市長は、上下水道料料金を値上げする口実に、「不公平」を持ち出しています。
この「不公平」については、以前にも指摘しましたが、自治体の長としては許されない危険な主張ですので、今回も取り上げました。
水道料金は、市の一般財源や水道会計の実情、近隣市町の状況等から、合理的な水準を導き出して説明する以外に術はありません。
それを市民の代表である議会が判断するのです。
ところが、市長は、各町の水道普及率の表まで出して、次のとおり主張しています。
① 地域差による不公平
水道は地域によって普及率に差があります。
水道を使っていない人の税金も水道を使っている人のために費やすことになるため、市民の間に不公平感が生じます。
市長にこう言われると、市民の中には直感的に、
それはそうじゃ。水道を使っていない者が、使っている者の赤字を負担することはない。
と思う人がいるでしょう。
市長は、この市民の感情を巧みに利用しているのです。
ところが、この理屈を使えば、市の一般財源から負担すること自体が「不公平」で、限りなく削減しないと、「不公平」はなくならないことになります。
それが可能なら市長の主張は、論理性を持つことになりますが、現実的には出来るはずはありません。
市長の不公平感を煽るこの主張は、目先の小理屈にしか過ぎず、論理的に破綻しています。
さらに、地域には地域特有の事業が行われたり、社会的、経済的、政策的理由で、特定の市民を対象にしたいろいろな事業が行われています。
つまり、地域間や市民間で「不公平」を言い始めたら、基礎自治体の「住民の福祉の増進を図る」行政は出来なくなるのです。
だから、自治体のトップが「不公平」を煽るのは、絶対タブーなのです。
② 使用料による不公平
水道を多く使う人ほど税金によって補填してもらうことになるため、使用者の間にも公平性(不公平性?)が生じます。
水道量を多く使う人は、事業者が大半です。
そこで大口の利用者(事業者)を仮定して考えて見ましょう。
市民が25万円、大口利用者が25万円、市の負担が50万円の計100万円で水道事業を維持していると仮定します。
大口利用者が大幅な値上げによって水道を使わなくなると、25万円足りなくなります。
市の負担を75万円に増額しない限り、市民は50万円負担することになります。
つまり、水道料金は2倍になるのです。
現実にはこんな簡単な図式にはなりませんが、大口利用者が水道料金の大幅に値上げで減少すれば、維持管理費用はさほど減少しませんので、市民の一人当たりの負担は増大します。
ところが、この例は「非現実的なもの」とはいえなくなっています。
令和14年度に水道料金が1.55倍になるとされていますが、安芸高田市の水道料金は、広島市の水道料金より5,000円余り高い約2倍の9,720円程度になります。
事業者は、こんな水道料の高い自治体に残るのでしょうか。
若い人は、安芸高田市に帰ってくることはなく、むしろ生活環境の良い広島市に出て行くでしょう。
事業者が去り人口が減ると、水道料金がさらに高くなるのは必然です。
適切な水道料金単価の累進性を確保しながら、利用者を確保することこそ必要なのです。
市長は、「基礎自治体の役割」を全く理解しておらず、「目先の小理屈」を以って地域や市民の間に分断を持ち込み、自分の主張を押し通すという極めて危険な手法を採っています。
市長としての能力に疑問を持たざるを得ません。
市長は、東京都民が次のように主張したら、どう答えるのでしょうか。
東京都民は、安芸高田市の行政サービスを全く受けていないのに、私達の税金(所得税、法人税や消費税など)が、どうして地方交付税という名で配られるのか。
行政サービスをうける安芸高田市民が負担するべきだ。不公平だ。
[注]広島市の水道料金
口径13mm、2ヶ月で60㎥使用、税込み 4,631円/月
[注]水道料金の累進性
水道使用量が多くなるに従って、1㎥あたりの単価を高くすることです。
安芸高田市もこれを採用しています。
この「不公平」については、以前にも指摘しましたが、自治体の長としては許されない危険な主張ですので、今回も取り上げました。
水道料金は、市の一般財源や水道会計の実情、近隣市町の状況等から、合理的な水準を導き出して説明する以外に術はありません。
それを市民の代表である議会が判断するのです。
ところが、市長は、各町の水道普及率の表まで出して、次のとおり主張しています。
① 地域差による不公平
水道は地域によって普及率に差があります。
水道を使っていない人の税金も水道を使っている人のために費やすことになるため、市民の間に不公平感が生じます。
市長にこう言われると、市民の中には直感的に、
それはそうじゃ。水道を使っていない者が、使っている者の赤字を負担することはない。
と思う人がいるでしょう。
市長は、この市民の感情を巧みに利用しているのです。
ところが、この理屈を使えば、市の一般財源から負担すること自体が「不公平」で、限りなく削減しないと、「不公平」はなくならないことになります。
それが可能なら市長の主張は、論理性を持つことになりますが、現実的には出来るはずはありません。
市長の不公平感を煽るこの主張は、目先の小理屈にしか過ぎず、論理的に破綻しています。
さらに、地域には地域特有の事業が行われたり、社会的、経済的、政策的理由で、特定の市民を対象にしたいろいろな事業が行われています。
つまり、地域間や市民間で「不公平」を言い始めたら、基礎自治体の「住民の福祉の増進を図る」行政は出来なくなるのです。
だから、自治体のトップが「不公平」を煽るのは、絶対タブーなのです。
② 使用料による不公平
水道を多く使う人ほど税金によって補填してもらうことになるため、使用者の間にも公平性(不公平性?)が生じます。
水道量を多く使う人は、事業者が大半です。
そこで大口の利用者(事業者)を仮定して考えて見ましょう。
市民が25万円、大口利用者が25万円、市の負担が50万円の計100万円で水道事業を維持していると仮定します。
大口利用者が大幅な値上げによって水道を使わなくなると、25万円足りなくなります。
市の負担を75万円に増額しない限り、市民は50万円負担することになります。
つまり、水道料金は2倍になるのです。
現実にはこんな簡単な図式にはなりませんが、大口利用者が水道料金の大幅に値上げで減少すれば、維持管理費用はさほど減少しませんので、市民の一人当たりの負担は増大します。
ところが、この例は「非現実的なもの」とはいえなくなっています。
令和14年度に水道料金が1.55倍になるとされていますが、安芸高田市の水道料金は、広島市の水道料金より5,000円余り高い約2倍の9,720円程度になります。
事業者は、こんな水道料の高い自治体に残るのでしょうか。
若い人は、安芸高田市に帰ってくることはなく、むしろ生活環境の良い広島市に出て行くでしょう。
事業者が去り人口が減ると、水道料金がさらに高くなるのは必然です。
適切な水道料金単価の累進性を確保しながら、利用者を確保することこそ必要なのです。
市長は、「基礎自治体の役割」を全く理解しておらず、「目先の小理屈」を以って地域や市民の間に分断を持ち込み、自分の主張を押し通すという極めて危険な手法を採っています。
市長としての能力に疑問を持たざるを得ません。
市長は、東京都民が次のように主張したら、どう答えるのでしょうか。
東京都民は、安芸高田市の行政サービスを全く受けていないのに、私達の税金(所得税、法人税や消費税など)が、どうして地方交付税という名で配られるのか。
行政サービスをうける安芸高田市民が負担するべきだ。不公平だ。
[注]広島市の水道料金
口径13mm、2ヶ月で60㎥使用、税込み 4,631円/月
[注]水道料金の累進性
水道使用量が多くなるに従って、1㎥あたりの単価を高くすることです。
安芸高田市もこれを採用しています。