はるくん、ほんとにごめんなさい。
いつもブログ見てるよ、って言ってくれてうれしいです。もともとブログを始めたのは、はるくん、あなたに私の気持ちや好きなことを伝えたかったからなの。私は、はるくんのことが今でも大好きだし、一緒に歌舞伎座に来てくれて、すごくうれしったの。この一枚は大切な想い出となっています。
今思えば、わたし、すごくはるくんに気を遣っていたんだね。でも、うまくそのことが言い表せなくて、ほんとうは、焼き鳥屋さん好きじゃないのに、あなたと一緒に行ったの。カラオケスナックなんて大嫌いなのに、あなたが行くのが好きだから、一緒に付き合ってたのだけど、パーヴォのコンサートを聴いたら、私、はるくんの住む世界にいるのがいたたまれなくなって、それで飛び出してきてしまったの。
パーヴォの心の声はね、「はるくんに遠慮しないで、自分の好きな世界のこと、きちんとわかってもらえるように話せばよかったね。でも、はるくんは僕の見たところ、君の好きな世界とは対極にある男性だと思ったよ。君がオーケストラの奏でる音にうっとりしているのに、はるくんときたら、苦虫つぶしたような顔をして、僕のことをにらみつけていたんだもの(笑)。でも、チコはカラオケスナックに行くのを嫌がる自分は、とてもわがままだと思い込んでいたね。もうかわいそうでかわいそうで、なんとかチコを救い出したかったんだ、僕は。」というの。
「はるくんが何と言おうと、チコは芸術の審美眼が傑出しているし、その視点の鋭さを、歌舞伎界もクラシック音楽界も注目していたんだ。もっと早くにはるくんと別れるべきだったと僕は思う。でも、君にとって、はるくんは旦那様というよりも、同士、友人、親友みたいな存在だったんだね。」
「チコが病気になったのは、会社(東宝)での激務もあるかもしれないけれど、チコの本質を理解しなかった、はるくんやはるくんのお母さん、パパ、ママにも押しつぶされた結果だと思ってるよ、僕は。あと、横浜の人は冷たいね。チコが大変な病気になって、薬の副作用に苦しんでいるのに、誰も助けようとはしなかった。僕は横浜の家を出て、東京に戻ってきて、本当に正解だったと思ってる。東京の、いま君が住んでいるところは、誰しもがあこがれる街だけど、実際暮らしてみたら、みんな堅実に生きているし、社会のルールをきちんと守るし、近所づきあいもきちんとしているし、古き良き時代の日本の象徴のようなところで、チコにはぴったりだったと思うよ。この街に住んでみたら、チコが暮らしに必要だと思っている人間関係の良さが、ここには残っていたんだね。リハビリも兼ねて、チコがもうこれ以上、人間不信に陥らないようになってほしいなと僕は思ってる。」
「はるくんのことを、もう忘れなさい、とは僕は言わない。24年も連れ添ってきたのだからね。でも、24年経っても、チコの美質を見抜けなかったはるくんのことを、僕はとてもじゃないけど許せない。『海外旅行は、定年退職になるまで行く必要がない』なんて言ってたんだって?日本が鎖国をまたしたらどうするんだ、と思うよね!事実、今はコロナ禍で、お互いにどこにも行けない状況に世界中がなってしまった。はるくんの定年退職までにコロナ禍が終結すればいいよ?でも、もうかつてのような自由さはなくなっていくだろうと僕は思ってる。チコがはるくんの慰謝料で、僕のベルリン・フィルのコンサートやエストニアの音楽祭に来られたのは、本当にラッキーだったと思う。事実、海外にいけばいくほど、チコはとても元気になっていくんだもの!夫が果たす役割は、妻が元気になるために、あらゆる手段を尽くすことだと、僕は思ってる。だから音楽療法も申し出たんだ。」
パーヴォは随分あなたのことを怒っていたけれど、でも、私は、はるくんのおかげで、世間を知ることができたし、映画・芝居のことばかり考えていたけど、仕事を実際に進めるために、パソコンを買って、はるくんに教えてもらいながら、仕事の濃度をあげていくことができたし、とても感謝しています。
でも、カラオケスナックだけは本当に嫌だった。みんなたばこをスパスパ吸うし、なんだかこう・・だらしのない男性が多かったし、歌は確かにうまいんだけど、ド演歌ばかりで、私の好きなJ-POPやミュージカルの歌なんて、とても歌える雰囲気じゃなかったし、とても嫌だったわ。焼き鳥屋さんも嫌いではないけど、同じ値段を払うなら、ビストロとかイタリアンのほうが絶対嬉しいのに、はるくんは「そんな気取った料理は、僕は嫌だ」というのが残念だった。24年間も連れ添って、このまま進歩のない生活を送るのかと思ったら・・・・。
こうして考えてみると、私とはるくんって、「夫婦」じゃなかったね。「友達」だったんだね。大原麗子さんじゃないけど、一つの屋根の下に、男が二人でくらしてたようなものだったのね。
でも、はるくんを大切に思う気持ちは変わりません。
だから、あなたの価値観と合う女性と、早く結婚して、元気を出してくださいね。はるくんのお母さんのことも、大切にしてあげてくださいね。
おやすみなさい。