年配の方なら覚えていると思うが、もう随分前まだ日本が元気だった頃、一部の人たちから”シーレーン防衛が必要”なんとことが声高に叫ばれていたことがあった。日本は中東の石油に依存しているのだから、日本は中東から日本までの石油輸送ルートを自力で防衛できる能力を持つべきであるとの意見であった。どちらかといえば右寄りの人たちが唱えていたように思う。随分勇ましい意見であった。
しかし、今のアメリカのイランの戦争の状況を見ればそんなことは日本にとって全くの夢物語だったことがよくわかる。もし、日本がインド洋と南シナ海の制海権を持ったとしても(アメリカや中国がそれを許したとしての話だが、またそれだけでも随分金のかかる話だが。)、ホルムズ海峡やマラッカ海峡の制海峡権を日本が持つことなど全く不可能なことだったのだ。今のホルムズ海峡の状況を見れば歴然だが、制海権があっても制海峡権がなければ石油の輸送には意味をなさない。
制海峡権を持つには結局その海峡のそばの国に地上軍を送って戦争をし、その国に自国の要求に従うようにするしかないのだが、アメリカがアフガニスタンやイラクで得た教訓のように、アメリカのような強力な軍事力を持った国でもそれは非常に困難なのだ。だからあのトランプでさえイランに地上軍を送ることをためらっている。(今後まったく可能性がないとは言わないが。)アメリカに出来ないことを日本が地上軍を派遣してできるわけはない。
結局どうすればよいか。外交しかない。平たく言えば海峡のそばの国々と仲良くするしかない。
”シーレーン防衛が必要”とか唱えていた保守論壇は健在だ。今のホルムズ海峡の状況を過去の言説を踏まえて論じてほしい。まさかイランとインドネシアとマレーシアへ地上軍を送ることができる軍隊を構築すべきとは言わないだろうな.........。あれは雑誌を売るための勇ましいだけの記事だったのか?(2026/8/11)