黒田実前交野市長は、交野市役所及び青年の家を集約化・複合化していきいきランド敷地内に移転すべく、交野市役所本館の耐震改修やゆうゆうセンターへの移転といった他の可能性を排除して進めました。その過程にて、いきいきランド敷地内への移転費用が暴騰し、財政運営基本方針上35億円であるにもかかわらず、交野市民1人あたり13万円以上にあたる約100億円もの巨額の税金を投じざるを得ない計画であることが判明しました。

※雨水貯留施設と周辺整備は独自試算

 なお、いきいきランドがJR河内磐船駅、京阪河内森駅、京阪交野市駅からは徒歩20分圏内であるため問題ないと主張しましたが、JR学研都市線の快速停車駅である河内磐船駅・星田駅、京阪交野線の郡津駅・交野市駅・河内森駅・私市駅、という6つの鉄道駅がありながら、あえて徒歩20分圏内の場所に、交野市役所を移転するというのは市民無視と言わざるをえません。

 その後、交野第一中学校区における施設一体型小中一貫校の費用も暴騰したため、黒田実前交野市長の判断で再考に至りました。この再考により、事業費の約22.5%の地方交付税交付金がもらえる令和4年度までの公共施設等適正管理推進事業債の市町村役場緊急保全事業が利用できなくなりました。

 交野市は、平成26年度に1684.4平米の交野市役所別館の耐震工事と新別館の建設工事を実施しましたが、1億3985万3700円かかりました。交野市役所別館での耐震工事費用から、平米単価を算出し、交野市役所本館の耐震工事の費用を算出すると、参考価格ではありますが2億5700万円しかかかりません。交野市役所移転ではなく、交野市役所本館の耐震工事を実施すべきです。

 令和3年12月1日、交野市は、「補強を行うことにより、耐震目標値を満足する建物となる」と明記された交野市役所本館の「耐震診断報告書」を交野市議会総務文教常任委員会に示しました。これまで、交野市役所本館の耐震改修の可能性を排除して進めて参りましたがいったい何だったのでしょうか。

 

 令和4年3月24日、交野市役所で、新庁舎整備についての交野市議会議員と若手職員との意見交換会が行われました。その際に出た特筆すべき意見は次のとおりです。

 

①駅徒歩5分以内(いきいきランドなら20分)

 職員採用に有利だから

 交野市は庁舎が分散しており、駅から遠いと市民に迷惑がかかる

②保育園が近くにある(いきいきランドにない)

③コンビニ等が近くにある(いきいきランドにない)

 他に、収納スペース確保、職員用の洗面所の確保、といった意見が出ましたが、移転新築であっても、現在地での改修であっても解決できます。

 黒田実交野市長は、約100億かかるいきいきランドへの交野市役所移転を目指していましたが、いきいきランドは①〜③の条件を満たしません。逆に、今の交野市役所は、①〜③の全てを満たしています。なぜならば、交野市駅から近く、となりが保育園で、斜め向かいにセブンイレブンがあるからです。また、黒田実前交野市長は、若手職員からもダメ出しを食らった格好です。

 令和4年4月28日、交野市は、交野市議会総務文教常任委員会に、交野市役所と青年の家との集約化・複合化を諦めて、青年の家を改修し、交野市役所をいきいきランド敷地内に移転する案を示しました。

 それでも85億9600万円かかります。市民部をゆうゆうセンターに移転することも含めると98億900万円かかります。約100億円が85億9600万円ないしは98億900万円になったので、コスト削減したのだとの自己主張をしたいのでしょうが、いずれにせよ、今の交野市に払える金額ではありません。なぜならば、令和3年3月に改訂された財政運営基本方針ですら、「新庁舎更新」50億円としているからです。交野市役所職員の大幅給与カットや市民サービスの大規模カットでもやるつもりでしょうか。

 令和4年9月4日、「市役所は移転せず耐震化」を公約とする私が当選し、交野市民の皆様は、「市役所は移転せず耐震化」が民意であると示しました。なお、私の公約の「市役所は移転せず耐震化」の「耐震化」の根拠は、黒田実前交野市長が提示した「耐震診断報告書」です。交野市役所へお越しの交野市民の皆様や交野市役所職員等の安全性の確保が喫緊の課題です。耐震工事に係る費用を削減するため、耐震工事に伴う仮設庁舎機能はできるだけ既存の建物を有効活用します。あわせて、屋上防水、外壁補修、空調機器の更新といった、ある一定の長寿命化改修等も視野に入れた整備も実施します。それらを実施しても、総額約10億円での事業実施を目指しています。ライフサイクルコストについても、現在建替すると、約80年後には利用不可能となり、残存価値は0億円になります。一方で、現在耐震化をすることにより、約20年は交野市役所を継続利用できるため、約80年後でも築60年のため、残存価値が25億円残ります。結果的に、ライフサイクルコストは縮減できます。また、約20年後の建替は、その時点での人口や社会情勢を考慮し、費用の縮減を目指すべきと考えます。なお、黒田実前交野市長は、残存価値を考慮せずに建替と長寿命化は費用的にほとんど変わらないとの持論を展開し、建替を主張しておりました。既存の建物を長く使い、建替時にその規模を見直して建替えた方が安く済むというのは、普通に考えたら理解できると思いますが・・・また、現在の交野市役所だと年間約1000万円の借地料がかかりますが、20年借りても、2億円に過ぎません。100億円規模の市役所移転と桁が全く違いますので、比較の対象にすらならないです。借地料を含めたトータルのコストとして判断すべきです。

加えて、過去から借地と交野市所有地との土地境界が入組んでおり、借地だけ返還することが困難です。8年も交野市長をしていれば、いかに難しい問題かわかるはずですが・・・そのため、私は、買取を含めた対策を進めています。

 黒田実前交野市長は、令和5年8月ごろにビラを配布し、「本庁舎・別館・青年の家・ゆうゆうセンターと4施設、目的ごとに違う庁舎に行く必要があり、ワンストップサービスになっていない」と指摘しましたが、いきいきランドへの市役所移転に失敗したのは黒田実前交野市長です。また、いきいきランドへの市役所移転を仮に実現したとしても、ゆうゆうセンターはそのままであり、ワンストップサービスにはなりません。なお、ゆうゆうセンターに市役所を移転するにも、現在は市街化調整区域のため、市役所移転は現時点で不可能です。8年も交野市長でありながらできもしなかったのに、更には、市役所移転を実現してもワンストップにならないのにワンストップを問題提起するとは何事でしょうか。


黒田実前交野市長は、今の交野市役所では、「災害に対応できない」と主張します。8年も交野市長でありながら、交野市役所を移転することも、耐震工事をすることもできなかったのは黒田実前交野市長です。私は、耐震化を実施するとともに、いきいきランドに災害対策本部の代替機能を設置し、私部公園等に防災倉庫を整備して、非常用物資を備蓄します。また、小中学校体育館へのエアコン整備や前述の土地開発公社の土地での防災公園整備で分散型の災害対策拠点化を実施します。