何歳まで働くのがベスト!?働く高齢者の現状や今から意識すべきこと
何歳まで働くのがベスト!?働く高齢者の現状や今から意識すべきこと
■何歳まで働くのがベスト?働く高齢者の現状とは
何歳まで働きたいかは人それぞれ。まずは、世の中の人の考えと働く高齢者の現状を確認してみましょう。
●多くの人が60歳を過ぎても働きたいと思っている
以下は、60歳以上の人を対象にした「何歳まで収入を伴う仕事をしたいか」を表したデータです。(※1)
※1:内閣府|令和元年度・高齢者の経済生活に関する調査を基に作成
65歳までが25.6%ともっとも多く、70歳までが21.7%、いつまでもが20.6%と、多くの人が60歳を過ぎても精力的に働きたいと思っていることがわかります。
●60歳以上の就労率は年々上昇している
では、実際に働いている高齢者はどのくらいいるのでしょうか?以下は、総務省統計局のデータによる年齢階級別の就業率の推移です。(※2)なお、この就業率とは、15歳以上人口に占める就業者の割合のことを意味します。
※2:総務省統計局|令和4年版高齢社会白書を基に作成
60〜74歳の就業率は、2011年に比べ年々上昇していることがわかります。これは「何歳まで収入を伴う仕事をしたいか」の結果と比例しているため、今後も高齢者の就業率は伸び続けるでしょう。
●65歳以上の雇用形態は非正規が75.9%
では、65歳以上の人はそれまでと同じ雇用形態で働いているのでしょうか?以下は、2022年の企業の役員を除く65歳以上の雇用形態の内訳です。(※3)
※3:総務省|統計からみた我が国の高齢者を基に作成
正社員が全体の24.1%いるものの、パートアルバイトが52.2%と半数以上を占めていることがわかります。
高齢者の就業率は年々上昇していますが雇用形態が変化してしまう人も多く、正社員を希望する人にとってはまだまだ課題が多いことがわかります。
■退職年齢別|働き方のポイント
働いていればいつか訪れる退職の時期。何歳まで働くかによって、働き方や注意ポイントは異なります。ここでは、退職年齢別の働き方や注意すべきポイントを解説します。
●60歳で退職する人は資産運用や貯蓄でお金を増やしておくことがポイント
60歳で退職する人は、資産運用や貯蓄でお金を増やしておくことがポイントです。老後の収入の柱となる老齢年金の受給開始年齢は65歳のため、60歳で退職すると5年間は収入がない状態で生活しなければならないためです。
繰り上げ年金を申請する方法もありますが、受け取れる受給額は減ってしまいます。また、退職金を生活費に充ててしまうと、万一のことが起こった場合の資金が無くなってしまうでしょう。
60歳で退職しても生活が厳しくならないようにするためには、在職中に資産運用や貯蓄などを行い、使えるお金を貯めておくことが重要です。
●65歳で退職する人は就業規定を確認しておくことが重要!
65歳で退職する人は、就業規定を確認しておくことがポイントです。特に、退職後も同じ会社で働きたいと考えている人は必ず確認しておきましょう。
確認するポイント
- 定年の年齢
- 再雇用規定
- 嘱託規定 など
同じ会社で再雇用できたとしても給与が大幅に下がる場合は、転職することも1つの方法。
退職前に、退職後の仕事をどのようにするのかある程度考えておくことが重要です。
定年後の再雇用で給与はどれくらい下がる?再就職や勤務延長制度との違いと給与減対策を解説
●70歳以上になっても働きたい人は定年のない勤め先を探しておくことがポイント
70歳以上になっても働きたい人は、定年のない勤め先を調べておくことがポイントです。
国は企業に「70歳までの就業機会の確保」を努力義務としています。
以前より70歳まで働ける環境が増えつつありますが、定年のない企業はまだ多くありません。
70歳間際になってからの仕事探しは厳しく、勤め先が限られてしまう可能性が高いため、早めに転職を検討することがおすすめです。
思い切って、個人事業主として働くことも1つの方法でしょう。
70歳以上でも働ける仕事9選!働き方のかたちや仕事の探し方も解説
■60歳以上も働くことのメリット・デメリット
働くことはお金が得られること以外にもさまざまなメリットがあります。一方で、体力が衰え始める高齢者にとってはデメリットが発生することも。ここでは、60歳以上も働くことで得られるメリット・デメリットを解説します。
●経済面・身体面・精神面のすべてにメリットがある
60歳以上も働くことで、「経済面・身体面・精神面」のすべてにメリットが生じます。
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経済面 |
・働いた分の収入が増える ・厚生年金に加入すれば、 老齢年金の受給額が増える ・年金の繰下げ受給を行えば 受給額が増える |
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身体面 |
・体を動かすことで体力や 筋力の低下を抑えられる ・脳が活性化され、認知機能 の低下を抑えられる |
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精神面 |
・社会に参加している実感が 沸き、生きがいを 感じられる ・人との交流があるため、 孤独感を感じづらい |
経済面では、長く働くことにより老後の生活が豊かになります。給与だけでなく年金受給額も増え、年金の受け取り年齢を繰り下げれば年金受給額も上がります。
また、60歳到達時の給与と比べて大幅に給与が下がった場合は、高年齢雇用継続給付金が受け取れる可能性もあります。
健康面では、自然と脳や体を動かす機会が増えるため、体力の低下や認知機能の低下を抑えられる効果が期待できるでしょう。
精神面では、人との交流が増えるため孤独感を感じづらく、仲間と共に働くことで生きがいを感じられる人が多いです。これら全てのメリットを感じられる行動は、働くこと以外になかなかないでしょう。
再雇用で支給される「高年齢雇用継続基本給付金」とは?定年退職後の収入減を補う給付金を解説
年金の経過的加算とは?計算方法やもらえない人など疑問を徹底解説!
