一般社団法人Colabo
代表理事 仁藤夢乃様
令和2年4月24日付抗議文と要望書への回答書
はじめに
令和2年4月22日17時より18時までの間、新宿区役所前にて、若年少女を支援する貴会の活動を視察させていただき、心より感謝申し上げます。そして、23日未明の仁藤代表理事の一連のツイートによる抗議、24日付抗議文と要望書をいただく事態になりましたことを深くお詫び申し上げます。私たち自由民主党ハウジングファースト勉強会として、事実関係や当時の私たちの思いを改めて調査し、24日付抗議文と要望書に対する回答書を作成いたしました。改めて貴会の皆様を傷つけてしまいましたこと、お詫び申し上げますとともに、いただいたご指摘を真摯に受け止め、今後の活動に活かしてまいる所存です。貴会の今後のご活躍をお祈り申し上げますとともに、私たちの政策へのご指導を賜りますようお願い申し上げます。
1 新型コロナウイルス禍による皺寄せが路上生活者やネットカフェ難民や家に居られず繁華街を出歩く若年少女を直撃する事は想像に難くなく、なんとかすべきだ、といち早く4月初めに阿部俊子議員が勉強会の結成に動きました。そして、困難に直面している人に、まず安全な住まいを用意する政策を立案するための勉強会、自由民主党ハウジングファースト勉強会が設立されました。
会の目的は「現場の声と空気を国政に届ける事、団体の活動への支援拡充の為に何ができるのか現場で考える事」です。これまでに勉強会は、NPO法人による炊き出しや、アウトリーチのための夜回り、自立生活支援相談会などの現場を視察してきました。それらの視察を通じて、助けを求める若年女性が増えているという声を聞いておりました。
2 そこで、阿部俊子議員から貴会の稲葉隆久副代表に「お世話になります。明日、22日、国会議員何人かと視察に行くことは可能でしょうか?」と問い合わせたところ(17時31分)、稲葉副代表から「明日は17時に新宿区役所前集合でお願いします。17時から準備・設営(テントを立てたりします)、18時からカフェオープンです。」、「設営後、女の子達が来るまでであれば、バスの中を観ていただきながら簡単に概要を説明できます。」との回答がありました(21時12分と同17分)。SMSのほかに電話でも事務的なやり取りをさせていただきました。
また、阿部議員が電話で稲葉副代表に「何人くらいよろしいでしょうか」、「馳浩議員はまだ決定ではありませんが、私と鈴木隼人議員、井出庸生議員と朝日健太郎議員は伺うことにしています」とお伝えしたところ、稲葉副代表から「5名くらいでしたら」との回答がありました。なお、21時20分SMSで稲葉副代表から阿部議員に「明日、いらっしゃるメンバーがわかりましたら、〇〇(メールアドレス)にご連絡ください。よろしくお願いします!」と連絡を頂いていました。4月22日朝、各議員事務所に「新宿で若年少女の寄り添い支援をしている団体があり、その視察と夜カフェ設営のお手伝いをしに行きませんか」との案内が届けられました。バタバタの中、阿部議員の事務所内での確認作業の不備により、視察に参加する国会議員の名前をお伝えせずに視察に伺うこととなってしまいました。
3 22日は、国会議員5名(衆議院議員馳浩、同阿部俊子、同鈴木隼人、同井出庸生、参議院議員朝日健太郎)で伺いました(馳議員と鈴木議員の秘書が各1名同行しました)。そして、当日の会場が新宿区役所であったことから、新宿区を地元に活動している自民党の新宿区議会議員にも、貴会へ視察に伺うことを一言お伝えしておく必要があると考え、同日、朝日健太郎議員が新宿区議にお伝えしたところ、3名の区議が視察参加ではなく「区役所敷地内に来庁する国会視察団への応対」の目的で参集しました(その後、設営が始まったため、「それならばお手伝いを」との思いから残ることになりました)。貴会のご都合も十分確認せずご迷惑をおかけしました。これまでの報道等では、視察議員は15名とされていますが、私たちの調査の結果、10人であることをお伝えし、深くお詫び申し上げます。
4 稲葉副代表から「明日は17時に新宿区役所前集合でお願いします。17時から準備・設営(テントを立てたりします)、18時からカフェオープンです。」とご連絡を受けていました(21日21時12分)。そこで、22日17時の集合時間までには阿部議員、鈴木議員と井出議員は現場に到着していました。
