先日,あるご依頼人から「二瓶さんも,協会に在籍していたんですよね」という質問を受けた。だいぶ前であるが、マスコミに取り上げられた際にも何とか協会所属の鑑定人という肩書が付いていた。おそらく、とても聞こえが良いし箔がつくのであろう。

 

まさか、この業界の協会が「会員の協力によって筆跡鑑定に学術,技術,事業の発展を図るとともに筆跡鑑定を通じて広く社会に貢献することを目的とする」というような立派な志しがあると思っていないだろうか。

 

そう思っているのであれば,それは大きな勘違いであると申し上げる。〇〇協会や一般社団法人〇〇協会という名前など金さえ払えば簡単に付けられるのである(単なる協会は自由に付けられる)。

そもそも,筆跡鑑定人として裁判所に鑑定書を提出している者は現在10人程度である。当職は年間30件ほどの鑑定書などの裁判資料を提出しているが,反論や意見で対峙した鑑定人はその数にも満たない。

 

私も一時,某協会に在籍していたことがあるが在籍中に気が付いたことがある。この業界は鑑定依頼が山ほどある業種ではなく,どの鑑定人も依頼が欲しくて仕方がないといった状況だ。協会に複数の鑑定人が集まって勉強会を開いたとしても,個人のノウハウは絶対に公開しない。それはそうであろう。そこに集まった鑑定人はすべて競合相手なのだから,自分が苦労して得たノウハウをやすやすと相手に教えるバカはいない。自分が不利な立場になるからである。

 

大体,このような鑑定人をすべてひっくるめても、10名程度なのに,社会に貢献するための協会などあるはずもない。

 

そんなことよりも寧ろ「協会」という,さも社会貢献をする団体(実態は僅か2~3名程度の鑑定人の集まり)と見せかける名称を平気で使うことや,そこから認定された鑑定人は優れているであろうと錯覚させる可能性が大きいと知っていながら、その名称(指定鑑定人とか認定鑑定人など)を堂々と宣伝文句に謳っていること自体,いかがなものかと思う次第である。自作自演に限りなく近いのである。


例えば、当職が「全国筆跡鑑定協会 協会会長 協会認定名誉指定筆跡鑑定人 二瓶 淳一」としたらいかがであろうか?箔がつき、依頼してみようと思うかもしれない(笑)。本来は、肩書きなんかなんの意味もないのだ。必要なのは実力のみである。


また、トラスト筆跡鑑定研究所から名称変更し、全国筆跡鑑定協会とした方がなんとなく信頼がありそうなのではないのか。こんなものなのだ。

 

受け取り方は様々であると思うが,当職は依頼人を誤認させ、あたかも信頼できるような「〇〇協会」という名称を使用しているとしか思えないのである。皆さんは、どう思われるのであろうか。もう一度言おう。

社会貢献などの活動などしておらず、集客するためだけの仮面と言った方がわかりやすいのではなかろうか。反論がある協会の方はご連絡されたい。徹底的に戦う所存である。


 

何度も言うが、この業界は社会貢献をするどころか依頼人に事実誤認させるような腐りきった体質であるというのが私の感想である。悪知恵を働かせる暇があるのなら、もっと鑑定の技術に専念されたほうが良いのではと思う次第である。


ちなみに、当研究所の名称を協会という名に変更する気はさらさらありません。😅