小島麻由美「セシル3部作」 | ぐれむりんの気ままなブログ

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勝手気ままな★備忘録★レビュー

なぜ、こんな天才を今まで聴かずにいたのか……

僕が初めて小島麻由美さんのCDを聴いて思った感想だよ。

1995年にデビューしたシンガー・ソングライターだね。


デビュー20周年で、今年(2014年)本格的に活動再開しました。

※子どもが大きくなり(2歳だっけ?)音楽活動を行う余裕ができてきたみたい。


とにかくね、唯一無二って言っていいくらいの個性的な楽曲を演ってるアーティストでね。

ジャンルは……

昭和歌謡+ジャズ+ブルース+スウィング+スキャット

ね、これだけで「なんだそれ???」でしょ。


椎名林檎の楽曲からロックなテイストとギターを取ったら似たような感じになるかな?

まあ、実際は、椎名林檎が小島麻由美の影響を受けてるって、そっちだけどね。

小島麻由美さんの「私の誕生日(1996年発売)」のアレンジ&メロディー、椎名林檎のカルキ・ザーメン・クリノハナで完全にパクっ…いや、影響された曲もあるしね。




1995年に発売された彼女のファースト・アルバム

セシルのブルース

昭和歌謡を思わせるレトロな音とメロディにジャズやブルースを組み合わせた摩訶不思議なポップ・アルバム。

まるで昭和40年代の白黒映像の世界に迷い込んだような気分になりつつ、歌詞のセンスやジャズ&ブルースの感覚が現代風なお洒落さを出してるんだよ。


あとね、彼女がスゴイなって思うのは…

その歌唱方法なんだよ。

とにかく、様々な唄い方(表現方法)をするんだよ。


例えば、昭和歌謡チックにちょっと鼻にかかった感情の起伏の少ない昭和歌唱。

まるで、みんなのうたのように可愛らしいヘタウマ歌唱。

ガーリー全開のキュート歌唱。

ジャジーでアダルトなセクシー歌唱。


しかも作詞作曲は基本的に全て自分で手がけてて、アレンジまでやってるからね。




2枚目の作品

二十歳の恋も前回から同様の路線。

ポップ全開だったデビュー作に比べると、ちょっとムーディーな印象がある作品だよ。

それにしても、小島麻由美さんの作品は……聴いてると不安になってくる。

なんだろう…この気持ち。

歌詞に登場する主人公の行く先を思ってかな?


例えば「真夏の海」ね。

昭和レトロなメロディ&サウンドにのせて、彼女と彼氏が海に行って楽しく遊んで、また来年もこれからも何度も一緒に来ようねって唄ってるのに……。

聴き終わった後の感想は(僕個人の感想)、「そんな楽しい頃があったなぁ…」って夏の終わりに独り寂しく窓の外を眺める大人の女性の後ろ姿……。


楽しい曲なのに切なくなる……嗚呼、昭和歌謡?




セシル3部作って言われる初期の3枚の最後。

1998年のさよならセシル

初期の名盤って言われる作品だよ。


ちなみにジャケットのイラストは3作品とも小島麻由美さんが描いたものだって。


相変わらずの昭和歌謡+ジャズ+ブルース全開だね。


ここまで3枚、とにかく…捨て曲が無いんだよ。

シングル楽曲はもちろんクオリティが高いし(ポップで分かりやすい)、アルバム収録曲はジャズやブルースのエッセンスが光ってて面白いし。


iTunesで小島麻由美さんの好きな曲だけ集めてプレイリスト作ろうと思ったら、外す曲が少なすぎて苦労するんだよ。

唯一外せるのがインストやスキャットの曲くらいしかなくって…。


まあ、彼女のアルバムはクオリティが高い反面、収録時間が短いんだけどね。

アルバム1枚30~40分って収録時間。

ここらへんも昭和歌謡だね。

※昭和の時代(レコード主流の時代)は収録時間が46分を超える作品は珍しかったって思うよ。CDが登場して70分近い収録作品はレコード2枚組とかだしね。


この後、セシル3部作以降の彼女の作品はどんどん大人な作品になっていくんだよ。

基本的には「みんなのうた」的なガーリーキュートな歌唱よりムーディーな唄い方が増えていくんだね。

あとはスウィングかな?

ただし、天才シンガー・ソングライター振りは健在で、相変わらず捨て曲のない作品ばかり。


次々に新たな音楽を取り入れてるよね。

※まあ、基本的にはレトロ系だけど。

ただね、2006年に発売されたスウィンギン・キャラバンは…ちょっと、僕には合わなかったよ。

レトロ系と言うより、楽団って感じのサウンドに感じちゃったね。メロディーが昭和歌謡じゃないし。

※この頃、椎名林檎なんかの影響で?、ちょっと昭和歌謡がブームになってたので敢えて外したのかな?


その後のブルー・ロンドではレトロ系が復活してるけど、かなりポップス寄りになった気がするね。

そして、本格復帰の2014年作品は……70年代のエレキ・サウンドっぽいよ。

グループ・サウンズとか(いや、聴いたことないんだけど)、ベンチャーズを真似してた頃の和製エレキ・サウンドね。そんな印象。

……結局レトロなのね。


って、こんな説明をしてる僕も、小島麻由美さんを聴きだしたのはつい最近なんだけどさ。

パンク&ロックが大好きだった頃は絶対に聴けなかったジャンルだもん。

まあ、そういう意味じゃ、聴く人を限定しちゃうアーティストなのかも?


知名度が微妙に低いのはそのせいかも?


小島麻由美さんは、あまり多作なアーティストじゃなく、20年の活動でアルバムを9枚、ミニ・アルバムを2枚って、洋楽並みのペースで作品を出してるから、興味があったら聴いてみてね。