「けいおん!!」23話の感想【ホワイトボードとカセット】
皆さん、こんにちは。
今日の記事は「けいおん2期」の感想です。第23話です!
満身創痍で書き続けて来た「けいおん!!」の感想記事ですが、残りもあとわずか。
ここまで来たらぜひ最後までお付き合いください!
☆『けいおん!!』第23話「放課後!」の感想
脚本:吉田玲子
絵コンテ:武本康弘
演出:石立太一
作画監督:植野千世子
●脚本は吉田さん
今までの担当回は、第1話「高3!」、第3話「ドラマー!」、第6話「梅雨!」、第9話「期末試験!」、第12話「夏フェス!」、第17話「部室がない!」、第21話「卒業アルバム!」となっております。
さすがに多いですね。
前回の記事で指摘したローテーションが早くも崩れましたww
横谷さんと村元さんの順番を一気に飛ばして吉田さんが登場です。
やはり、最終回付近の重要なお話は吉田さんに任せようという方針があったんでしょうね。
●絵コンテは武本さん
第9話「期末試験!」で絵コンテを担当。
武本さんが「けいおん」シリーズの絵コンテを担当なさるのは今回が2度目ということになります。
●演出は石立さん
第5話「お留守番!」、第11話「暑い!」で絵コンテ・演出を担当。また、第17話「部室がない!」で演出を担当。
アニメ1期の前半から絵コンテ・演出を担当なさってきた重要スタッフの一人ですね。
●作画監督は植野さん
今までの担当回は、第5話「お留守番!」、第11話「熱い!」、第17話「部室がない!」となっております。
やはり植野さんの担当回にはキャラの目の描き方に特徴が出ているような気がします。他の作画監督よりもクッキリとした印象を受けます。
それと、律好きの目線から言わせてもらいますと、律のおデコの描き方にもだいぶ特徴があるように思えます。横方向にちょっと広くなっている感じなんですね。
■ストーリーの要約
いよいよ卒業式前日となった。
3年生は登校日ではなかったが、律の提案で唯たち4人は部室に集合。
特にすることもなく、いつものようにお茶を飲みながらのんびりと時間を過ごした。
そして、校舎に最後の放課後を告げるチャイムが鳴り響く。
何か軽音部の活動の証を残したいと考えた唯たちは、部室にあったカセットを使って録音をすることにした。
授業を終えた梓も加わり、放課後ティータイム5人で自分たちの曲を一つ一つ録音していくのだった。
該当する原作エピソード:なし(アニメオリジナルエピソード)
■全体の感想
さて、今回はいよいよ卒業式前日のお話だったわけですが・・・
いや~、いかにも「けいおん!!」らしいのんびりな回でしたね!
卒業式前日だからといって特に何かイベントや事件が起こるわけでもなく、いつものように唯たちは部室でまったりとお茶していました。
部室の掃除やカセットへの録音をしたくらいで、他にやったことも特にありません。
本当に中身のない、ただ時間が過ぎて行くだけの回。
もし何も知らない人がこの回だけを見たら「なんだこのアニメ?」って思うでしょうね。実際、別に面白くもなんともない退屈な回ですよ。
しかし、それで良いんです。
最後の最後までいつも通りな唯たちの姿には本当に安心させされました。
そうだ、私たちはこの唯たちののんびりとした時間や、ダラダラとした何気ない日常が大好きだからこそ、ずっと「けいおん!!」を応援し続けて来たんだ!
最終回の一話前にこういうお話を持って来てくれた制作陣の配慮にはただただ感謝するばかりです。
前回は卒業に対する梓(や憂・純)の気持ちが丁寧に描写された回でしたが、今回は逆に唯たち3年生の描写に重きが置かれていましたね。とてもバランスが取られていると思います。
さらに今回は、和ちゃんとさわ子先生という軽音部を周りから支えてくれた二人の心情もしっかりと描写されていました。とても好印象です。
卒業前のこの2話分で、主要キャラ全員の卒業への気持ちが見事に描き抜かれたと言えるでしょう。
ちゃんと全キャラの心情を押さえた上で卒業回に持って行けるようにしたというわけですね。まったりしているようで、実はかなり計算され尽くしたハイレベルな構成でした。
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さて、それではいつものようにキャラ考察などをして行きたいと思います。
前回の感想記事(「けいおん!!」22話の感想【梓視点の意義について考察】 )の中で、私はこんなことを書きました。↓
梓と唯たちとでは卒業というものに対する姿勢や意味に違いがある
この文に対する回答らしい回答を前回の記事ではちゃんと書いていませんでしたね。
いや、梓視点のお話だったので梓の「卒業に対する姿勢や意味」はちゃんとクローズアップしたんですが、肝心の唯たちの気持ちについてはほとんど触れていませんでした。
すみません。これは私の文章力不足ですww
それでは今回改めて、唯たち3年生の「卒業に対する姿勢や意味」について考えておきましょう。
梓とは対照的にどこか余裕すら感じられる唯たち3年生。
今回は梓視点ではなく、ほぼ純粋に第3者視点的な構造のお話になっていたわけだけれど、それでも唯たちの寂しい気持ちや辛い気持ちが露骨に描写されるということはありませんでした。
これはなぜ?唯たちは卒業が悲しくないのか?辛くないのか?
