大学児童精神科(2023.10)

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スマイル先生「先月は癇癪がひどいと言っていたけど

どうですか、少し落ち着いた?」




……はあ。もう「私次第」みたいです。

私が怒らなければあの子も穏やかだし、私がちょっと

ガミガミ言えば、とたんにギャッと反発する。

あの子のお陰で、私もずいぶん気が長くなったんです

けど、それでもねえ。

どこまで甘やかしていいのか、どうやって叱らずに

しつけたらいいのか、本当にアタマ使うし、難しい

ですね。




「そうですか。例えばどんな時に、お母さんとしては

イラッとくるの?」




例えばですね。

今日みたいに楽しみな日は、自分で6時に目覚まし

かけて、さっさと支度をするんですけど、普段学校が

ある日はまあ、8時になってもパジャマのまま。

つい「早くしなさい!」って声を荒げれば、ギャーン

となるので、イライラを押さえてひたすら待つしかあり

ません。15分くらい経つと、のんびりのんびり着替え

始めるんです。

先生からのアドバイスを無視して、大人の勝手で下校を

15分伸ばしてしまったんですけど……。

結局、朝の15分遅刻によって、本人の中で辻褄を合わ

せたみたいですね。

してやられたって感じです。




「ははは、それは学校に行きたくないから、ぐずぐず

してるんだね。まあそれでも行っているんだから、

いいんじゃない?

本人の気持ちを無視して、ムリヤリ時間通りに行かせた

としても、そのうち行けなくなると思いますよ。

四年生、五年生、六年生、中学。まだまだ学校生活は

長いからね。」





先生、私、あの子が自分からわくわくして登校できる

ような、あの子に合ったフリースクールや私立の学校

を探しまくっていたんですけど、なんかあの子、

学校を変えたからといって、そんなに変わらないよう

な気がするんです。

それだったら、中学校は自宅から目と鼻の先なので、

もう公立中の支援級でいいのかなって。





「うーん、そんなことないよ。今は行きも帰りも付き

添っているだろうけど、必ず成長しますよ。楽しみな

場所にはわくわくして行くんでしょ?少しくらい遠く

たって、中学生になれば通えるはずですよ。」




え、ホントですか?!




「うんうん、ちゃんと成長するよ。」




ホホホントですか?!




「だって、一年前を考えてみなさい。こんなに成長した

じゃない。」





スマイル先生のクリニックに毎月毎月通って一年半。

そういえば最初は、こんな遠くの都心まで娘を連れ出す

ことだけで、本当に大変だったっけ。

今、月に一度のこのお出かけが、私も楽しみ。





今日は帰りにトレインビュースポットを巡り、東京中の

電車を満喫しました。

いつの間に覚えたのか、娘の頭の中には都内の路線図が

ばっちり入っているので、スマホで調べる必要もなく、

私は娘にくっついていくだけでした。