『道行きや』(伊藤比呂美著、2020年4月24日、新潮社刊)
(Amazonでレビューしたが、表示されないかもしれないな。酷評してあるので(笑))
伊藤比呂美さんというのは、私が二十代前半の頃、「現代詩手帖」の投稿欄で「活躍していた」(笑)頃、すぐあとの世代として登場した人であり、あれよあれよというまに、「有名人枠」になってしまった人で、もう私などの「ブログやってる一般人」が、「伊藤さ〜ん」などと気安く近づいていけば、サッと警戒心を抱かれてしまう人種の方です。なるほどエッセイは、「一般人が経験するような事柄」で成り立っていますが、夫がカリフォルニアに住んでいるガイジンで、自分は、数ヶ月に一度、日本の親の介護のために帰国して、その後、配偶者、ご両親お亡くなりのあとは、晴れて「早稲田大学で教える」(私立も国立も「有名人」は大好物(笑))ことになり、日本に帰られたのだそうである(という時期が、本エッセイの時期である)。よく考えてみれば、「普通の人」はまず経験できないことであり、そんなことを経験した人もあるには違いないほどの経験であり……ということである。まず、夫がガイジンで夫の国に住んでいる人々はたくさんいる。親の介護のため、頻繁に外国と母国を往復する人もたくさんいる。そして、「有名人」、これがそれほどたくさんはいない。私は、伊藤さんが、「詩人として」、「よいオッパイ……」などのエッセイ集によって、知らない間に、有名になるというより、「有名人枠」に入ってしまい、われわれ、一般庶民の手の届かない人になっていたことは、知っているようで知らなかったというのは、私は、彼女が有名になる前から、「手帖」の投稿者として、詩人として名前だけは知っていたのであり、その後、あれよあれよという間に、誰でもが名前を知っている人になってしまったのだが、その「度合い」が、おそらく私の想像を超えていた。おそらく、私なんかが想像するより、伊藤さんは、「ものすごく有名な人」なんだろう。で、アホな詩人や、一般人が、日常で、気軽に接していくと、伊藤さんは、警戒する──。
庶民とお友達のふりをして自分を売り込みたい有名人もいるだろうが、彼女は、そのあたりのメンタリティが弱い(笑)ので、心を許せない。許せるのは、おそらく、「ただの詩人時代の友だちの詩人」だけなのだろう。それが誰かは想像がつくが、私にはどーでもいいことである。
さて、つい先日、ツイッターで、「本書を行商している」てなツイートが流れてきた。私は伊藤さんをフォローしていないので、私がフォローしている誰かが、「リツイート」したのだろう。みればタイトルが、私の親しい友人で詩人の細田傳造氏の最新詩集『みちゆき』とそっくり(笑)だったので、「あ!」と思った。まー、「みちゆき」なんて、発明は近松門左衛門だろうが、いまどき、誰でも使う。
で、このAmazonで、買ってあげよーかなー?と思ったら「品切れ」であった(今はちがうようであるが)。それを、細田傳造氏に言うと、「自分がほかの店で買って、読んでから送ります」ということで、今送ってもらって読んだ。伊藤さんは、「鴎外がすきですきで」と言っているのをネットのどこかで目にしたので、そうか、それほどすきなら、と、期待していた。また、カリフォルニアにいるので、鴎外全集は、「青空文庫」で読んだとも、どこかから流れてきた。
私に言わせりゃ、それがほんとうなら、日本とカリフォルニアと、両方に、紙の全集を置いておけよ! である。ゆえに、こんな、二十年前と変わらないメンタリティを披露することしかできない。つまり、なんの深みも哲学もないのである。鴎外が「滲み出てさえいない」のである。本人は、「プロの売文業者」のつもりかもしれないが、こんな文章には、びた一文払いたくない。つまり、文学の香りさえしないのである。これは、婦人雑誌の「手記」の類いである。ただ、「有名であるから仕事がある」だけなのである。今後もあるでしょうよ。しかし、もう一般読者として、私は金を払いたくないね。こういう大名商売の文筆業者は、コロナ禍過ぎれば、淘汰されるのではないか? こんなエッセイ集読むくらいなら、まだ、細田傳造の『みちゆき』の方が、真情に溢れている。
なにが「道行きや!」だ! 近松門左衛門が化けて出るぞ〜!!
あ、私も、犬と暮らして17年ですが、こーゆー犬観は持ってません。
装丁は、「いかにもの」、菊地信義ですけどね(見ればすぐわかる「デザイン(笑))。
なんで、有名人って、自分よりさらにエライ有名人と会ったり、ハナシしたりしたことを書くのかな(笑)? 本人はその意識はなくても、一般人から見たら自慢しているように見える。こういう人々とは親しくつきあいますが、「ただの無名人」は近寄らないでください、とか(笑)。やはり、庶民のふりをしながら、「おまえらとは違うんだぞ!」と、どこか主張するのは、習性になっているのかな(笑)?
私は「有名人」を非難しているわけではなく、一流の有名人は、このかぎりではない、やはり金を払うだけの仕事はしている、と思う。こういう人種は、「有名人」を取り除いたら、あとには何も残らないということである。どうしてこうなったのかは、まー、本人、文筆家として、切磋琢磨してこなかったんでしょーねー。自分を甘やかして、世間や周囲に甘えてきたんでしょう。ここまできてしまったら、もう修正のしようはないです(合掌、道行きでもなんでも行ってください(笑))。
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追記:Amazonで扱ってるはいいが、prime扱いではないので、本の値段、1980円にプラス配送料、1120円ってどうよ?(笑)