千寺詣で
№93 元興寺 2010.10.18
この時の旅の第一の目的が、この元興寺でした。
元興寺の禅室の屋根裏から、建物に使用されている材木としては日本最古のものが発見され、それを一般公開するというので、往復ハガキで見学を申し込んだのです。
元興寺とは日本最古の寺院、法興寺(飛鳥寺)が平城京に移転したもので、奈良時代は覆いに栄えていたものの、平安以降は荒廃していました。中世になると、僧房の一つが智光(極楽を実見して、その様子を智光曼荼羅として描いたとされる奈良時代の僧)の住まいだったということから庶民の信仰を集めるようになり、極楽坊と呼ばれるようになりました。これが現在の元興寺の前身です。
つまり、法興寺の流れを汲む寺院というよりは、僧房の中の一建物が独立したというべきなのです。
国宝の本堂。
僧房を念仏道場として改造したものです。
屋根の一部が行基葺きとなっています。
本堂の裏手にあるのが禅室。やはり国宝です。
外見は僧房の姿をよく残していますが、内部は近世的な畳敷きの広間に改造されています。
そして、これが屋根裏。
日本の古建築は老朽化などによって解体されても、使える部材は別の建物の一部として再利用されます。現在の禅室は寛元2年(1244)に再建されたものですが、今回の調査により飛鳥時代に遡る部材が使われていることが判明したのです。
なお、元興寺には元興寺文化財研究所という施設が付属しています。
これは元興寺が独自に設立した仏教遺物などに関する研究施設で、戦後の実証的な仏教史研究に大きな寄与をなした組織です。
一般にはあまり知られていませんが、とてもいい仕事をしています。