10月20日に、市長が次のようにツイートしました。



謝罪という所作は、玉川徹氏の人間性だけでなく、テレビ局の性質がなせる業だと思います。

すなわち放送倫理を定めチェックしているBPOの存在です。

背景にある株主やスポンサーの目も上手く機能しています。

自浄作用が働く環境を作れるか否か、それが問題です。




市長がツイートしている「玉川徹氏」は、テレビ朝日のコメンテーターをしている方で、市長が添付していた毎日新聞には、その顛末を次のように報じています。



9月28日の放送で、玉川氏は前日に実施された国葬の際に、菅前首相が読み上げた弔辞について言及。

国葬の開催には政治的な意図があるなどと指摘し、「当然これ、電通が入っていますからね」と発言した。

しかし、実際には電通は関与しておらず、テレビ朝日は電通に謝罪。

玉川氏も翌29日の番組で「事実ではありませんでした」と発言を訂正し、謝罪していた。




このテレビ朝日は、「市長ご用達の広島ホームテレビ」のキー局で、市長が提供した「歩いただけポイントがもらえるSPOBY」情報を検証もせずに、「全国初の取り組み」等々と虚偽放送をしたテレビ局です。



テレビ朝日は、過去にも代表的な虚偽放送として、
2009年1月10日放送『情報整理バラエティ ウソバスター」での「やらせ
問題」

2020年5月12日にも新型コロナ感染症について「取材内容と異なった報道」
があり、いずれも謝罪に追い込まれています。

残念ながら、「自浄作用が働く環境」にはなく、「BPO」の効果も期待できないようです。



しかし、市長は、広島ホームテレビとの強い繋がりがあるからでしょうか、テレビ朝日の虚偽放送を追及するどころか、「謝罪という所作は、(中略)テレビ局の性質がなせる業だ」と、むしろ「謝罪が出来る企業」として、テレビ朝日の企業体質を評価さえしています。

どうも、市長は、自分のひいき筋にたいしては「黒を白と言いくるめる」ような理屈ができるようです。



また、市長は、「スポンサーの目も上手く機能しています」と言っていますが、民間企業出身の市長なら、「テレビ局が、スポンサーの目を気にして報道をする」のは、当然のことなのでしょう。

市長は、BPOの理念「放送における言論・表現の自由の確保」については、全く理解していないようです。



ちなみに、abemaTVは、BPOに加入していないようですので、「誹謗中傷による名誉毀損や選挙妨害」で訴えられていても、派手なパフォーマンスを演じる市長は、視聴率を上げられる人材として、放送倫理とは関係なしに重宝されているのでしょう。



[注] BPOは、NHKと民放連によって設置された第3者機関です。


放送における言論・表現の自由を確保しつつ、視聴者の基本的人権を擁護するため、放送への苦情や放送倫理の問題に対応する、第三者の機関です。


主に、視聴者などから問題があると指摘された番組・放送を検証して、放送界全体、あるいは特の局に意見や見解を伝え、一般にも公表し、放送界の自律と放送の質の向上を促します。


なお、NHKと民放連は、1996年に放送倫理基本綱領を別途定めています。



[注] 日本新聞協会には、「新聞倫理綱領」があります。


21世紀を迎え、日本新聞協会の加盟社はあらためて新聞の使命を認識し、豊かで平和な未来のために力を尽くすことを誓い、新しい倫理綱領を定める。


国民の「知る権利」は民主主義社会をささえる普遍の原理である。

この権利は、言論・表現の自由のもと、高い倫理意識を備え、あらゆる権力から独立したメディアが存在して初めて保障される。

新聞はそれにもっともふさわしい担い手であり続けたい。


おびただしい量の情報が飛びかう社会では、なにが真実か、どれを選ぶべきか、的確で迅速な判断が強く求められている。

新聞の責務は、正確で公正な記事と責任ある論評によってこうした要望にこたえ、公共的、文化的使命を果たすことである。


編集、制作、広告、販売などすべての新聞人は、その責務をまっとうするため、また読者との信頼関係をゆるぎないものにするため、言論・表現の自由を守り抜くと同時に、自らを厳しく律し、品格を重んじなければならない。
(以下略)