今、安芸高田市を舞台にした田舎芝居が佳境を迎えています。



市長の勧善懲悪劇を演じる舞台に、地元の桟敷席はしらけていますが、外野席はヒーローの悪役退治に拍手、喝采が鳴りやみません。

ところが舞台を見ると、最強の敵であるはずの中国新聞社は完全に退場し、極悪非道を演じる議会は舞台の袖に隠れてしまっています。

ヒーローただ一人が、外野席を見て歓喜乱舞しているだけです。



ところが、ヒーローが使う伝家の宝刀は、「大嘘をでっち上げるなまくら刀」であることが露見したことから、桟敷席の観客は、「あれ、極悪非道の悪者は、舞台で歓喜乱舞しているヒーローじゃないか」と気づき、舞台は完全にどんでん返しが起こってしまいました。



桟敷席からヤジを受けるヒーローは、自分が生き残る道は、舞台の袖にいる議会を再度引っ張り出してなまくら刀を振り、ヒーローを演じる以外にないと覚悟を決めたようです。



さて、今回の記者会見を見る限り、市長は議会広報誌「議会だより」の予算を削減することで、議会との新たな争点を作り出そうとしているようです。

市長が主張する「議会広報誌に虚偽記載がある」という主張は、争点を作り出すための口実にすぎず、市長が、議会の広報誌の予算を削減するということは、二元代表制のもとにある議会の重要な機能を奪うということで、市長は議会との有無を言わせぬ全面対決を決意したということにほかなりません。



一方で、議会は市広報誌の「市政の動き」等を問題視し、2年連続で決算を不認定しており、しかも、「市政の動き」が改善される様子が全く見えません。

したがって、これを口実にして市の広報誌の予算を削減して、市長に反撃する可能性も出てきます。

つまり、双方が「広報誌の予算を削減する」という泥沼に陥る可能性があるということです。



また、市長は、新年度予算に認定こども園基本構想策定費を計上することは間違いないでしょう。

しかし、認定こどもの候補地に吉田地域の民有地を調査していないことが明らかになった以上、これも必ず削減されるでしょう。



こうしたことを考えると、2月下旬に開会される定例議会は、恫喝発言でっち上げ裁判に係る控訴の専決処分承認案件をはじめとして、紛糾する案件が目白押しの議会になることは必定です。

いや、大ウソをでっち上げたことが露見した市長はまさに正念場を迎えていますので、悪役=清志会を舞台に引きずり出すために必ずそう仕組むでしょう。



そして、この定例議会で、清志会という悪役を相手に大立ち回りを演じた市長は、今ならまだ市長選挙が戦えるとさらに踏み込むことでしょう。

また、昨年の7月には市議選が準備不足であった南沢、田辺両議員も、多数派を形成すべくしっかりと準備を進めていることでしょう。

彼らが、自ら作り上げた「紛糾する市政」を正常化すると主張して、常々言及してきた同日選挙を打ち出してくると見るのは、深読みしすぎでしょうか。



市長が、議会は後に引けないことを見透かして出してきた議会の広報誌の予算を削減。議会、特に清志会はどう立ち向かうのでしょうか。



[注] なまくら刀とは、切れ味の鈍い刀のこと。