まず、実際問題として、梓とは違い4人一緒に出ていくんだという事実が大きいです。
梓のように一人残されてしまうという現実が4人にはない。
みんなで同じ大学行きを決めたという安心感もかなり効いているでしょうね。
これから先も変わらずこの4人でいられるということは、本当に心強いことに違いありません。
でも、そうは言ってもやはり、今こうして高校生として軽音部で過ごせる時間が終わってしまうのが寂しくないのかと言ったら、決してそんなことはないんですよ。
物凄く、寂しいです。
唯はこれが最後の放課後だという事実を改めて突きつけられたとき、かなり動揺してしまっていましたね。
律、澪、ムギはあくまで冷静だったけれど、唯のこの動揺と似たような気持ちがそれぞれの胸の奥に確かにあったはず。
第20話のあの部室でのシーンが頭に浮かんできます。
本当に大好きだった。本当に楽しかった。・・・だから終わってしまったことが悲しい、辛い。
3年生たちだって、やっぱり寂しいんですよね。
例え4人一緒に同じ大学に行くことが決まっているとしても、今この場所でみんなでお茶ができる時間は、もうない。5人で軽音部員として笑っていられる時間は確かに終わりを迎える。
たくさんの思い出が詰まったこの部室からいよいよ旅立たなければならない・・・。
辛いですよ、切ないですよ。
でも、唯たちはこれが終わりじゃないんだということを分かっているのです。
この先の人生もきっと楽しいことがたくさん待っていて光り輝いているんだということを分かっています。
卒業は寂しい・・・けれども終わりなんかじゃない。むしろ始まり。卒業は終わりではなく始まりだ!
過去の楽しかった思い出に囚われてしまい前を向いて歩いていけないような弱さは、もはや唯たちにはないんです。
かけがえのない今を全力で楽しむことがなによりも大事。
そして、自分たちが変わらずに今の「楽しい!」を持ち続けていれば、未来もきっと「楽しい!」。
こんな考えを持つことができるようになったのは、言うまでもなく、軽音部での今までの積み重ねがあったから。
軽音部での日々が、最高に幸せだった3年間が、唯たちをここまで強く・大きくしてくれたのです。
だからこそ、この余裕。
悲しいも寂しいも切ないも全部受け止めて、それでも前に踏み込んでいく強さが今の4人にはあるのです。
先の見えない未来に進んでいく不安?確かにあるよ。でも、卒業はきっと、新たな「楽しい!」の始まりだ・・・!
これが、唯たち3年生の「卒業に対する姿勢や意味」です。
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さて、そんな4人が卒業式前日に部室に集合しました。
もう本当に、グダグダです。何をするのかも特に決めていない。
でも、それで良いんです。最後の放課後に5人で集まっていつも通り過ごす。それだけで良いんです。
律の次の台詞が今回のお話を象徴していました。
唯「では部長のりっちゃん、あなたにとって放課後とは?」
律「そうだな・・・、人生の無駄遣いかな」
そうです、まさに軽音部での放課後は人生の無駄遣い。
熱心に練習ばかりに打ち込んできたわけでもないし、いくつもライブをこなして来たわけでもない。
みんなで集まってお茶をして、どうでもいい雑談に花を咲かせる・・・これが軽音部の放課後でした。
熱心に練習に励んだり、本気でプロを目指しているような高校生からしたら、本当に無駄で、無意味な放課後に思えてしまうくらいでしょう。
でも唯たちは、もう知っています。
これがなんて贅沢で、最高な「人生の無駄遣い」なのかということを!
