我が道を行く  SH361(広尾) | 素敵なデザインマンションを探せ

素敵なデザインマンションを探せ

建築家とオーナーの美学・心意気が感じられる珠玉のデザインマンションを独断と偏見で取り上げていきます。

前回の藤本壮介さんと同じ1970年代生まれの注目の建築家乾久美子さんが住宅密集地に集合住宅を建てるとどうなるのか?
 
 
イメージ 1
 
 
地下鉄「表参道」「広尾」駅からそれぞれ徒歩15分。
都心にありながら決して交通至便とは言い難いこの辺は豪邸あり古い木造アパートあり、ミニ戸建ありの雑然とした街並み。
 
近隣との調和を図ろうにも、その基準すら曖昧な地域にあっては多様性という既成事実を受け入れるしかありません。
つまりは建築確認さえ下りれば何でもありの地域なのです。
 
 
イメージ 2
 
乾さんはこの建築で若手の登竜門と言われる新建築賞(2008)を受賞しています。
彼女はルイ・ヴィトン高知店やヨーガンレール丸の内店、ディオール銀座なども手がけていて、一流商品ブランドにふさわしい箱の作り手として定評があるのでしょう。
この地上4階半地下1階全5戸の小さな集合住宅もそれらと同じコンセプトで貫かれているように私には思えます。
この10倍の大きさのビルが表参道にあって一流ブランドのロゴが控えめに輝いていても違和感はありません。
 
イメージ 3
 
 
ワンフロアに1戸、周囲はすべてガラス張り、中央の階段部分を取り囲むガラスの回廊が居住スペースとなっています。
居住スペースは各階ごとに違っていて、そのあたりは彼女自身がここで語っています。
 
 
 
イメージ 4
 
 
 住い勝手が悪いのではという意見もあります。
だったら住まなければいいだけのことです。
 
彼女はたしかにいい仕事をしたと思うのですが、私は
施主さんの度量を高く評価します。
いつも思うのですが、勇気のある施主やオーナーさんにも何か賞をあげてもいいのに。
(建築家は酷評されるくらいしかリスクはないのに、施主さんのリスクは計り知れません)
 
 
乾さんはあの青々荘(吉祥寺)の青木淳さんの事務所に所属していたとのこと。
その青木さんは磯崎新の弟子、磯崎は丹下健三の弟子(大物には敬称をつけません)と、あるブログに書いてありました。なるほどね。
 
 
その乾さん、東日本大震災で被災した宮城県七ヶ浜町の中学校を手がけそうです。そちらも楽しみです。
 
SH361は2007年竣工。
 
約20㎡~23㎡
 
参考賃料は3F 21.29㎡  賃料 107,000円 
  管理費3,000円  敷・礼  各1ヶ月
 
築浅物件としてはお手頃な値段です。
 
★★★☆
 
せっかくのガラス越しの景色に難有り
 
                                か