司法試験・予備試験受験生の皆さん。
“直前期”にもかかわらず、新型コロナ関係の情勢に日々揺さぶられて、とても難しい戦況にある方が多いと想います。
かくいう私も、この状況や、Twitter等で拝見する受験生の皆さんの状況・思いに揺さぶられており、正直、受験生の皆さんを自信を持って“導く”ような言葉をお伝えすることはできないと思います。
しかし私は、司法試験系講師として、受験生の皆さんを司法試験・予備試験という戦場に送り出す“軍師”のような立場にあると思っています。
だから、受験生の皆さんが、新型コロナとも戦わなければならなくなった今、何かを進言しなければいけない。
そこで、せめて、
「私が今、受験生だったら、どう戦うだろうか?」
という観点から、この記事を書いてみたいと思います。
ただ私は、最悪の事態まで想定する危機管理モードになっているためか、世の中の多数意見と比べると、かなり悲観的かと…「今、悲観的な話なんて見たくない!」という方は、この先を読まずに済ませることをオススメします。
あと、かなり長文です。
まず前提として、私は今のところ、
・新型コロナのパンデミックは、R2司法試験・予備短答の現在の実施予定日である5月13~17日までには終息しない
・現在、受験生や試験関係者が、R2司法試験・予備試験の会場(に向かう途中)で、新型コロナに感染するリスクが充分にある
・新型コロナに感染した場合、重症化して、死亡ないし後遺症(具体的にどのようなものになるか、しばらく誰にも分かりません ※2021.5.5追記:軽症どころか無症状や若年者等でも、日常生活にすら支障を来す後遺症?(Long-COVID)の可能性があるようです)のリスクが、“若者”も含め誰にでもある
と見ています。
もちろん、未知のウイルス・状況であり、情報が不足・錯綜しているため、今後この前提が崩れる可能性はありますし、是非とも崩れてほしいところです。
さて、上記前提から、
1.R2司法試験・予備試験が、(延期が中途半端な場合も含め)新型コロナに感染するリスクを無視できない時期に実施される場合
と、
2.司法試験・予備試験が、新型コロナに感染するリスクを無視できる時期まで延期された場合(R2~が中止された場合も含む)
とに、分けて考えていきます。
1.R2司法試験・予備試験が、(延期が中途半端な場合も含め)新型コロナに感染するリスクを無視できない時期に実施される場合
(1)試験会場に行って受験すべきか?
①R2司法試験・予備試験の会場(に向かう途中)で自分が感染し、
・自分が重症化→死亡・後遺症(未知 ※2021.5.5追記:軽症どころか無症状や若年者等でも、日常生活にすら支障を来す後遺症?(Long-COVID)の可能性があるようです)のリスク
・同居する家族をはじめ、周囲の人に感染させて、重症化→死亡・後遺症(未知 ※2021.5.5追記:軽症どころか無症状や若年者等でも、日常生活にすら支障を来す後遺症?(Long-COVID)の可能性があるようです)のリスク
と、
②R2司法試験・予備試験を受験せず、その後の人生が望まない方に変わってしまうリスク
とを、比較衡量することになるでしょう。
ア R2司法試験・予備試験を受験するのと同等の①感染リスクに日常的には晒されていない場合
私が受験生なら、①>>>>>(超えられない壁)>>>>>②と考え、試験会場に行きません。受験しません。
「そりゃ合格後の“安全地帯”から言ったらそうなるだろーよ!」というツッコミが、受験生時代の“リトル・ナカムラ”人格から脳内で飛んできました…うん、説得力ないですよね。
一応、理由を説明させていただくと、①は後から取り返しがつかないことになる可能性がある(高低は不明)のに対し、②は後から取り返しがつく可能性が高いからです。
「そんなの人によるだろ!」…うん、まあ究極的にはそうでしょう。
でも、もしよければ、老害の昔話を少し聞いてはくれんかね?
