松庵稲荷神社はJR西荻窪駅からほど近い五日市街道沿いに鎮座しています。
この松庵という地域は、万治年間(1658~1660)に松庵という名の医師によって開発されたと伝えられ、稲荷社はその鎮守として信仰されてきました。
境内には元禄時代の庚申塔も安置されています。
この神社の短い参道の脇に稲荷社の祠があります。
稲荷社の摂社が稲荷社とは少々不思議ですが、それにはこのような由来があるそうです。
かつてこの地には円光寺というお寺があり(明治の神仏分離で廃寺となった)、そのかたわらにある築山には狐の親子が住んでいました。
ある時、村人はその狐の子どもを捕まえ、食べてしまいました。
すると、子どもを取られた母狐はいたく悲しみ、稲荷社の拝殿の下で前足をくわえたまま死んでしまったのです。
これを見た村人は自らの行為を悔い、狐の亡骸(なきがら)を稲荷神のお使いとして祠に祀ったということです。
それ以来、この祠には狐のミイラが安置されているのだといいますが……