タライロンを解析する・1 | 南米・鳥獣虫魚・探遊

タライロンを解析する・1


タライロンが含まれるエリスリヌス科は、もちろんカラシン目(もく)だけど、同目の大特徴であるはずの脂鰭(あぶらびれ)が欠けている。同科魚の体型は、ドンコ型。化石属も含め、以下の4属10数種が記載されている(2011年現在)。


1.エリスリヌス属(レインボー・ホーリー類)⇒2種

2.ホプレリスリヌス属(ストライプ・ホーリー類)⇒3種

3.ホプリアス属(ホーリー類)⇒10種

4.パレオホプリアス属(原始ホーリー類)⇒1種(一千万年くらい前に絶滅)



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レインボー・ホーリーはヒレが美しい。大きくて25センチまで。



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ストライプ・ホーリーは、明瞭な黒バンドが特徴。大きくて40センチまで。



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パレオホプリアス・アシスブラジリエンシスの化石(下顎)。おそらく1メートル級。


ホプリアス属の10種


1. Hoplias aimara (Valenciennes 1847).

2. Hoplias malabaricus (Bloch 1794)

3. Hoplias brasiliensis (Spix & Agassiz 1829)

4. Hoplias lacerdae (Miranda Ribeiro 1908)

5. Hoplias intermedius (Gunther 1864)

6. Hoplias microlepis (Gunther 1864)

7. Hoplias patana (Valenciennes 1847)

8. Hoplias teres (Valenciennes 1847)

9. Hoplias australis Oyakawa & Mattox 2009

10. Hoplias curuira Oyakawa & Mattox 2009


タライロンは、ホプリアス属に含まれる。学名は、ホプリアス・アイマラである。昔はホプリアス・マクロフタルムスという種類もタライロンとされていたけど、2006年にエリスリヌス科の大家、サンパウロ大学(日本の東大みたいなとこ)のドクター・オヤカワ(日系博士)によって、アイマラのシノニム(別名同種)に帰結された。アイマラ種とマクロフタルムス種のホロタイプ(模式標本)産地は、実は同じとこ(フレンチ・ギアナのカイエンヌ付近)なのである。


グランデ・オガワは、以前のこと、サンパウロ大学博物館に勤務するドクター・オヤカワを訪ねたことがある。いろいろと難しいコトを教わった。ホプリアス属の種類分類の決め手だという下顎にある微細なパッチの数や形の違いなど聞いたけど、当時はまるでチンプンカンプンだった(笑)。2009年に上梓されたオヤカワ論文を入手して、やっとこパッチの意味が判明した。あまりにも専門的なので、詳しく触れないが、その位置を図版を載せよう。ちなみにこのパッチは、感覚神経が通るチャンネル(通路)の開口部で、外部振動などを感知している。



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ホプリアス属は、下顎のパッチで分類する


なんでここまで細かいコトまで分類に使わなくっちゃいけないの? もちろん理由がある。タライロンも含め、すべてのホプリアス属の各種は、外観がたいへ~んに極似しているのだ。まあ大きくなるのをタライロンと思えばいいけど、ラセルダエって種は10キロ超になるし、インテルメディウス種も数キロになるからなぁ。



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ラセルダエ種と思われるデカいホプリアス