私たちの仲間、全経済産業省労働組合副委員長の飯塚盛康さんが、政府・与党が明日にも衆議院で強行採決しようとしている働き方改革法案(過労死促進となる高度プロフェッショナル制度を含む)と、過労死・過労自死に直面している家族の問題に関わって書いてくれましたので紹介します。
政府・与党が過労死を促進する高度プロフェッショナル制度を含む働き方改革法案を衆議院で強行採決しようとするなか、過労死家族の訴えを聞いてください。
今現在、家族や自分自身が過労死の問題に直面していない皆さんでも、高度プロフェッショナル制度ができてしまうと、過労死の危険性は確実に高まってしまいます。「KAROSHI」を国際語にしてしまった日本において、それをなくしていくどころか、安倍政権の下でさらに過労死を増やし、過労死遺族を増やそうとしているのです。
過労死の問題に今は直面していない皆さんもぜひ想像する力をはたらかせてください。
家族が過労死・過労自死した遺族は以下のような思いをします。
(1)突然、家族が過労死・過労自死した。
(2)長時間労働をしていたが、それが原因だろうかと思う。
(3)会社を辞めてもいいと言えなかった自分を責め、うつ状態になる。
(4)うつ状態から、少し抜け出ると家族がどんな働き方をしていたかを知りたくなる。
(5)会社の人に聞くと、残業が多かった、日勤や夜勤などの不規則勤務だった、パワハラ、セクハラがあったなどと言われる。
(6)労災申請をすれば、詳細がわかるのではないかと思い、会社に労災申請を申し入れる。
(7)会社は残業も多くない、パワハラもないといい労災申請を拒否する。←多くの人がここで諦める。
(8)仕方がないので専門家の力を借りて労災申請をする。
(9)会社は「残業は多かったが、仕事はしていなかった」「裁量労働あるいは管理職だから働く時間は自分で決められたので自分で勝手に長時間働いていた」「パワハラはなかった。指導の範囲だ」と主張する。
(10)労災認定されず。←ここでも多くの人が諦める。
(11)行政裁判では会社側は「あることないこと」ではなく「ないことないこと」(例:残業時間中に3時間食事をしていた。借金や失恋など全く別の出来事を苦にして自死したのでないか。親の教育が悪いから精神的に弱かったのだ)を主張する。
このように、家族を過労死・過労自死で奪われた遺族は大変な精神的苦痛を味わいます。
遺族が妻と子どものケースになると、母親がこのような精神的苦痛を味わえば、当然のように子どもにも精神的な影響がさまざまな形で出ます。
過労死・過労自死を引き起こすということは、本人だけでなく家族まで不幸の連鎖が続くということです。
高度プロフェッショナル制度が導入されれば、このような思いをする人が「確実」に増えると同時に、今より一層深刻な事態になります。
今現在も過労死・過労自死における労災認定は困難ですが、労働時間規制から除外される高度プロフェッショナル制度においては、そもそも企業側に労働時間の把握義務がなくなるので、過労死しても過労死の労災認定が今よりさらに困難になります。そうすると、過労死認定がされず、労災も受けられず、泣き寝入りし、路頭に迷う遺族が今よりさらに増えることになります。
高度プロフェッショナル制度になれば、実際に過労死が必ず増えるのに、過労死しても過労死と認定されることが今より一層困難になるので、遺族にとっては地獄のような生活になります。高度プロフェッショナル制度は家族の命を奪われた遺族にとっても深刻なダメージを与えるものなのです。
政治とは「国民を幸福にすることであり、最低限不幸にしないこと」ではないでしょうか。
今の政治はその逆のことをしています。
昨夜(5月22日)日比谷野外音楽堂で行われた高度プロフェッショナル制度の廃案を求める集会での「全国過労死を考える家族の会」代表世話人・寺西笑子さんの訴えと、「全国過労死を考える家族の会」のサイトに掲載されている、父親を過労自殺でなくしたマーくん(当時小学校1年生)が書いた詩「ぼくの夢」を最後に紹介します。みなさん、想像力をはたらかせてください。高度プロフェッショナル制度の廃案を求める署名にぜひご協力ください。【→★#高度プロフェッショナル制度 は現代の奴隷制!今すぐ廃案に!】
▼「全国過労死を考える家族の会」代表世話人・寺西笑子さんの訴え
働く人が懸命の末に命まで奪われていいはずがありません。国は命を守るための法律を作るべきなのに、逆に命を奪う法律=高度プロフェッショナル制度を作ろうとしています。強行採決という暴挙は許してはなりません。明日も官邸前の座り込みを実行します。過労死のない社会をともに築くよう、皆さん応援をお願いします。(写真は集会で訴える寺西笑子さんら「全国過労死を考える家族の会」)