…私も若いころ、ロックバンドのギタリストとしてプロデビューを本気で目指しており、充実感ある日々に「いつ死んでも構わない」的な感覚も持っていました。
そのころに、例えば、「このライブを成功させたらプロデビュー」みたいな話があったら…ひょっとしたら、“自粛”を押し切ってでもライブを強行したかもしれません(余談ですが、もし司法試験運営者が1を強行するなら、ライブ強行と大差ないと思います)。
結局私は、ロックバンドのギタリストとしてプロデビューする夢を、内外様々な理由で断念し、②自分の人生が望まない方に変わってしまった…と、当時それなりに“絶望”しました。
しかし、当時の私は、
・その後司法試験合格を目指し、
・NOAさんたち仲間に恵まれて楽しく充実した受験生活を送り、
・なんとか合格し、
・修習中は進路に悩み、
・ちょっと弁護士をやってみたけど“司法”よりも“試験”の方が好きなことを悟って司法試験系講師に転職し、
・司法試験系講師を天職だと自認するまでに至った
私を、ほんのカケラも想像できませんでした。
私も司法試験に合格した年度は、生活の文字どおり“全て”を合格のために構成していましたから、「されど試験…!」という気持ちも分かるつもりです。
特に、今年が司法試験の受験回数制限ラストだったらなおさら…(もし1を強行するなら、せめてこの制限を緩和して救済してくれ!と叫びたい)。
しかし、人生はこの先何があるか、本当に分かりません(この新型コロナでも再確認しました)…“今後の人生”という単位で見たら、“これまでの人生(の一部)”を賭けてきた試験といえども、1つの手段にすぎず、「たかが試験」だと私は思うのです。
あくまで、私個人の経験・感覚としては。
イ R2司法試験・予備試験を受験するのと同等の①感染リスクに日常的に晒されている場合
…迷います。ものすごく迷います。
この場合、日常的な①感染リスクに、R2司法試験・予備試験の試験会場に行って受験する際の①感染リスクをちょっと上乗せするかどうか…という問題になるので。
とりあえず、①自分が感染させてしまうリスクがある同居者がいれば、とことん話し合います。
それからギリギリまで、「どちらを選んだ方が、死ぬときに比較的後悔しないか」を考えて決めるような気がします。
4S・4A受講生にもこのような立場の方は結構いらっしゃると思うのですが、あまりお役に立てず、心苦しい…
(2)上記(1)を踏まえて、今どうするか?
法務省のアナウンスは、今のところ、R2司法試験・予備試験の実施予定に変更はないらしく…その中で上記(1)のように考えると、私が受験生なら、試験対策をやる気が出ませんし、やさぐれます。「今年の司法試験合格に人生(の一部)を賭けて、様々な犠牲を払ってきたのはなんだったんだよ!」と思うし、たぶん号泣したりしちゃいます。
まずはそれでいいと思う。
心の中に渦巻く感情を整理するため、ある程度は発散しないと。
そしたら、
ア R2司法試験・予備試験を受験しないことを選んだ場合
でも、
イ R2司法試験・予備試験を受験することを選んだ場合
でも、まずは①新型コロナの感染リスクを最小限にするため、できる範囲で徹底的に、“あらゆる”手段を検討して対策を立て、実行します。
その上で、上記対策を阻害しない範囲で、“R2”司法試験・予備試験の実施時期に向けて対策を進めます(上記アを選んだ場合でも、R2司法試験・予備試験の問題を入手し次第“自主本試験”をやって、その時点での実力を測ることは、翌年以降の対策として何よりも重要!)。
上記アの場合はもちろん、上記イの場合でも、②(最後まで)受験できず不戦敗、しかも①新型コロナに感染までして両負けになる事態は、到底受け容れられないからです。
…最初は上記アとイを分けて書いていたのですが、結局やることは変わらないことに気づき、バーチャル受験生ながらちょっとホッとしました。
あと、上記の対策を俯瞰すると、司法試験系に、“新型コロナ”という未知の大きな科目が加わったようにも見え、そうなるとこれまでの対策の延長上と捉えられるかもしれません(もっと大きく見れば、“新型コロナ”は、全世界の人の“共通科目”になっています)。
2.司法試験・予備試験が、新型コロナに感染するリスクを無視できる時期まで延期された場合(R2~の中止の場合も含む)
当日は、安心して試験会場に行って受験できますね!
ただ、
・延期がアナウンスされるまで
はもちろん、
・延期がアナウンスされた後も新型コロナに感染するリスクが無視できるようになる時期まで
は、上記1のように考えることになります。
そして、いざ司法試験・予備試験が延期されると、対策の内容やコンディション調整等に狂いが生じると思いますが、そこは他の受験生も同様です。
となると、「いかに早期・適切に延期に対応できるか?」も合否を分けうるので、まず最優先で延期にどう対応するかを考えて試験対策を練り直した上で、その時期に向けてベストを尽くすと思います。
以上、私が2020年4月5日の時点で想像できた範囲で書きましたが、まだまだ想像し尽くせていないこともあると思うので、後から追記することもあるかもしれません。