪事件

(「かわいい子なんで、つきまとわれてるとか言い寄られてるっていうのを聞いたことありますけど」友人談)

 

室蘭女子高生失踪事件

(「ヤバイとか聞いたことがある。ストーカーみたくつきまとわれたり・・・」友人談)

 

室蘭女子高生失踪事件

(「(電話がかかってきても)知らない番号には出ないようにしているという話を聞いて。なんで?って話を聞いたら、いたずら電話が多いからっていう話は聞きましたけど」千田さんがアルバイトをしていたパン屋支店の店長談)

 

これらを見る限り、パン屋オーナーによる

 

「千田さんはストーカー被害に悩んでいた」

 

という証言は、必ずしも荒唐無稽というわけではないのでは?・・・という風に思えてくると。

 

ちなみにこの

 

「千田さんがストーカー被害に悩んでいた」

 

という話の真偽を確認するべく、テレ朝のスタッフが室蘭警察署に問い合わせてみると、その回答は、

 

室蘭女子高生失踪事件

 

「ノーコメントであった」

 

とのことでした。

 

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事件の概要はこんなところでしょうか。

当日に誰が何を言ったとか、どういう出来事があった、それは何時ごろであった、場所はどこ、地図上の位置はここ、距離はこれ、現地の風景はこんな感じ・・・みたいなことも写真や図で示してみたので、よければ参照いただければと。

 

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さて以上を踏まえての自分の感想ですが、まず思ったのは、千田さんは当日、1時過ぎとかではなく、1時45分~2時ちょうどのパン屋本店への到着を目指して行動していたのではないか、ということかと。

 

(以下、あえて13時とか14時とか表記せず、”午後”を省いて単に”1時”とか”2時”とか表記している場合がありますが、当然ながらすべて深夜の話ではなく、日中の話として読んでいただければと)

 

千田さんは、何時にパン屋本店に行くと約束していたのか?

 

この点、これまでの情報を総合すれば、パン屋本店側の認識としては、オーナーも、また千田さんからの電話をオーナーに取り次いだという女性店員も、

 

「千田さんは1時過ぎにパン屋本店に来るという約束だった」

 

この認識だったとみて間違いはないかと。

室蘭女子高生失踪事件

室蘭女子高生失踪事件

(一部情報には、「オーナーは”千田さんと1時にパン屋本店で会うと約束していた”と証言した」とするものもあり、約束の時間が「1時ちょうど」だったのか、「1時過ぎ」だったのか、そのあたりの違いはあるものの、とにかく店側としては、

「千田さんは1時過ぎ---あるいは1時ちょうど---にパン屋本店に来るという約束だった」

という認識であったと。)

 

では一方の千田さんはどういう認識であったのか?

そのあたりを当日の千田さんの行動から推測してみると、

 

・おそらく12時ちょうどくらいに白鳥台の家を出発

・12時25分、「白鳥台中央」バス停から「東町ターミナル」行きのバスに乗車(道南バス)

・12時56分、パン屋本店近くの「東通り」バス停に到着するもここで降りず

・13時3分、室蘭サティ横の「東町2丁目」バス停で降車

・特に買い物をする様子もなく、時間をつぶすかのように---サティ化粧品売り場の防犯カメラで確認できるだけでも22分間---サティ店内をぶらついていた

・13時31分、再び「東町2丁目」バス停からバスに乗車(その直前に同級生男子二人と挨拶)

・13時41分、パン屋本店近くの「東通り」バス停で降車したものと推測される(当該バス停で降りた直後と思われる時間に、彼氏とPHSで会話@13時42分)

・13時46分、彼氏から再び千田さんのPHSに着信を入れると、「今話せないから、後でかけ直すね」と応答した。

 

これらの行動を見る限りでは、

 

「1時過ぎにパン屋本店に到着の約束だった」(店側の主張)

 

というにしては不可解な動きであり、結果的に(店側から見れば)かなりの遅刻をしてしまっていると。

(パン屋本店に対して「遅れます」との電話も入れず)

 

千田さんのこうした行動の原因として考えられることは、

 

1. 店側が1時~1時過ぎの到着を待っているよと伝えたところ、千田さんがそれを聞き違えるか何かで、2時だと勘違いしてしまった(悪意のない勘違い)