17時、スタッフの方の「集まってください」との指示で、スタッフやボランティアの人たちと一緒に、私たちも輪に加わらせてもらいました。その直後に馳議員も到着し、輪に加わりました。輪を作った人たちが自己紹介を始め、私たち国会議員も自己紹介をしました。新宿区議を迎えに行った朝日議員も少し遅れて輪に参加し、自己紹介をしました。併せて、朝日議員から同行した新宿区議3名についてもその場で紹介しました。区議3名は円陣終了した後に、別途貴会代表と名刺交換をし、挨拶をしました。国会議員は、過去に貴会代表と面識がある馳議員を除いて、貴会代表他と名刺交換させていただきました。
このように、国会議員と区議については、自己紹介や名刺交換をしており、貴会の趣旨に反する行動はしていないと思います。なお、随行した秘書については、そのうち1名は会が始まる前に貴会代表に名刺を渡してご挨拶をさせていただきました。もう1名は議員の車の運転手として同行したため、車を停めた上で現地に到着しましたが、その時には既に設営作業が始まっており、名刺交換等ご挨拶のタイミングを逸しました。
5 円陣解散後、会場の準備・設営が始まりました。勉強会メンバーは、スタッフやボランティアの皆さんと少しでも心を寄せ合えたらとの思いで、(これがかえって貴会にとっては逆効果であるとは知らずに)一所懸命にお手伝いをしました。まずはバスからの荷物出しをしました。荷物の置き場所については、スタッフの指示に従いました。雨の可能性があり、区役所の屋根の下に多くの荷物を運びました。荷出しが終わってテント設営を始めました。テントの組み立て、テントの横の幕張り、テント内の電球取り付け、テントが仕上がったらテーブル等の搬入。テーブルの消毒拭き、テーブルの上に必要な小物を配置。合わせてテント外にも、テーブル、食事等を置きました。設営の最終ごろ、道路沿いに、「10代女子限定」などの看板、A4ぐらいのラミネートされた掲示物を設置し、完了しました。全力で手伝っていたこともあり、時折大きな声を掛け合ったりすることもありました。また、効率よく運搬するために馳議員から他の議員や秘書に指示をしたりすることもありました。さらに、テントなどの重量物は力のある男性議員で率先して運搬しました。17時30分ころには設営が終了し、貴会関係者から「こんなに早く終わったの初めて」「今までで最速」等の声が聞こえ、手伝った甲斐があったと思っていました。
6 しかし、今回頂いた「抗議文と要望書」を読ませていただいて、このような善意のお手伝いだと思っていた行動が、当方の思い違いであるとのご指摘を受けました。
「普段は、荷物運びや設営も、10代のメンバーを含む女性たちが中心に行っているのに、馳議員は『女の子だから』と、テントなどの少し重さのある荷物は彼女たちに渡さず、若手議員や秘書たちに運ばせました。その対応から、女性蔑視を感じ、少女たちは大変傷つきました。」と書かれていました。また、10代のメンバーは「年配の男性国会議員が突然大声で指示を出し、若手の議員や秘書がそれに従うという権威的な雰囲気に『ColaboがColaboじゃなくなっちゃうと思った』、『これまで自分たちがつくってきたもの、大切にしてきたものが一瞬で壊されて、奪われた気持ちだった』、『女性を力のない存在として、男性に守ってもらうべき存在と思っているのだと感じた。そういう人がバスカフェに来たことがすごく怖かった』」とお話をされたと書かれたのは、勉強会メンバー自身大変ショックでした。
勉強会メンバーが、少しでもみなさんのお力になればとの思いでお手伝いをした気持ちに嘘や偽りありません。「新宿で若年少女の寄り添い支援をしている団体があり、その視察と夜カフェ設営のお手伝いをしよう」という視察の趣旨に、われわれは皆自分から参加し、設営のお手伝いをしたのであり、SNSで「ボランティアに参加した」旨の表現をしていることについては、その心情を是非ご理解いただければと思います。
ただ、「大人の上から目線を敏感に感じ取る少女が多く」、「大人が提供する場に見えない・しないためのさまざまな工夫」をしているという貴会の活動の趣旨を十分把握できていませんでした。少しでもお役に立とうという善意で元気よくお手伝いをしたのが、かえってスーツを着た多数の男性の「権威をふりかざした威圧的態度、女性蔑視」に映ってしまったとすれば、勉強会メンバーの本意ではなく、ご不快な思いを持たれた方がいるとしたら、我々の不徳の致すところであり心よりお詫び申し上げます。
