今回の記者会見で、全く理解の出来ない事案が出てきました。

「自治懇談会の開催要件の変更」というものです。



これまでの自治懇談会は、自治組織の要望を受け、市長以下職員が出向いていました。

これを、市長の説明では、次のように改めると言うのです。



二元代表制の下では、市民の代表は議員です。

議員は市民の代弁者です。

市長が直接市民に相対するのは、原理・原則に反する。

本来の仕事ではない。

議会軽視だと思う。

だから、懇談会には、議員1名以上の出席を求める。

市民は議員にお願いして市長にアポ取りをしていただければ応じます。




市長は、「議員が市民の要望や意見を聞き、それを市長に届けるのが仕事だ」という主張を根底において、今回の自治懇談会の変更も行っています。

つまり、市長の「御用聞き」をするのが仕事だと言うのです。

議員に「市長の御用聞き」をさせておいて、二元代表制だと言うのでしょうか。



二元代表性は、自治体を民主的に運営していくためのシステムです。

つまり、権力を二分して、独裁的な行政運営がなされないようにするためのシステムです。

だから議会には、次の機能を持たせています。



① 自治体の意志を決定する(議決)機能

② 執行機関を監視する機能



個々の議員は、この機能を担うのが仕事です。

決して、市長の御用聞きをしたり、市長の広報係になって、行政情報を市民に伝えることが仕事だとは、地方自治法には一言も規定されていません。(地方自治法第96条、98条、100条)



当然議員も、議員活動として市民の意見や要望を聞きますが、それはあくまで、議会での議決や執行部を監視するために行うものです。

また、近年では、市民からの意見や要望を、議員の政策・施策形成にも活用し、議会活動に生かしていくこともします。

こうした活動の中で、執行部に伝えるべき市民の意見や要望は、市長もしくは担当部課に伝えているのです。



自治体の首長の仕事は、地方自治法(第149条)には次のように、規定されています。



① 議案を提出すること

② 予算を調整し、執行すること

③ 税の賦課徴収 他



議案や予算を作るためには、市民の意見や要望がどこにあるか知る必要があります。

そのために、市民モニターやミートアップ等の制度があります。

当然、自治懇談会もその1つの制度なのです。



また、予算を執行していくためには、市民の理解、協力、参加が必要です。

そのために、住民説明会、広報紙の発行、チラシの配布、おたすけホンでの放送をするのです。

つまり、行政を運営していくための市民への情報提供は、執行部が行うものなのです。



自治懇談会は、議員が窓口になるものではなく、執行部が振興会からの申し出を直接受け、市長が主催して行うものであることが、理解していただけたと思います。