合理的な人生ほどつまらないものなどありません。
無駄なこと、無意味なこと、グダグダなこと・・・そんなことも全部受け入れて楽しんでこそ人生は輝く。
唯たちは無意識のうちに、本当に自然体でそれを理解していました。
だからノープランで良いんです。最後の日なのに、いつも通りにグダグダ過ごす。
だってその「無駄」こそが最高に幸せでかけがえのないものなのだから・・・!
カセットに録音し自分たちの音を記録するというのも、実はそれ自体にあまり意味はありません。
単純に物として自分たちの足跡を何か残したいという気持ちももちろんあったみたいだけれど、別に必要ないと言えば必要ないんですよ。
なぜならば、放課後ティータイムの音楽は、卒業しても何年経っても、きっとそれぞれの胸の奥で美しく鳴り響き続けるものだから。
それに、仮に本気で自分たちの音を残したいと思ったら、もっと良い録音機材を用意するはずだし、ちゃんとしたスタジオを借りて録音するはずなんですよね。でも、それをしない。
5人にとって大事なことは、自分たちの音を物として残すことではなく、卒業式前日の今この瞬間にこの部室でみんなで録音するという行為そのものに違いありません。
今思いついた「楽しい!」を今この場所で全力で楽しまなくてどうするの!?
律は言いました。
律「つーか、何やってるんだろうな私ら」
うん、本当にそうだよ。
でもそれで良いとちゃんと分かっているんだよね。この「無駄」こそが自分たちにとって最高の幸せなんだ。
グダグダでもちっぽけでも無意味でも・・・何物にも代え難い大切な青春の1ページ。
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「ホワイトボードでひしめき合う 落書き 自由な願い事」は・・・
真っ白に消されました。
目指せ武道館とか、新入部員獲得とか・・・この3年間いろいろなことが書き込まれて来たホワイトボードが、ついに真っ白な姿に戻されてしまいました。
でも悲しくなんかない。
5人の心の中のホワイトボードには、たくさんの「落書き」が確かにびっしりと書き込まれたままなのだから。
そして、それは、この先どんなことが5人の人生に待ち構えていようとも絶対に消えることのない最高の「落書き」なんだ。
桜のつぼみは膨らみ始めています。間もなく新しい春がやってきます。
5人はこれからもそれぞれの心のホワイトボードに「落書き」を綴って行くでしょう。
無駄で、無意味で、非合理的で・・・でもかけがえのない「今」と「楽しい!」がいっぱい詰まった「落書き」をこれからも、ずっと、ずっと・・・。
未来は明るい。「進め乙女 抱きしめて、希望を」!
そして、部室に残されたホワイトボードにもきっと新しい「落書き」が生まれていく。
唯たちをずっと見守り続けてくれたこのホワイトボードは、これから先も軽音部員たちを変わらずに見守り続けて行くでしょう。
何年後になるかは分からない。でも、唯たちが今日録ったこのカセットテープが後輩たちに見つかり、再生される日がいつかきっと来るでしょう。
そのとき、その未来の後輩たちはどんな顔をするのかな?
唯たちの緩さにビックリするのかな?ぶっ飛んだ歌詞の数々に首をかしげるのかな?
でも、きっと、その娘たちは笑っているよ。絶対に笑っていると思うんだ。
唯たちがデスデビルのカセットを見つけたときみたいにさ、「今」しかできない最高の笑顔で・・・!
唯たちの意志は受け継がれていく。さわ子先生の意志が唯たちに受け継がれていったように・・・。
青春は、いつだってこの場所で、全力な乙女たちを待っている。
■個別の感想
気になったところや面白かったところをピックアップ!
①和ちゃん、お疲れ様
軽音部をいつも影から支え続けてくれた和ちゃん。
アニメ2期ではあまり目立たない立ち位置だったけれど、それでも和ちゃんが唯たちにとって大切な存在であることに違いはありません。
そんな和ちゃんも、ついに卒業です。唯たちと一緒に巣立って行きます。
和ちゃんは生徒会長でした。目立つようで目立たない存在。それが生徒会長。
影から生徒たちの学園生活を支え続けるのがその仕事。決して自分自身が主役なわけではありません。
しかし、和ちゃんはそんな自分のポジションがつまらなかったか?嫌いだったか?退屈だったか?
・・・そんなことはありませんね。
和ちゃんは確かに、自分が生徒会の役員として過ごしてきたこの3年間が大好きでした。
唯たち軽音部や他の生徒の皆を支えるのが本当に幸せでした。
思いだしてください、あの第20話を。
なんて、素敵な表情で唯たちを見つめているのだろうか!
