高校受験の受験生の「干渉してほしくない」という気持ちの由来は2つに分類することができます。


一つ目は単純に思春期により程度の差があれ、単純に「親がうざい。」などという感情によるものです。ほとんどの中学生のパターンがこれにあたります。


一部の受験生にはこれに加えて二つ目のものもあります。それは乗り越えようと日々取り組んでいる課題がたくさんあり、これまで相当量努力を積み重ねて克服しようとしてきているのに改善しきれずに日々苦闘している受験生に起こりうる感情です。克服できない自分自身に対して受験生本人が既にストレスを抱えている状況のうえでさらに親に指摘されると、「分かっているのにうるさい」という気持ちが生じてくる場合があります。


親からすれば、もっと言うと、実際の事実ベースでも本当の意味では子供自身が分かっていないということになります。本当に分かっているのであれば、自ずとその課題に真摯に集中し実行することにより、「克服できる」はずですし、当然親もそのように考えます。

ということはつまり、子供は本当の意味では親の指摘内容の重要性が分かっておらず、実際は「分かったつもり」で結局ないがしろにしているため、克服しきれていないというように考えることもできます。

 

ですが、子供である受験生が本当の意味で親の指摘を理解することは難しいですし、実行するとなればなおさら大変です。

親と同じレベルまでの理解には、経験が決定的に不足しています。
私たち講師や親からすれば、「こうすればよいのに。」と子供の生活上の課題はシンプルに見えてきて、「普通にこうやればいいのに。」という感覚も持ちます。ですがそれは、これまでの人生で、自身や他人の失敗や経験から意識的にも無意識的にもたくさん学んできており、実体験として身に染みてその大切さを理解しているからこそようやく持つことができる感覚かもしれません。一方でその経験がまだ少ない子供たちが、そのすべてを合理的に頭で理解、同意するだけに留まらず、実際に行動していくとなるとそれは大変難しいことです。なぜなら子供たちは、生活習慣以外で、まず目先の受験勉強上で行動に移しきれずにストレスを抱えている課題に、毎日頭がいっぱいです。そのような中、頭で理解したに過ぎない経験が不足しているものまで実行することになります。

つまり大人と子供、両者の経験の有無による差が受験における親子関係の意識の齟齬に大きく影響していると考えられます。

親が思う「もっとこうすれば良いのに」という内容それ自体は、講師目線でもまさにその通りだなと同意できることも多いです。
ただしその全てを、既に子供自身なりに課題を持ちながら日々受験勉強に当たっている受験生に五月雨式に要求すると、言い方、求め方によらずパンクしてしまい逆効果にさえなることがあります。

 

本来の親や講師の声掛けの目的は、できる限りたくさん課題を見つけてあげてたくさん言うことではなく、子供の願い(第一志望合格)が実現できるように課題改善のアドバイスをなにより、「取り入れてもらう」ことだと思います。そのためには、子供の一番近くの者(受験勉強でいえば講師)が口うるさく口酸っぱく繰り返し一貫して分かるまで伝え続けることも確かに必要です。同時に子供の状況、キャパを考慮しながら、取り入れていただきやすい、もしくは取り入れるべき絶好のタイミングを考え、内容を絞って、必要に応じて感情に訴えながら伝えていくことも大切と考えております。そうしていくことにより、結果的に取り入れていただける数、効果が最大化していくと考えて私たち講師は日々指導に当たっております。

ですので、二つ目のパターンに当てはまるお子さんを受験生活の内面的成長の指導が行われる塾に通わせている保護者さんには、子供側の置かれている状況を今回の記事を通して今以上に理解していただけると、より温かく見守ることができ、子供が一つずつ確実に成長を塾でこれまで以上に積み重ねていきます。