プロフィール
- プロフィール|ピグの部屋
- ニックネーム:日本ファミリーオフィス協会代表理事
- 性別:男性
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サザビーズジャパンの石坂さんが最近、講談社から「サザビーズ」という本をだした。石坂さんは、当協会の2年前の「設立記念講演会」の基調講演をお願いした方だ。経団連の第2代会長の石坂泰三さんの孫だ。私は最初、軽井沢の湯河さん(当協会理事)主催のパーティでお会いした。おっとりとした感じだが、時々ずしりとしたことを言うのは血筋だろう。
石坂泰三さんは最初に「財界総理」と言われた人だ。当時の水田大蔵大臣とあることを交渉していて埒があかなったときに「もう君には頼まない」と怒鳴りつけた話は、当時の政界と財界の力関係を示す例だ。
世の中は狭いもので、石坂さんはエールクラブ前会長の伊藤公一さんと家族ぐるみの付き合いだという。それもそのはずで、この本にもかかれているように、石坂さんのお母さんが昔エール大学に留学されたのだ。伊藤家と石坂家という財界の名家はエール大学という糸でつながっていたのだ。
石坂さんの本を読んで「おや」と思ったのは、アメリカ人は美術品所持を喧伝する(美術館にいくと「○○氏寄贈」という絵が非常に多い)のに対し、日本人は決して言わないというくだりだ。確かに、以前、伊藤公一さんと雑談しているときに、「僕はルノワールの絵が好きだが、伊藤さんだったらそういう絵もお持ちでしょう」と聞いたところ、伊藤氏は「ノーコメント」ということだった。そして、「仮に持っていたとしてもそんなこと言わないよ」とのたまわったのだった。
あまりに婉曲な言い方をするものだと、不思議に思ったが、これについて石坂さんは本の中で、「日本人が美術品を持っていることを言わないのは嫉妬を受けたくないからだ」と喝破している。そうだとすれば、日本では今後も美術品を持つ文化は育たないことになる。またホームパーティの欠如も美術品への興味をそいでいるという。親しい人(嫉妬を受けない人)を招いて、名画を前に講釈をたれるなど、誰でもしてみたいことの一つだろう。
日本の超富裕層が欧米のように、名画を家にかざり来客に説明するような時代が早く来てほしいものだ。