ジョン・スチュアート・ミルの著書に「功利主義」というものがあるみたいですが、岩波文庫版もあります。

 

僕はこれを見たことがなかった気がしたんですが、比較的新しい本みたいで、以前にミルの著書を検索した時にはなかったということなんでしょう。

 

僕の中では、功利主義は、経験論、実践主義(プラグマティズム)と同じカテゴリーのもので、イギリスやアメリカを舞台とし、地上の世界観と天上の世界観を分ける発想で作られているものに思えます。

 

ドイツの人は、全てを統一する性格を持っているらしくて、カント、フィヒテ、シェリングは皆、経験をもとに作られる哲学世界と、経験できない宗教的な世界とを、別に論じないで、一緒に論じようとしています。

 

イギリス人やアメリカ人の、分けて考えるやり方が悪く作用すると、ダブル・スタンダードが平気になったり、不道徳な行為をしても全く良心が働かなかったりするのではないかと思われます。あれはあれ、これはこれと、分けて考えることができれば、一緒に考えた時には明らかになるごまかしが、自分に対しては露見しないのではないでしょうか。

 

功利主義、経験論、実践主義が最初に出てきた時には、カトリック教会の影響力が既に陰りを見せていたとしても、まだ敬虔なキリスト教徒が多かったと思われます。

 

論を立てた人も、敬虔なキリスト教徒で、信仰心を持っていただろうと思います。その時点では、論自体も道徳的だったが、この世とあの世を分けて考える思考習慣だけが後の世に伝わり、不信心な人がその枠組みを使うと、容易に不道徳に陥るようになった、ということがあったんじゃないか。

 

その予想が単なる思いつきで終わらないためには、資料を調べて、合っているかどうか見なければならないわけですが、まだできていません。