7 バスからの資材下ろしや、その資材を使ってのテント設営など、狭い空間で行き来しており、馳議員も忙しく設営準備に奔走していました。移動の際に「ちょっと退いて」と言いながら少女の後ろを通ろうとしたときに、腰の左右に手を触れたとのご指摘については全く意識に残っていないとのことでした。新型コロナウイルス等で居場所をなくした人たちへ支援策を講じるために貴会の思いを感じ取ろうと設営をお手伝いする中で、セクハラ被害を受けたとの相談がなされたこと自体、大変申し訳ないことであり、心より深くお詫び申し上げます。
8 17時30分過ぎに設営が完了すると、再び輪になって会のことについて説明いただきました。
「支援を求めてきた女の子が遠慮しなくても良いように、食べ物をたくさん並べて、好きなものを好きな量取ってもらうようにしている」、「かつては、メンバーが女の子に向き合って食事を取り分ける形をとっていたが、そうすると女の子が何も言えなく受け身になってしまうので、好きなものを好きなだけ取れる形に変えた」、「女の子が好きなようにできる環境を作ることが大事」、「ポイントカードやミラーに連絡先を付して渡す。そうすると女の子が受け取ってくれる」、「テントの中は相談の場ではなく、時間をかけて打ち解けてきたら、相談してくる女の子も出てくる」、「バスの中には、衣類、コスメ、コンドーム、生理用品などを置いていて、女の子に持って帰ってもらう」などの説明がありました。
その後、質疑応答になり、「繰り返しくる子は多い。打ち解けるのに時間がかかる」、「7回ヒッチハイクをしてたどり着いたという子がいる」、「地方の子は新宿や渋谷に行けば、紛れ込むことができるし、仕事もなんとかなると思ってくる子が多い」などの回答がありました。
丁寧に要支援の女の子に寄り添い、女の子の自由を尊重して、ようやく女の子が安心してくれる、少しずつ打ち解けてくれるという、貴会の要支援者に寄り添う姿勢が印象に残りました。
9 ハウジングファースト政策推進のための視察活動であることから、議員や秘書が活動場面を写真撮影しました。当日は取材関係者も撮影していることから、私たちも活動の様子を撮影しました。
ただ、プライバシーには最大限の配慮をし、説明者の方などに撮影の可否を尋ね撮影することも心掛けました。たとえば、バスの中はもちろんのこと、女の子たちに配布するミラー型のカードを見せていただいたときには、これを撮影することで活動に支障が出ないのかを考慮し、説明者の方から撮影の許可をもらったうえで撮影するなどしました。
各議員のSNSに掲載された写真に少女らの顔など属性が判明するような写真はないことは、すでに貴会でご確認いただいているようですが、それでも「10代のメンバーは、自分の写っている写真が晒されるのではないかと今も強い不安を感じ、怯えている」とのことですので、勉強会メンバーで撮影したデータは理由の如何を問わずすべて消去しました。
10 普段から、またこのコロナ禍の時にも、さまざまな事情で家に居られず繁華街を出歩く少女の為に寄り添い支援をしている団体の皆さんには心から敬意を表します。そういう若年少女たちに寄り添い支援をする事はなかなか行政ではできない事、手の届かない事であり、性暴力や性犯罪の未然防止にも繋がるものであります。貴会のメンバーには当事者だった女性もおり、当事者だからこそ、できる支援活動を私たち国会議員も含め、社会全体でサポートすることが必要です。
4月に新型コロナウイルスに関連する住居等喪失者への支援のために当勉強会を立ち上げ、民間団体が活動される現場を精力的に視察してきました。
そして、近日中に、それらの視察した成果を踏まえ、新型コロナウイルス感染症緊急事態宣言により、インターネットカフェや漫画喫茶などの休業で長期利用者が路上生活を強いられるおそれや、失業や収入減少によって住居を失ってしまうことなどが危惧されることに対して、行政が至急講じるべき措置を提言する予定です。
視察を受け入れていただいたことに重ねて御礼申し上げます。今回のご指摘を重く受け止めるとともに、若年少女の置かれている立場に強く想いを致し、今後の政策実現に反映すべく取り組んで参ります。
11 今回の視察は自由民主党ハウジングファースト勉強会のメンバーである国会議員が伺ったものであり、新宿区議会議員3名は視察団への応対、国会議員秘書2名は国会議員への随行であったため、抗議文と要望書へのお返事は本回答にて一括させていただきます。
以上
令和2年4月28日
自由民主党ハウジングファースト勉強会
会 長 衆議院議員 馳 浩
衆議院議員 阿部 俊子
衆議院議員 鈴木 隼人
衆議院議員 井出 庸生
参議院議員 朝日健太郎