野菜生産会社「グランパ」(横浜市中区)が今春、秦野市戸川で稼働させたドーム型の農業施設。直径二十七メートルの土のない室内では、放射状にフリルレタスが育っている。
水を張った円形の栽培場の中心部分で密集した苗を植え、成長するにつれて少しずつ外側へ移動させる。約四十日後、ドームの外周部に到達すると、収穫期を迎える。温度や湿度管理に加え、肥料なども必要な時期に自動的に与えられている。
同社は二〇〇四年に設立。レタスやセロリといった葉物野菜をハウスの水耕栽培で生産してきた。その経験を応用したのが「ドーム栽培」。阿部隆昭社長(68)は「面積当たりの収穫量が三倍になった」と話し、大幅な省力化で効率アップに成功したことを強調した。
「日本は猛暑やゲリラ雨、台風の長雨が続き露地栽培は難しくなっている」と阿部社長。大震災の津波で畑が塩害に遭ったり、福島第一原発事故で放射能汚染にさらされた土壌に苦しむ農家からは「再生の切り札」としてドーム栽培への問い合わせは多いという。
岩手県の担当者も「再生に向けた現実的な話として水耕栽培を検討している」と歓迎する。その一方で、「家や土地を奪われた農家も多く、初期投資なども含め国がケアできるのか」と課題も口にした。
@阿部社長が運営するドームは、建設費を含む初期投資は約三千万円。七年で償却を見込んでいる。阿部社長によると、国の第三次補正予算で、被災地にドーム栽培を導入するための支援事業が盛り込まれる可能性があるという。