2. 千田さんにとって「1時過ぎ」という言葉は「1時45分~2時」あたりも含むという認識だった(独特な時間感覚の持ち主だった)

3. 実は、約束の時間は「1時~1時過ぎ」ではなく、「1時45分~2時ちょうど」あたりに変更されていた(約束時間の変更があった)

 

おおむねこの三つかと。

 

1(悪意のない勘違い)について、当日の午前11時30分ごろに「1時過ぎに行きたいのですが」とパン屋本店に電話をしたのは千田さんであり(言い出しっぺ)、その言い出しっぺが---店側がその時間(1時過ぎ)でいいと言っているにも関わらず---「1時過ぎ」を「2時」と聞き間違えることがあるのだろうか?・・・というのは疑問であり、あり得なくはないにせよ、ちょっと考えにくいかなと。

 

次に2(独特な時間感覚の持ち主)ですが、千田さんがパン屋本店の人々との約束を無視したかのような行動をとったことについて、千田さんの友人たちは口をそろえて、

 

「律儀な麻未さんが、そんなことをするわけがない」

 

と言っていると。(サイゾー記事)

 

「その遅刻の話だけは、麻未ちゃんらしいわ」

「そういう天然というか、のんびり過ぎるところがあったよね」

「美人で成績もよかったけど、時間についてだけは変わった感覚の持ち主だったよね」

「いつも授業遅れてきてたよね(遅刻魔だったよね)」

 

とかの証言は、友人知人からも、学校からも、親からも出ていないわけです。

(それらの人々からの証言 → 千田さんは「明るい」「礼儀正しい」「成績上位」「無断で家を出るあるいは帰りが遅くなるタイプの生徒ではなかった」等々、堂々と大幅遅刻をしてくるのとは真逆のイメージだった様子)

 

とすると、2の可能性もやや考えにくいとすれば、残る可能性としては3の、

 

「約束時間の変更があった」

 

ということになるのかなと。

 

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ではその「約束時間の変更」を指示したのはいったい誰なのか?・・・

 

ということを考えてみると、候補としては、

 

1. 千田さんから電話を受けたパン屋本店の女性店員(あるいはその他の店員)

2. オーナー

3. パン屋本店とは無関係の第三者

 

おおむねこういったところかと。

 

まず1ですが、女性店員はそういう指示をしたとは言っておらず(立場的に当然かと)、その他の店員の証言はそもそもネットに出てないようなので検証しようがないと。

また先の女性店員は、「その1」でも紹介した次の動画の2分49秒から、

https://www.youtube.com/watch?v=vyxP2HmhK5g

 

「(あなたが千田さんからの電話を受けた後で)直接千田さんとオーナーさんが連絡とったなんてことはあったんですかね?」

 

とのレポーターからの質問に対して、

 

「いやウチら(店員たち)には、ちょっとそういうことは全然わかんないです」

 

と答えていると。(つまり店員らはノータッチとの証言)

 

とすると次に考えられるのは2すなわち、オーナーが千田さんに直接電話して約束時間の変更を指示したのだろうか?・・・

 

ということになるのですが、そのオーナーもまた、

 

「千田さんとは、1時(ないし1時過ぎ)に会う約束だった」

 

との証言で一貫していると。

 

約束時間の変更はしていないということも含めて、オーナーは千田さん行方不明については一貫して関与を否定しているわけですし、当時の警察の調べでも関与を示すものは出ておらず、また現在は室蘭某所にコーヒーやカレーなどを提供する飲食店を開業し、新たな生活も始めているとのことで、この上さらに疑ってかかるのは気の毒ではないかなと。

 

そんなわけで自分的には3すなわち、

 

「パン屋本店とは無関係の第三者が約束時間の変更を指示した」

 

この線で考えてみたいのですが・・・

 

やはり千田さんの友人知人らの証言にもあったように、千田さんに対してつきまとう~しつこく言い寄る人物(ストーカー)がおり、そのストーカーこそが約束時間の変更を指示したのではないかと。

 