●収入面・身体面でのデメリットもある
メリットがある一方で、「収入面・身体面」ではデメリットも存在します。
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収入面 |
・今までより給与が減る ・年金受給額が減る可能性が ある |
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身体面 |
・体力の低下により 身体面への負担が大きい |
収入面では、雇用形態の変化などにより収入が減る可能性が考えられます。また、「1ヶ月の給与+年金受給額」が48万円を超える場合、年金受給額が減らされたり止められたりすることがあります。
業務のデジタル化に追いつくことが困難な人もいるかもしれません。
身体面では、体力が低下することにより今までのように身体が動かせない可能性が考えられます。1日8時間・週5時間のような若い頃と同じ勤務形態を続けると、体への負担が大きくなるでしょう。
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■何歳まででも働けるようになるために今から意識すべきこととは
年を重ねると身体が衰えるのは自然なこと。とはいえ、何も意識せずに過ごしていると、長く働くことは難しいかもしれません。
ここでは、自分が希望する年齢まで働けるようになるために今から意識すべきことをご紹介します。
●健康に気を配る
1つ目は、健康に気を配ることです。「体が資本」というように、何をするにも元気な体があってこそできるもの。それは仕事も同じです。いつまでも元気に仕事をこなすためには、健康に気を配ることが重要です。
バランスの良い食生活を心がけたり、適度な運動を行ったり、自分にできる範囲のことから始めてみましょう。
健康に気を配れば病気になる可能性も低くなり、医療費や介護費の節約にもつながります。
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●長く働けるスキルを身につける
2つ目は、長く働けるスキルを身につけることです。なにか1つでも得意なことや専門的なスキルを身につけておくと、企業から長期間必要とされる可能性が高くなります。
IT系のスキルはもちろん、語学や介護など今からでも身につけられるスキルはたくさんあります。
経験がなくても資格を取得しているだけで、仕事に対する前向きな気持ちがアピールできるはずです。
ハローワークでは、受講費の全額もしくは一部負担してくれる教育訓練給付制度も実施しているので、うまく利用してみましょう。
●今後訪れるライフイベントを把握する
3つ目は、今後訪れるライフイベントを把握することです。特に、お金が関係するライフイベントはいつ訪れるかある程度予測しておくことが重要です。
60歳以降に訪れるライフイベント
- 定年退職
- 年金受給開始
- 介護 など
これらのライフイベントはお金が関係するイベントです。どのタイミングでどの程度のお金がかかるかあらかじめ把握しておくことで、仕事に対する影響を予測できます。
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■何歳まででも働けるために|企業の取り組みの現状
最後に、企業の取り組みの現状を確認しておきましょう。
国は、2013年に「60歳未満の定年禁止」と「65歳までの雇用確保措置」を義務付けました。(※4)
65歳までの雇用確保措置の内容
- 65歳までの定年引き上げ
- 定年制の廃止
- 65歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入
これにより、現在は60歳定年の企業でも希望すれば65歳まで働けるようになっています。
その後、2021年には「70歳までの就業機会の確保」を努力義務として掲げています。
70歳までの就業機会の確保の内容
- 70歳までの定年引き上げ
- 定年制の廃止
- 70歳までの継続雇用制度(再雇用制度・勤務延長制度)の導入
- 70歳まで継続的に業務委託契約を締結する制度の導入
- 70歳まで継続的に「事業主が自ら実施する社会貢献事業」や「事業主が委託、出資(資金提供)等する団体が行う社会貢献事業」の事業に従事できる制度の導入
上記が実現すれば70歳まで働ける人が大幅に増えますが、70歳までの就業機会の確保はあくまでも努力義務。厚生労働省の発表によると、企業の現状は以下のようになっています。(※5)
企業の現状
- 65歳までの雇用確保措置がある企業:99.7%
- 66歳以上も働ける制度がある企業:38.3%
- 70歳以上も働ける制度がある企業:36.6%
- 65歳定年企業:21.1%
66歳以上も働ける制度がある企業は4割弱。66歳以上の人が長く働ける社会になるためには、まだ課題が大きいことがわかります。
※4:厚生労働省|高年齢者雇用安定法改正の概要
※5:厚生労働省|令和4年「高年齢者雇用状況等報告」の集計結果を公表します
■まとめ・何歳まででも働けるような社会になる可能性は近い!
多様な働き方がある現在、「何歳まで」と決めずに働きたいという考えをもつ人が増えています。それに伴い、60歳以上の就業率も年々上昇しています。
一方で、65歳以上の75.9%は非正規で働いており、待遇面での課題はまだ残っていると言えるでしょう。
長く働くことは、「経済面・身体面・精神面」のすべてにメリットをもたらします。もちろん人により考え方は異なりますが、健康で働きたい気持ちがあるうちは「何歳まで」と決めずに働くことがベターなのかもしれません。
そろそろ定年がみえてきた人は、健康に気を配ったり長く働けるスキルを身につけることを意識しておきましょう。
きっと希望通りの働き方ができるはずです。
参考資料
内閣府|令和元年度・高齢者の経済生活に関する調査
総務省統計局|令和4年版高齢社会白書
総務省|統計からみた我が国の高齢者
厚生労働省|高年齢者雇用安定法改正の概要
厚生労働省|令和4年「高年齢者雇用状況等報告」