これは、ステージに立って輝いている唯たちに羨望の眼差しを向けているわけでは決してありません。
純粋に、こうしてステージの脇から唯たちを支える立場にいられることが、和ちゃんにとっては何よりも幸せだったんです。
そして、これが和ちゃんにとってのかけがえのない青春の形でした。
唯たちとは立ち位置が違ったけれど、同じくらいに、・・・いや比べるものなんかじゃないですね、最高に輝いている青春でした。
ふぅ、っと息を吐いて微笑む和ちゃん。お疲れ様。
唯たちみたいにステージの上で輝いたわけでもなく、生徒会の役員という地味なポジションを貫き通しただけ・・・でも、そこにも確かに全力な青春があったのです。
②唯たちがさわ子先生から「卒業」した瞬間
さわ子「ねぇ、唯ちゃん、録音手伝おうか?」
さわ子先生が差しのべてくれたこの大きな手に対して、唯はハッキリと次のように言いました。
唯「ううん、さわちゃんはそこで見てて」
ここで注目したいことは、次に録音する曲が「ふでぺん」だったということです。
皆さん、アニメ1期の最終回を覚えているでしょうか?
ギターを忘れてしまった唯が家から戻って来るまでの間、さわ子先生が代役としてギターを担当しました。
そのときに演奏していた曲も「ふでぺん」だったのです。
これは偶然の一致ではないと思います。
そうか、あのとき唯は、というか放課後ティータイムのこの5人は、さわ子先生のおかげで助けられたけれど、今はもう違うんだ。
あの時みたいな助っ人はもうなくて大丈夫。今はちゃんと自分たちの力で演奏できるよ!自分たちの足でしっかりとステージの上に立つことができるよ。
だから、さわちゃんはそこで見ててね!いつものように見守ってくれる・・・それだけでもう十分だよ!
唯の言葉は、明らかに、さわ子先生からの自立を象徴していました。
最高に幸せだよね、先生。
あなたが見守り続けて来た唯たちはこんなにも大きく成長してくれたんだよ。
③いつになったらタネ明かしされるのかと思ったら・・・
さ~て、これはいつもの「唯だと思ったら実は憂だった!」というやつだろ?
いつになったらタネ明かしされるのかな?
・・・と思っていたんですが、なんと今回アイロンをかけていたのは普通に唯本人でした。
ちょっとビックリ!
いやしかし、唯がこういうふうに自分でちゃんとアイロンをかけているというのは何か喜ばしい光景です。
ちょっとしたシーンの中にもしっかりとした成長が感じられますね。
④発掘された申請用紙
部活の申請用紙って!?
アニメ1期の前半で出て来たアレか!律が提出し忘れていたやつ!
なんと3年間そのまま机の中で眠っていたというわけですね。ちょっとファンタジーかもww
⑤ムギの気持ちにすごく共感
ムギ「それ、みんな私欲しい!」
ああ、ムギ分かるぞ、その気持ちすごく分かるぞ!
律と唯の手紙とか本当に面白そうだもんなぁ!捨てちゃうのなんてもったいないもんなぁ!
⑥純ちゃん
純「澪先輩!・・・と、ムギ先輩の分は私が」
澪の分だけじゃなく、ムギの分のパンも買ってくると言った純ちゃん。
うん、偉いぞ!
⑦リボン付き五円玉
これ何気にすごくない!?五円玉にリボン結んでるよ!
手先が不器用な私にはたぶんできませんww
⑧次回予告
もう、次回予告がヤバイです。いよいよ腹をくくるときが来ましたか。
主要キャラを一切映さず、台詞でさえ一つもなし・・・。
この静けさが逆になんか辛いです。お願いだ、予告だけで泣かすのはやめてくれ!
第24話が最終回になるということは、公式HPや他サイト・ブログ様の情報などからもちろん知っていましたが、自分の目でこうして実際に確認するとやはり実感が湧いてきますね・・・。
この記事を書き終えたら早速観なければ!
いやしかし今改めて感じることは、アニメと原作の卒業を同じ時期に持ってくる必要はあったのか?ということ。
というか、アニメを無理に原作に追い付かせなくても良かったんじゃないかという気がします。
アニメ2期で卒業までやってしまうというのは勿体無い!
アニメ2期は学園祭のライブ回あたりで終わらせて、その後の卒業までの展開はちょっと時間が経ってからOVAとか映画でやるっていう選択もアリだったんじゃないかなぁという気がします。
そうすれば、原作の内容をアニメがしっかりと拾うこともできたはずですし。
・・・まぁ、今さら何を言っても変わるわけじゃないんですがねww
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