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さてそのストーカーを仮に、パン屋本店から1.5kmほど離れた室蘭市東町(室蘭栄高校の近く)に住む当時20歳の男子学生だったとして、

 

無理やり感のない自然な筋読み

 

をしてみるとすれば・・・

 

男はその日、たまたま偶然、あのパン屋本店で買い物をしていたのだった。

 

時刻は午前11時半ごろ。

トレーとトングを手にパンを見繕う男の背後で店の電話が鳴り、女性店員が受話器を取った。

 

「ああ、千田さん? オーナーからコーヒーの煎れ方を習う件ね?」

 

女性店員のその言葉に男の手が止まった。

体全体が耳になった。

 

「1時過ぎに? うん、オーナーいらっしゃると思うよ」

「じゃあ1時過ぎに来るってオーナーに伝えておくね」

「もしかしたらオーナーから電話があるかもしれないから、ちゃんと出てね」

「じゃあ、気をつけて来てね」

 

女性店員が受話器を置いたその瞬間、あり得ないほどの絶妙なタイミングで、裏口から一人の男性が入ってきた。

 

「あ、オーナー」

 

女性店員がその男性に呼びかけた。

どうやらこの店のオーナーらしかった。

 

「いま千田麻未さんから電話があって。オーナーからコーヒーの煎れ方を習う件で」

 

女性店員は電話の内容を伝え始めた。

 

女性店員「今日の1時過ぎにこちらに来たいそうなんですが」

オーナー「1時過ぎ? OK了解。じゃあ、あとはこっちでやるから。ありがとうね」

女性店員「はい」

 

そんな短い会話が交わされたのだった。

 

(ちだ・・・あさみ・・・?)

 

男はトング片手に固まっていた。

 

(コーヒーの煎れ方?・・・そうだ、ここはあの子がバイトしてる店の本店なんだよな)

(麻未ちゃんのことで間違いないな。そうか、今日あの子、この店に来るのか・・・)

 

男は東町ターミナルでバスを降り高校へと歩く千田さんを見初めて以来、千田さんの住所やバイト先、家族構成、PHSの番号などを密かに調べ上げ、いつか声をかけ二人きりになる機会を得たいものだと願いつつ、これまでそれが叶わないままで来ていた。

 

「これは千載一遇のチャンスかもしれない・・・」

 

そんな風に思えたのである。

 

急ぎパン屋本店から東町の自宅に舞い戻り、千田さんをおびき寄せるための一計を案じた。

 

男はPHSを取り出し、千田さんの端末にコールした。

 

時刻は正午ごろ、千田さんが家を出た直後だったかと思われた。


日ごろからいたずら電話に悩まされ、

 

「知らない番号には出ないようにしていた」

 

という千田さんだったが、この時ばかりは

 

「もしかするとオーナーからの折り返しがあるかもしれない」

 

との思いがあり、いつもなら無視したであろう、知らない番号からの呼び出しに対しても応答してしまったのだった。

 

「もしもし」

 

千田さんがそう答えた後の会話は、次のようなものだったかもしれない。

(以下、A=ストーカー、C=千田さん)

 

A「あ~もしもし、千田さん?」

C「あ、はい・・・」

A「あ~どうもです、私、本店で副店長をしてますAといいますが」

C「あ、どうも、こんにちは・・・」

A「いえいえ、あのですねぇ、今日オーナーからコーヒーの煎れ方を習う件のことなんですけど」

C「あ、はい」

A「オーナーが急用ができちゃって・・・、ほら、いろいろと忙しい人だからさ」

C「あ、そうなんですか・・・」

A「ええ、そうなんですよ。それでですね」

C「はい」

A「約束の時間を2時に変更してほしいと」

C「あ、オーナーさんがですか?」

A「そうそう、そのオーナーさんがですね、2時にしてほしいということなんです」

C「あ、はい、わかりました。じゃあ2時に参ります」

A「すみませんね、じゃあ、気をつけて来てください」

C「はい」

 

千田さんは男の術中に落ちた。

 

白鳥台の家を出る際、千田さんが目指していたバスは、12時25分に白鳥台中央バス停を出発する東町ターミナル行きのバスだった。

(12時56分にパン屋本店近くの東通りバス停に到着)

 

