かみ合わせ矯正術もリスクがある | 耳鼻科医として、ときどき小児科医として

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以前にアメブロで書いていましたが、一時移籍し、再度ここに復活しました。専門の耳鼻咽喉科医としての記事を中心に、ときにサブスペシャリティな小児科診療のこともときに書いていきます。

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かみ合わせ矯正手術後の、上気道閉塞を考えていなかったのかな。

 

下顎のかみあわせ手術をしたら、2日後に上気道閉塞を合併し、窒息状態になって亡くなったと言うもののようだ。

 

耳鼻科医はやらないので、上気道閉塞のリスクがどれぐらいあるかわからない。が、舌などを過度にいじれば術後に浮腫を起こし、閉塞するリスクがあることは考えるのではないか。

 

担当医に連絡をとっているということであり、その担当医の経験不足から判断を誤ったような気がしている。上気道閉塞の可能性があるとわかれば、すぐに診察、その対応をしただろうが。具体的には、経鼻挿管あるいは、気管切開だろうか。

 

麻酔科の医師もよくわかっているから、可能性がありそうだと、術後にチェックしてくれたり、事前に浮腫予防でステロイドを使ってくれたりもする。

 

耳鼻科も口のあたりの手術はよくするので、ガンの治療の場合には、先に気管切開をしてからという場合も多い。先に気管切開をしておけば、安全だからだ。ただ、10代の女性に事前に気管切開したくはないだろうから、リスクが低いならばそこまではやらないだろう。

 

気道浮腫がおこるかもしれないという基本的合併症に備えられていたかどうかが問題だろう。

 

このような浮腫は術後すぐにでてくることが多く、2日目に悪くなるのは考えづらい。すでに初日にかなり浮腫が起こっていたような気もする。だとしたら、翌日の診察で気づかなければならない。どうみても、病院側の対応が悪そうだ。

 

このような手術は美容整形の一環としてもけっこう行われている。リスクのある治療を安易に受けることには疑問があるが、若い人はリスクを考えずに、どんどん手術を受ける傾向があり、かなり怖い。

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