前回書いた項目の1つ目のチャレンジは、一番簡単そうで材料費がかからなさそうなエッチングからやってみました。
エッチングというのは昔からある手法で、金属を化学薬品で腐食させるもので、マスキングによって腐食しない部分を作って食刻します。
要するに溶ける部分と溶けない部分の段差で模様をつけるということです。
もともとは銅版画の版を作るのに使われてきた手法で、その為かエッチング液は画材屋さんが扱ってることが多いです。
あとは表札に使われたり、電子基板に使われたり。
エッチング自体は知ってたものの、絵心がないので版画はしないし、自分のしたい事と結びついてませんでした。
何が出発点だったかは忘れましたが、いろいろ検索してるうちに辿り着いたんです。
その過程でわかったのが、先人達の試行錯誤とコンピュータ関連器機の発達と低価格化です。
その結果、昔の方法からは驚くほど進化し、簡単に出来るようになってました。
それで、何を作りたいかと言うと、金属製のプレート。
これまでグルーガンのグルーを使ったり、樹脂粘土を使ったりでプラスチックっぽいものは作ってみたんですが、ほんとは金属で作りたかったんです。
ブログなどを見てると銅や真鍮でやってる方が多いのですが、私は当然ステンレス。
2~3mmの厚さのものを考えてたんですが、近所のホームセンターには在庫がありませんでした。
なので、とりあえず練習ということで、半額になってた1mmを購入。
(30mm×20mmが1,316円の半額。以外に高い!)
まず必要なのがエッチング液。正式には腐食液(塩化第二鉄液)。
と廃液処理剤。
塩化第二鉄液自体は人体に無害ですが、エッチングに使うことで素材の金属と化学反応を起こして有害物質に変化します。
これは有害な産業廃棄物で、廃棄物処理法に沿って処理することが義務づけられていて、例え少量でも下水に流したり、地中に埋めたりした場合は違法行為となります。
実際は使用後のエッチング液は中和させた後、少量のコンクリートなどでペースト状にして不燃ゴミとして出します。
中和後は自治体で引き取ってくれるところもあるようなので、問合せ確認してみてください。
私も今回エッチングをするにあたって、一番調べたのが廃液の処理方法です。
この後処理が面倒だと思う方はエッチングには手を出さない方がいいでしょう。
でもそんなに難しいことはなく、廃液に重曹(炭酸水素ナトリウム)を混ぜれば中和出来ます。
エッチング液は廃液処理剤付で200cc/700円弱で売ってます。重曹は百均に置いてますね。
200ccで3回分くらいはあります。
3回と言っても、1回分を使用後に保存しとけば、腐食効果が落ちてくるまで何回か使えます。
この液だけでエッチングは出来るのですが、クエン酸を混ぜると腐食時間が短縮出来るという情報があったので、私はその方法ですることにしました。
次に必要なのがこのプリンター用紙。
この筋では定番の通称「葡萄」と呼ばれる魔法の用紙です。
富士フィルムの「画彩(かっさい) マット仕上げ」
この手法があったので、今回私もやってみようと思いました。
この用紙はインクジェット用ですが、インクジェットで印刷してはいけません。
ここが少しハードルの上がるところなんですが、レーザープリンタじゃないとダメなんです。
正確にはトナー式のプリンタが必要ということなんです。
レーザープリンタが数十万円してた時代には私には無理でしたが、今はモノクロレーザーなら1万円弱で買えますからね。
コピー機もトナーなので、用紙を持ち込み出来るなら、コンビニでも可能ですね。
私は手持ちのブラザーのモノクロレーザーを使いました。
その仕組みは、トナーを金属に転写して、それをマスキングに利用するというものです。
転写にはアイロンを使いますが、金属が薄くて小さいものならラミネーターを通すという方法もあります。
要するに熱転写するということですね。
私はアイロン式を採用したのですが、洋裁用のは使いたくなかったので写真のミニアイロンを購入。
(アマゾンで518円/送料込)
ここで一旦必要なものをリストします。
【絶対必要】
○素材(銅、真鍮、ステンレス、アルミなど)
○腐食液(塩化第二鉄液)/200cc/700円弱
○廃液処理剤,、中和剤/重曹(炭酸水素ナトリウム)/百均
○プリンター用紙/FUJIFILM 画彩 マット仕上げ/A4 420円/B5 270円
○レーザープリンター/コピー機
○アイロンかラミネーター
【あれば尚良い/あるもので代用】
○サンドペーパー #400~#1000/50円くらい
○クエン酸/百均
○クエン酸を薄める用の精製水(コンタクトレンズ用など)/100円
○腐食する際の容器、洗浄する際の容器/百均
○温度計
○使い捨て手袋/百均
○マスキング用ビニールテープ/百均
○マスキング補習用油性マーカー(マッキー)/百均
○ラッカー系溶剤/ラッカー系の薄め液(マニキュアの除光液でも可)
書き出してみると沢山ありますが、出来るだけあるもので代用してお金をかけないようにしたいですね。
注意するのは、当たり前ですが容器などは金属製だと腐食してしまうので、プラスチックや陶器を使いましょう。
ということで、まずはステンレス板を作るプレートの大きさに糸のこでカット。
ん?、ん‥、硬いぞ‥
無理‥。
5mmくらい切ったところで諦めました‥。
ホームセンターで1mm厚のステンレス板を触った時に嫌な予感はしたんです。
3mm厚で作るつもりが、1mmでも結構しっかりしてるぞ、と。
金切り刃をつけても、糸のこでのカットするのは上級者でないと無理なようです。
ということで、初心者は金切のこで。
金切のこを使っても、なかなか真っすぐ切るのは難しいです。
ここでホームセンターで買ったものをカットするのは一旦中断して、ネットでカット販売してるものを購入しました。
折角なのでと3mm厚のものを買ったのですが、やはり硬い。
ステンレスというのは、金属の中でも最も硬いものの一つです。
ステンレスの種類にもよりますが、鉄の2倍、チタンの1.5倍くらいは硬いんです。
カットする線を描いても、切り始めるのがまず難しい。
結局、ルーターでガイドとなる溝を彫ってから金切のこでカットしました。
力も必要なので、女性にはカットは厳しいかも知れません。
カットが終って、やっと材料が揃いました。
いよいよ作業開始なのですが、長くなってしまったので、実際の作業は次回に。