ところが本店での約束時間が2時に変更されたとなると、その12時25分のバスに乗っていては、本店へは早すぎる到着となってしまう。

 

「でも・・・」

 

と、おそらく千田さんは思った。

 

「もうメイクも着替えも済ませて家を出てるんだし・・・」

「予定通り12時25分発のバスに乗って、サティででも時間をつぶしてから本店に行こう・・・」

 

家には引き返さず、そのまま白鳥台中央バス停を目指したのだった。

 

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その後は12時25分発のバスに乗り、12時56分に本店前をやり過ごし、室蘭サティで時間をつぶすかのようにぶらつき、再びバスで本店方面に舞い戻ったらしかった。

 

その全ては室蘭サティの防犯カメラ(化粧品売り場)や、一部の同級生たちに目撃された通りだった。

 

男の計算は抜かりなかった。

 

「律儀そうな彼女のことだ、きっと早めに・・・おそらくは1時45分かそこらには本店に到着するよう行動するに違いない・・・」

 

そう読んだ男は、はやる気持ちを抑えながら、少し早めの1時20分ごろに、愛車の軽で本店を目指し出発した。

 

5分後、パン屋本店の1階にある吹き抜けの駐車場に到着した。

 

車を降りてわきの歩道で一服していた時のこと、先ほど女性店員から「オーナー」と呼ばれていた人物が険しい表情で足早に駐車場に入り、車に乗り込むとそのままどこかへと行ってしまった。

 

時刻は1時30分。

約束の時間に来ない千田さんに業を煮やしたオーナーが千田さんを探しに出たのか、あるいは遅刻した千田さんに社会の厳しさを教えるため、

 

「今日の講習は止め!」

 

として家に帰ってしまったのか。

 

「いずれにしても・・・」

 

と男は思った。

 

「彼女が遅刻するとも知らず、ご苦労なことだ・・・」

 

男は内心でせせら笑いながらも、本店裏の従業員通用口の向こうに見える歩道の一点を凝視していた。

 

一方の千田さん。

 

サティ横からバスに乗り、1時41分に本店近くの「東通り」バス停にて降車。

 

1時42分、彼氏から着信あり、「いま下に着いた」。

 

電話を切ってそのまま直進、本店の客用入口をやり過ごし、裏の従業員通用口から入店するべく角を左折したその瞬間、

 

「千田さん!」

 

聞きなれない男の声で呼びかけられた。

 

「こっちこっち!」

 

声の方向に目をやると、見知らぬ男が駐車場わきの歩道に立ち、満面に笑みを浮かべながらこちらに向かっておいでおいでをしていた。

 

室蘭女子高生失踪事件

(「千田さん!」・・・男は千田さんが従業員通用口から入ろうとしたまさにその瞬間をとらえ声をかけたのだろうか・・・画像はイメージ)

 

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その後の展開は次のようだったかもしれない。

 

すなわち突然のことにその場で固まり、声も出せずにいる千田さんの内心の困惑を男は素早く見て取った。

 

通用口に入られてしまう前に、急ぎ笑顔で千田さんに駆け寄り、事情を説明する男。

 

「どうもごめんごめん、千田麻未さんだよね?」

「僕は副店長のAといいます。さっき電話を差し上げた・・・」

「実は予定が変更になってしまって・・・。オーナーに急用ができて、ほら、君が普段バイトしてる白鳥台の店があるでしょ?」

「急きょあそこに用事ができてしまって、オーナー、そっちに行っちゃったんですよ」

「それでオーナーの意向なんだけど・・・」

「今日のコーヒーの件は白鳥台の店でやると」

「オーナーのあちらの用事は2時半ごろには終わるらしいから」

「だから君のコーヒーの件は、2時半ごろから白鳥台の店でやるということらしいんですよ」

「実は僕も、白鳥台の店にオーナーと一緒に出向く必要があったんだけど・・・」

「オーナーが僕にはここに残れと。ここに残って千田さんを待って、千田さんを車で白鳥台まで連れてきてあげてほしいと」

「予定が変わって申し訳ないことをしたと思ったのだろうね。千田さんにはくれぐれも謝っといてほしいとのことでしたよ」

「千田さんは、家は白鳥台のほうだよね?」

「 コーヒーの件が終わったら、そのまま家に帰ってもいいし、もう一度、下(繁華街)に出たければ、その時はほら、僕が下に帰るついでに車に乗せて送ってあげるから」

「今から出れば2時半少し前には白鳥台につくからさ。遅刻はまずいよ、ささ、急いで急いで」

 

「副店長」Aの説明した「事情」とは、おおかたこんなところだったかもしれない。

 

16歳、アルバイトの千田さんにどうして断る術(すべ)があっただろうか?

