備後路に春の訪れを告げるまつり、三原市の「神明さん」を先週末訪れました。三原は、若かりし父と母が出会い結ばれ、私が生まれて幼稚園年中組まで過ごした古里です。
半世紀前の微かな思い出を辿り、小雨降る東町・館町界隈を家内と歩きました。日本一の大だるま、だるま市、だるま供養塔、多くの露店。幼いころに感じたまつりのざわめきと太鼓の音がよみがえってきます。
本町・香積寺の下に、六畳二間の生家は昔の姿で建っていました。黄金バットごっこに興じた防火水槽もそのまま。でも随分と小さくなっていました。思い切って隣の大家さんにお声を掛けたところ、昨日のことのようによく覚えていらっしゃいました。
亡き母に手を引かれた銭湯が建っていた辺りに佇むこと暫し。すっかり声が出にくくなった老父の背をわが手で摩るうち、込み上げてくる懐かしさに胸がつまり、どうにもならないです。
駅前では、奇しくも、50年後の三原へのメッセージを子どもたちがタイムカプセルに納める式典が行われていました。