外来処方制限における微妙な向精神薬
先日アップした処方制限について、以下、再掲。
2014年10月1日から、精神科外来では、抗不安薬、眠剤は2剤まで、抗うつ剤及び抗精神病薬は3剤までに制限され、このルールに従わない場合、診療報酬のいくつかの項目で減点となる。
この際に、どこの範疇に入るのか医師でもわかりにくい薬物群がある。今回はこの話について。誰でもわかるような薬は取り上げない。
デパス
これは抗不安薬に入る。
この決定は「懸念の規模が大きい点」で重大である。その理由は、デパスは眠剤としても使われているため、不眠の酷い人ではデパスが眠剤として追加処方されやすくなるから。デパスのように半減期が短くクセのある向精神薬は、精神科患者さんに多く処方されるべきではない。
アタラックス及びアタラックスP
これは蕁麻疹などの皮膚疾患にも使われるが、抗不安薬とされている。なお、眠剤とはされていない。
ベンザリン
これは抗てんかん薬でもあるが、眠剤のカテゴリーに入った。
フェノバール
これもベンザリンと同様、抗てんかん薬だが眠剤とされている。
リボトリール
海外では抗不安作用として使われることもあるが、日本の今回の決定では、抗不安薬にも眠剤にも入っていない。(日本の適応が「てんかん」しかないからであろう。)
ロゼレム
しっかり眠剤に入っている。
ベゲタミンA及びB
これは添付文書上は鎮静的な抗精神病薬風に書かれているが、眠剤とされている。おそらく臨床的に強い眠剤として使われることが多いからであろう。
ドグマチール
抗精神病薬としてだけでなく、うつ状態の人にも処方されるが、定型抗精神病薬とされている。つまり、ドグマチールは今回の書類上、抗うつ剤ではない。
レスリン
当たり前と言えばそうだが、抗うつ剤とされている。
アポプロン(レセルピン)
臨床上、降圧剤として使われ、向精神薬としてはほとんど使われないが、今回は定型抗精神病薬とされている。このような薬はほぼ問題にならない。
ベタナミン(ペモリン)
ナルコレプシーなどにも使われるが、抗うつ剤とされた。
エビリファイ
エビリファイは、統合失調症、躁うつ病、うつ病に使えるオールマイティーな薬物である。ただし、うつ病については単剤処方できず、抗うつ剤と併用という制限がある。この薬物は順当に抗精神病薬とされている。
他、鎮静的な漢方薬、抑肝散はどこにも挙がっていない。また、精神科でよく処方される加味逍遙散、柴胡加竜骨牡蛎湯なども同様である。漢方は、向精神薬とはされていないのであった。
なお、抗うつ剤及び抗精神病は3剤までなので、外来患者に限ればあまり問題にはならないと思われる。問題なのは眠剤。例えばこのような処方はできない。
レンドルミン 0.25mg
ドラール 15mg
ロゼレム 4mg
自分の外来患者さんを調べたところ、抗精神病薬、抗うつ剤、抗不安薬で引っかかる人は皆無だった。
自分は、比較的、抗てんかん薬を処方する傾向があることと、どこにも属さない薬、例えば、カタプレス、インデラル、チラージンS、アムロジン、レニベースなどを投与しているからである。(過去ログ参照)。
しかし重い不眠の人には、眠剤が3剤を超える人もたまにおり、これはボチボチ整理しなくてはならない。
凄い多剤の人で、この人は間違いない!と思われる人は不思議にクリアしている。その理由だが、糖尿病の薬や降圧剤などの内科薬や漢方薬がが出ているためにそういう印象があるだけで、眠剤が少なかったら問題にならないことが多いのである。(正直、抗うつ剤や抗精神病薬を同時に4剤以上処方するのは難しい)
自分の場合、ソラナックス、デパス、ワイパックスを使わない傾向だったのが大きいと思った。
参考
外来における向精神薬投与制限
2014年10月1日から、精神科外来では、抗不安薬、眠剤は2剤まで、抗うつ剤及び抗精神病薬は3剤までに制限され、このルールに従わない場合、診療報酬のいくつかの項目で減点となる。
この際に、どこの範疇に入るのか医師でもわかりにくい薬物群がある。今回はこの話について。誰でもわかるような薬は取り上げない。
デパス
これは抗不安薬に入る。
この決定は「懸念の規模が大きい点」で重大である。その理由は、デパスは眠剤としても使われているため、不眠の酷い人ではデパスが眠剤として追加処方されやすくなるから。デパスのように半減期が短くクセのある向精神薬は、精神科患者さんに多く処方されるべきではない。
アタラックス及びアタラックスP
これは蕁麻疹などの皮膚疾患にも使われるが、抗不安薬とされている。なお、眠剤とはされていない。
ベンザリン
これは抗てんかん薬でもあるが、眠剤のカテゴリーに入った。
フェノバール
これもベンザリンと同様、抗てんかん薬だが眠剤とされている。
リボトリール
海外では抗不安作用として使われることもあるが、日本の今回の決定では、抗不安薬にも眠剤にも入っていない。(日本の適応が「てんかん」しかないからであろう。)
ロゼレム
しっかり眠剤に入っている。
ベゲタミンA及びB
これは添付文書上は鎮静的な抗精神病薬風に書かれているが、眠剤とされている。おそらく臨床的に強い眠剤として使われることが多いからであろう。
ドグマチール
抗精神病薬としてだけでなく、うつ状態の人にも処方されるが、定型抗精神病薬とされている。つまり、ドグマチールは今回の書類上、抗うつ剤ではない。
レスリン
当たり前と言えばそうだが、抗うつ剤とされている。
アポプロン(レセルピン)
臨床上、降圧剤として使われ、向精神薬としてはほとんど使われないが、今回は定型抗精神病薬とされている。このような薬はほぼ問題にならない。
ベタナミン(ペモリン)
ナルコレプシーなどにも使われるが、抗うつ剤とされた。
エビリファイ
エビリファイは、統合失調症、躁うつ病、うつ病に使えるオールマイティーな薬物である。ただし、うつ病については単剤処方できず、抗うつ剤と併用という制限がある。この薬物は順当に抗精神病薬とされている。
他、鎮静的な漢方薬、抑肝散はどこにも挙がっていない。また、精神科でよく処方される加味逍遙散、柴胡加竜骨牡蛎湯なども同様である。漢方は、向精神薬とはされていないのであった。
なお、抗うつ剤及び抗精神病は3剤までなので、外来患者に限ればあまり問題にはならないと思われる。問題なのは眠剤。例えばこのような処方はできない。
レンドルミン 0.25mg
ドラール 15mg
ロゼレム 4mg
自分の外来患者さんを調べたところ、抗精神病薬、抗うつ剤、抗不安薬で引っかかる人は皆無だった。
自分は、比較的、抗てんかん薬を処方する傾向があることと、どこにも属さない薬、例えば、カタプレス、インデラル、チラージンS、アムロジン、レニベースなどを投与しているからである。(過去ログ参照)。
しかし重い不眠の人には、眠剤が3剤を超える人もたまにおり、これはボチボチ整理しなくてはならない。
凄い多剤の人で、この人は間違いない!と思われる人は不思議にクリアしている。その理由だが、糖尿病の薬や降圧剤などの内科薬や漢方薬がが出ているためにそういう印象があるだけで、眠剤が少なかったら問題にならないことが多いのである。(正直、抗うつ剤や抗精神病薬を同時に4剤以上処方するのは難しい)
自分の場合、ソラナックス、デパス、ワイパックスを使わない傾向だったのが大きいと思った。
参考
外来における向精神薬投与制限