 

急(せ)かされるままに、吹き抜けの駐車場に歩を進めた。

 

その時、千田さんのPHSが鳴った。

 

1時46分、彼氏からの着信だった。

 

「今話せないから。後でかけ直すね」

 

そういって電話を切った。

 

彼氏が聞いた、これが最後の千田さんの言葉となった。

 

そのまま助手席に乗り込み、いずこかへと消えた。

 

16年が経ち、その行方は

 

いまだ杳(よう)として知れないままである・・・

 

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と、いう流れを妄想してみたのですが、

 

要は千田さんを車で連れ去ったこの男が、その向かった先で豹変したのかなと。

 

(その他、あのパン屋本店が入っていたファウンダースビルの2~3階、すなわち、アパートの部分に空き部屋あるいは地下室が・・・といった話については、知ってはいますが、自分としては、仮にそういった部屋があったとしても、千田さん失踪に絡んでそれらの部屋が使われたというよりは、車に乗せて連れ去り~のほうが状況的にはあり得るのでは?と考えたので、空き部屋・地下室の件については、ここでは割愛しています。)

 

ともあれこの無理やり感のない自然な筋読みによれば、千田さんを連れ去ったこのストーカーは室蘭市に住む当時20歳の学生という設定なので、一応、地元・室蘭工業大学のあたりもストリートビューで覗いてみると、大学わきのとある一角に、興味深い看板を見つけました。

 

室蘭女子高生失踪事件

 

「ちょっと待て やっていいこと 悪いこと」

 

千田さんを連れ去った犯人がもし(例えばの話)室蘭工大あたりの学生であったなら、あるいはこうした看板を目にすることもあったかもしれないなと。

 

室蘭女子高生失踪事件

(仮にこうした看板を目にしたとすれば、犯人は何を思っただろうか?)

 

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千田さんは今、どこでどうしているのか?

 

真面目で律儀だったという彼女が、突然の失踪後、16年経って何ら音沙汰なしというこの現実にかんがみても、言いにくいですが、「厳しいのでは?」というのが、この事件を知る大方の人々が抱くであろう思いではないかと。

 

先のテレ朝の番組『真実の行方』の中で、当時のパン屋本店のオーナーは千田さんについて、

 

「生きてるでしょうね。生きてるとしか思いたくない」

「本人(千田さん)が出てこないとどうしようもない」

 

ということを語っていますが、生きているかどうかは別としても、千田さんが出てこないことにはどうしようもないのは確かであり、この点、恐縮ながら率直に、

 

「既にご遺体の状況であるならば・・・」

 

ということを前提に書いてみるとすれば、あの知利別町のビルあたりから車で連れ去ったと仮定して、例えば口実を設けてどこかに連れていくとすれば、それがどこなのか、また突発的に凶行が行われ慌てて遺体を隠したとすれば、それがどこなのか、そのあたりを、室蘭一帯の地形、距離、道路状況、気象状況(特に3月頃の積雪状況)、あの当時のあの季節、JKを誘って気軽に「ちょっと行ってみない?」的な場所はここであったとか、当時こんな催し物をやっていたとか、そういった事々を勘案して地元の方々に当たりを付けていただき、クマの襲撃には注意しながら、粘り強く探していただくしかないのではないかと。

 

もし仮に、既にご遺体の状況であったとしても、それが見つかりさえすれば、真相解明に向けての一歩となるのでは?・・・と思うのですが、どうでしょうか。

 

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※※ 令和2年5月の追記

以下URLにて、当事件についての追記をさせていただいております。よければ、ご覧いただければと。

https://ameblo.jp/maeba28/entry-12598986443.html